常用している12mmでは画角が足りないことが時々あり、購入を検討していた
「Voigtländer HYPER WIDE-HELIAR 10mm F5.6 ASPHERICAL E-Mount」を
ヤフオクで比較的安価な中古の出物があったので購入した。
ヤフオクの平均相場価格だったが、専門店の中古相場よりかなり安い。
需要が少ないレンズなので競りあいにならないからだ。
12mmを買ったときにも同じようなことを書いたが、
12mmでも画角が足りないシチュエーションが出て、
結局ヘリアー三兄弟をコンプリートしてしまったのである。
では、15mmと12mmそして10mmの画角の違いを見てみよう。
15mmレンズの対角線画角は110 °、
水平画角(左右の画角) 100 °、垂直画角 (天地の画角)77 °
12mmレンズの対角線画角は121 °、
水平画角(左右の画角) 112 °、垂直画角 (天地の画角)90°
10mmレンズの対角線画角は130 °、
水平画角(左右の画角) 122 °、垂直画角 (天地の画角)100°
10mmの垂直画角は15mmの水平画角と同じか!凄いねぇ・・
【作例】
・12mmと比較
12mm
10mm
正確に違いを比べたいので、立ち位置を変えずに撮影している。
・半逆光でも太陽が画角に入ってくる。
酷いフレアが出ることがあるので・・・
ファインダーを覗きながら、綺麗な光線になるよう構図を決めた
・旧網干銀行、同じ立ち位置から撮影して比較。
15mm
12mm
10mm
立ち位置が同じなら、広く写るだけで建物自体のの遠近感は変わらない。
しかし、立ち位置を前進して10mmで15mmと同じ画角で撮ると・・・
遠近感が誇張され、細長く写る。
10mm、晴れた日に撮影して電線消し加工。
トリミングすると・・・
15mmや12mmに比べてトリミングの面積が小さくなり、画質的に不利になる。
・特に室内はストレスなく広く写せる
・もう一点、12mmと比較
12mm試写の時掲載した写真
10mm
少し引いた位置から写しているので正確な比較にならないが、画角の広さに驚く。そして、建物が無くなって景色が変わったことにも驚く。
・揖保川
上下に要らないものが沢山写っているので、パノラマにトリミング。
・山本家
画角が広過ぎるため寄って撮ると遠近が極端に誇張されるので、少し下がって撮ってトリミングしている。
そうすると、トリミングの面積が小さくなり画質的に不利になる。引きがなく、どうしても10mmが必要という場面以外では使いづらいレンズといえる。
12mmを購入して常用レンズが15mmから12mmにシフトしたが、今回、10mmにシフトすることは無いだろう。
しかし、荷物になるほどのレンズではないので、引きがない時のために常にカメラバックに入れておこうと思う。
常用している15mmでは画角が足りないことが時々あり、購入を検討していた
「Voigtländer ULTRA WIDE-HELIAR 12mm F5.6 ASPHERICAL III E-Mount」
生産終了後は品薄でやや価格が上昇する中、ヤフオクで比較的安価な中古の出物があったので購入した。
更に、8%オフ・クーポンがあったので願ってもない低価格で購入できたのである。
では、15mmと12mmの画角の違いを見てみよう。
15mmレンズの対角線画角は110 °、
水平画角(左右の画角) 100 °、垂直画角 (天地の画角)77 °
12mmレンズの対角線画角は121 °、
水平画角(左右の画角) 112 °、垂直画角 (天地の画角)90°
焦点距離はたった3mmの違いでも、随分と画角が広い。
以前紹介した下のような方法でリミングして使う場合、
(トリミング前)
(トリミング後)
垂直画角を水平画角として使うことになるので、
15mmレンズは23mm相当、12mmレンズは18mm相当の画角になる。
18mmというと PC Nikkor の最広角レンズより広い。
しかし、このレンズには保護フィルターを付けることが出来ない。
それが難点であり、常用するのをためらう理由でもある。
更に、明るさが5.6というのもちょっと暗い。
コンパクトなレンズなので常備して必要な時だけ、という使い方になるだろう。
カメラにSONYの銘板というのには抵抗があるので「MINOLTA」シールを貼っている。
金属製カブセキャップの造りと質感は良いのだが、それはフィルターを付けられないことの証しだ。
では、旧網干銀行湊倶楽部を撮影して15mmとの画角の違いを見てみよう。
使用カメラは SONY α7 。
15mm
水平垂直を出して塔屋を真正面に見て撮影すると、避雷針が途中で切れてしまう。
12mm
15mmより一歩前に出て撮影してもご覧の通り、避雷針のてっぺんまで余裕でとらえている。
一歩前に出たことと15mmより広角になったことで遠近感が強調され、やや形が変わって見える。
実は15mmで撮影した場合、避雷針と青空を入れるため見上げて撮影したものを・・
トリミングして、使いたくは無いが「ShiftN」で垂直補正し・・
フォトショップで電線消し加工して仕上げる。
というようなことをやっていた。
12mmだと、「ShiftN」を使わなくても済むようになる。
【2020.5.24追記】
塔屋の真正面から水平垂直を正確に出して撮影。
この建築で一番魅せたい部分は塔屋。それを最も美しく左右対称にとらえるのが全景写真のキモ。
そして完全順光で建築全体に光が差している。
記事投稿した時点の3月にはこの光線状態で撮影することは不可能で、今回の撮影は、最も良い季節の良い時間帯である。
少し雲がかぶっているのも、建築写真のアクセントとして申し分ない。
しかし、ゴジラが爪で引っかいたみたいに電線の影が入ってしまうのもこの光線状態の時。
ちょっと手間だが、電線の影も含めてPhotoshopで消去処理をした。
雲のことについて更に言うと、右上の電線消去作業に雲が絡んでいないのも幸運といえる。
要らない部分をトリミングすると出来上がり!
【追記ここまで】
旧金井時計店
15mm
上部中央が・・・
12mm
一歩前から撮影してもご覧の通り。
トリミングして出来上がり
12mmの作例をいろいろ。トリミング前提で撮影しているのでノートリ画像は殆どありませんが。
正方形にトリミングしても
こんなにワイド!
2:1の横長にトリミングしたら
パノンカメラで写したパノラマ写真のような広画角!左に旧長久医院まで写っている。
PC NIKKORや「ShiftN」を使わなくても、
縦のラインを真っ直ぐに写せる! この2棟は15mmでは全景が入らなかった。
一見何を写したか分からない写真も撮れてしまう
超広角12mmゆえの描写だろう。15mmだと、こうは撮れないと思う。
旧山本家住宅
左右に写り込む物の多さに驚く。
まるまん
左に陣屋門まで写っている。
同じ写真を更にトリミング。
大きく伸ばさないのであれば、中央に小さく写した被写体をトリミングして遠近感を押さえた画像を得ることも出来る。
旧水井家住宅
これはノートリ
結納品店と丸ポスト
右に大覚寺の山門が。遠くに見えるがそれほど遠くない。
大覚寺山門
遠近感が凄い。カッコいいのか歪んでいるのか、よく分らない形に写る。
鐘楼
基壇は平行だが、屋根が傾いている。手持ちながら、かなり気を付けて水平垂直を出したつもりだが・・・
12mmのような超広角レンズは三脚で厳密に水平垂直を出さないと駄目なのかもしれない。
ノートリ
下の写真の池の向こうの建物が鐘楼だが、違う建物に見える。15mmではこうは写らない。
ノートリ
観音堂
ノートリ
ノートリ
遠近感が強調されて、面白い形に写る!
これもノートリ。左右の灯篭と鐘楼の歪みが凄い。
本堂
ノートリ
ほぼノートリ
ノートリ
本堂と観音堂の渡り廊下。
本堂側面
釈迦堂
逆光で描写テスト(2枚ともノートリ)
フレア、ゴーストは少ない。絞りは10枚羽根なので、10本の光条が綺麗に出る。
ボディ側のレンズ補正設定「周辺光量補正」「倍率色収差補正」「歪曲収差補正」を
オートにしているので、心配していた樽型の歪曲収差と周辺光量減少は気にならないレベルだった。
建築をスッキリと綺麗に写すには水平垂直を正確に出し、フレーミングも厳格に調整する必要がありそうだ。
使いこなすには手間が掛かるということか。
ミラーレスカメラの高画素化、ファインダーの拡大表示で厳密なピント合わせが出来る、
という利点を生かせば、かなり小さくトリミングしても鑑賞に堪える画像が得られる。
例えば面積比で1/4にトリミング(水平・垂直を半分のサイズにトリミング)すると、
35mmレンズと同じくらいの画角で切り取ることになり、遠近感も抑えられる。
もちろんトリミングすると画素数が減り、大伸ばしの対応は出来なくなるが、
12mm1本で12-35mmまでをカバーすることも可能ということになる。
以前、超広角15mmレンズで35mmフルサイズ撮影したものをトリミングすることによって得られるアオリ効果について
『Voigtländer SUPER WIDE-HELIAR 15mm F4.5 ASPHERICAL III E-Mount【その1】(アオリ操作をせずにアオリ効果を得る!の巻)』
『Voigtländer SUPER WIDE-HELIAR 15mm F4.5 ASPHERICAL III E-Mount【その2】(まるでシノゴとジナーズームで撮影しているようだ!の巻)』
の2回に渡って説明したが、
今回は35mmフルサイズのイメージサークルを持ったNikon FマウントレンズをAPS-Cサイズのイメージセンサーのカメラに取付けてアオリ撮影しようという試み。
PC内でトリミング作業をしなくて済むというメリットがある。
KIPON T&S NIK-S/E は、シフト2方向(撮影時には1方向)、ティルト1方向のアオリ操作ができる。シフト1方向、ティルト1方向の複合アオリ操作も可能。なお、アオリの方向を変えるためにレボルビング機能があり、マウントアダプター自体を360°回転させることが出来る。30°ごとにクリックがあるので、12方向にアオることが出来る。
トリミングによるアオリ効果の場合は上下いづれかと左右いづれかの組み合わせで2方向の複合シフトアオリが出来たがティルトアオリは出来なかった。それぞれ、一長一短がある。正式なTSレンズを購入せずにアオリ効果を得ようというのだから制約があるのは仕方ない。
シフトは最大15mm。結構大きくシフトできる。
ティルトは最大12mm。
今回使用したカメラはAPS-Cサイズのイメージセンサーを持つSONY NEX-6。レンズはAi NIKKOR 20mm f3.5S。35mmフルサイズに換算して約30mmの画角になる。
建築撮影の基本、水平垂直を出して撮影。有機ELパネルの電子ビューファインダーは水準器を表示できるので便利だ。
アオリ操作をしていないので、当然上部は切れてしまう。
上方向にシフトアオリして撮影。
フルサイズのイメージサークルの中央近くを使って撮影するので、画質的に有利だ。
更に、ティルトアオリも加えてミニチュア風写真を撮影。このようにシフト・ティルト各1方向の複合アオリ操作も可能だ。
被写体は網干神社拝殿。江戸中期の造営と聞く。小品ながら千鳥破風と唐破風の組み合わせが豪華な建築である。
今度は縦位置で上方向にシフト。縦方向は、イメージサークルの端に近いのでアオリ量によっては蹴られてしまう。
塔を画面の中央に入れて歪みなく撮影しようとしたが、引きが足りなくてアオリ量が大きくなってしまった。
そこで、少し引いてアオリ量が少なくなるように撮影。
塔が中央に入らず、歪んでしまった。トリミングによるアオリ効果の場合は塔の歪みは修正できるのだが・・・
画質的に有利とはいえ、古いレンズなので撮影原寸に拡大すると色収差が出ている。
これは、大判ポスターのように原寸で見ることが無ければ問題ない。
次に左へティルト操作して、塔にピントを合わせてミニチュア風写真を撮影。
おやっ、塔が逆方向に歪んでしまった。ということは、左ティルトは左シフトと同じ効果があるということになる。
この効果を逆手にとってティルト量を調整して塔屋の歪みを修正。
ドーム部分の形が斜めに歪んでいないのがお分かりいただけると思う。
めいっぱい絞って(f22)パンフォーカス撮影することによってミニチュア効果を排除している。
被写体は旧網干銀行本店。姫路市網干地区の最も優れた意匠の近代建築で、ランドマーク的存在。
アオリ操作は奥が深い!
それでは、Voigtländer SUPER WIDE-HELIAR 15mm F4.5 ASPHERICAL III E-Mount で撮影した作例を見ながら、
レンズの特性や建築撮影の方法、α7ボディのレンズ補正などについてみていきたいと思う。
主な被写体は以前紹介済みの姫路市網干区の建築群。
【コスモス】
(ノートリミング)
最短撮影距離(30cm)、絞り開放(F4.5)で撮影。15mm超広角レンズでも近接撮影なら背景がそこそこボケる。
【旧水井家住宅】
15mmレンズの超広角ゆえのパースペクティブ(遠近感)強調やアオリ効果を得るための撮影とトリミングについて。
(ノートリミング)
15mmの画角をすべて使ってしまうと、パースペクティブ(遠近感)が強調され過ぎる。この写真では左側門扉の遠近感が強すぎて形状の破綻が見られる。
シノゴで超広角47mmレンズが使いにくいのと同じだ。
もちろん、引いて撮影すると遠近感は弱くなる。
(ノートリミング)
上下が空き過ぎなのでパノラマサイズにトリミングした。シノゴカメラにジナーズームを付けて6x12で撮影するのと似ている。
(トリミング後)
次の画像は、15mmレンズなら真正面から全景が入るかと思ったが、引き場が足りなくて門扉と蔵は途中で切れてしまった。唯一10mmや12mmのレンズが欲しいと思う瞬間だ。
こちらは上下をトリミングした画像。
(トリミング後)
次に、左右にある門扉と蔵は遠近感が強調され歪んでしまったので、それぞれの正確な形をとらえるように撮影してみた。
まず、門扉から。
(トリミング後)
この写真は下のように門扉を中央に撮影してトリミングした。
これは、シノゴにジナーズームを付けて右へ大きくシフトアオリしたのと同じ効果だ。
(ノートリミング)
そして、蔵。
(トリミング後)
これは、左へ大きくシフトアオリしたのと同じ効果。
(ノートリミング)
門扉と蔵の形にこだわって撮影しても、ほぼ左右対称であるはずの母屋が大きく歪んでしまうので、この建築の撮影方法としては×。
※参考:実際にシノゴカメラの左シフト操作で撮影した例。母屋が歪みなく左右対称に描写されている。
【亀屋(川越市)】
・被写体全体の中央がどちらの建物の中央にもならない場合、そのまま撮影すると双方ともに形状が歪んで描写されてしまう。
・どちらか一方の建築を歪みなく撮影することは出来るが、比率が大きい方(2/3以上が好ましい)の建物を選んで補正すると良い。
・小さい方の建物を選ぶと、先例の【旧水井家住宅】のように大きい方の建物の歪みが大きくなり過ぎる。
【2019.3.30追加】
姫路城大天守と小天守を正面からとらえる場合も同じことがいえる。
(トリミング後)
大天守が正確に左右対称で描写されている。
(トリミング前)
撮影時の中央を大天守の中央に合わせて撮影したものをトリミングした。
そして、トリミング前提で周囲を広く撮影すると構図の自由度も増す。例えば正方形にもトリミングできる。
次は、6x12風のパノラマサイズにトリミングした写真を2枚。
【山本家住宅】
(トリミング後)
このくらいの遠近感が最もカッコ良く見える。
【山本家住宅と西側の町家】
(トリミング後)
超広角15mmのパノラマ効果は大きい。
【旧龍野藩南組大庄屋 片岡家】
同じ立ち位置から撮影してトリミングした写真2枚。
1枚目。
(トリミング後)
2枚目は遠近感が強い。
(トリミング後)
それぞれのトリミング前の画像。
1枚目。
(ノートリミング)
2枚目。
(ノートリミング)
同じ立ち位置でカメラを左右に振って遠近感をコントロールしている。ファインダーを覗きながら好みの遠近感を探ることもできる。
ただし、元画像の左右中央からズレたトリミングをするとシフトアオリをしたのと同じことになり、遠近感が狂う場合がある。
シフトアオリ効果を狙わないのであれば中央からズレたトリミングをしない方が良い。
今回の撮影ではあまり意識していなかったが、撮影時にトリミングの範囲を決めて、それが画面の左右中央になるように撮影するべきであろう。
そのうえで、塔の歪みを補正するなどのシフトアオリ効果を狙う場合のみ被写体を中央からずらして撮影する。
そうしないと、正しい遠近感の写真にならない。塔の歪みを補正するシフトアオリは塔以外の部分の遠近感を狂わせているのである。
【カナイ(旧金井時計店)】
建築の真正面写真の撮影について。
建築正面に対して水平垂直、中央をきっちり出して撮影するが、しかし・・・
(ノートリミング)
引きのない狭い道路のため建築上部が切れ、向かい側店舗の雨樋が写り込んでいる。
仕方ないので、少しだけカメラを上に見上げたうえで、雨樋をやり過ごすために撮影位置を右に移動。
(ノートリミング)
ほんの少し上すぼみになっている。
撮影の中央線がズレたので正確には左右対称に描写出来ていないのだが、
ズレ幅が小さく建築表面の凹凸も少ないのでほとんど気にならない。
もし、建築中央に玄関ポーチか大きな庇でも有れば、歪みが気になったかもしれない。
(トリミング後)
ほんの少しだが上すぼみになっているのが分かる。気になる場合はShiftNで修正するしかない。
(ShiftN使用・ノートリミング)
(ShiftN使用・トリミング後)
ShiftNによる補正はほんの僅かで、かえって形が狂うということは無いと思うが、
デジタル補正はなるべく使わない方が良いと思う。
【網干商工会館】
(トリミング後)
適度な遠近感のある自然な描写。
元画像は、素直に画面中央に被写体を置いたもの。中央に置けば自然な描写になるということだ。
(ノートリミング)
次に、真正面から撮影しようとしたがレンズに逆光の西日が入るので日陰に移動して撮影。
(ノートリミング)
これも【旧水井家住宅】の「大きく左シフト」と同じ方法だ。
(トリミング後)
真正面から写した画像を得たつもりが、玄関ポーチが大きく左方向に歪んでしまった。
ここまで違和感があると、シフトアオリで遠近感が狂うことが良く分かる。
【カナイ(旧金井時計店)】の撮影で
「建築中央に玄関ポーチか大きな庇でも有れば、歪みが気になったかもしれない」
と書いたのはこのことである。
建築撮影で最も重要なのは撮影時の中央をどこに置くか、ということだと思う。
西日の無い午前中に再撮影したが・・
(ノートリミング)
そもそも建築中央では引きが足りなかったのでこれで限界。これ以上中央に寄ると、上部が切れてしまう。
(トリミング後)
玄関ポーチの庇が左向きに歪んでいるのが分かる。ちなみに、2階上の庇の歪みは建築自体の歪み。
【旧赤穂塩務局網干出張所 塩倉庫】
逆光だとハレーションを起こしたりフレアが出たりするが、これは対処の一例。
(ノートリミング)
シノゴの場合、低めの三脚に据えて自分の影をレンズに被せるという裏技を紹介したことがあるが、
手持ちの場合は、左手を上げたらハレ切り代わりになることがある。
写真のように左側半逆光の場合しか使えないし、片手シャッターで手ぶれの危険もあるので、
あまり良い方法とは言えないが、苦し紛れの対応としてよくやっている。
「左手ハレ切り」対応後の画像。
(トリミング後)
【古い町家】
旧網干銀行本店の近くにある、虫籠窓に太格子と細格子の組み合わせが美しい町家。
江戸から明治初期にかけての建築だと思うが、姫路市史の文化財編やネット上にも載っていないので詳細は不明。
この建築でα7ボディのレンズ補正テスト撮影をした。
1.「周辺光量補正」「倍率色収差補正」効果確認。
a.レンズ補正全てOFF 絞りF4.5
(ノートリミング)
(左上拡大)
ほんの少しの周辺光量落ちと、鬼瓦と空の境目にほんの少し赤く色収差が見られる。
b.「周辺光量補正」「倍率色収差補正」ON 絞りF4.5
(ノートリミング)
(左上拡大)
周辺光量、色収差ともに改善されている。
2.「歪曲収差補正」効果確認。
a.レンズ補正全てOFF 絞りF4.5
(ノートリミング)
b.レンズ補正全てON 絞りF4.5
(ノートリミング)
元々歪曲収差を徹底排除したレンズなので、補正前後の差は全く分からなかった。四隅に直線を置くように撮影すれば差が出るかもしれない。
「歪曲収差補正」はOFFで良いだろう。
3.四隅の画像乱れの改善確認
a.レンズ補正全てOFF 絞りF4.5
(左下拡大)
b.レンズ補正全てOFF 絞りF22
(左下拡大)
c.レンズ補正全てON 絞りF22
(左下拡大)
絞ると改善されるようである。
α7ボディのレンズ補正では、
「周辺光量補正」がよく効いているのは確認できたが、
画像乱れについては効いているかどうか、よく分からなかった。
次は、「直線を直線として写し取るレンズ」の実力を見るため、
殆ど直線で構成されている日本家屋の屋内を撮影してみた。
【稲香村舎 誠塾】
(【稲香村舎 誠塾】の写真は全てトリミング後)
直線が真っ直ぐに気持ちよく描写されている。
建築写真用レンズとして申し分ないと思う。
最後に、ピントを30cmに固定して、絞りF8-11に絞り込んで猫をノーフレーム撮影してみた。
(猫の写真はすべてノートリミング)
興味を持って近づいて来てくれたが、近すぎだ。
ノーフレーム撮影でも画角が広いので猫がフレーム外になることはなかった。
被写界深度が深いので、猫がいる範囲にはほぼ合焦していた。
このレンズを使った感想は「本当に素晴らしい」の一言に尽きる。
初めてシノゴで撮影した時以来の感動だった。
表題写真は【稲香村舎 誠塾】室内画像(ノートリミング)。
Voigtländer SUPER WIDE-HELIAR 15mm F4.5 ASPHERICAL III E-Mountを購入した。
ブランドはドイツの名門フォクトレンダーだが、日本のコシナ製である。
仕様書に表記されているレンズの画角は対角線画角であって左右幅の画角ではない。
実際に写り込む範囲は水平画角(左右の画角)で考えなければ解りにくいのである。
仕様書上、15mmレンズの画角は110°となっているが、
水平画角(左右の画角) 100 °、垂直画角 (天地の画角)77 ° も表記してほしい。
なぜいきなり画角の話かというと、今回、このレンズを買うにあたって画角に関して考えたからである。
かつて『Photoshopによる建築写真の修整』という記事で
アオリ操作やデジタル補正をせずに建築の垂直線をを平行に撮影する方法として、
カメラを縦長に構えて下半分に大きく道路を入れて建築を撮影し、トリミングするというやり方を書いたことがある。
(ノートリミング)
(トリミング後)
フイルム時代のシフトレンズを生かそうとしてフルサイズのデジイチを購入したものの、綺麗な写真が撮れなかったという苦い経験もあり、
今後高額な現行シフトレンズを購入せずに、デジカメでアオリ操作に匹敵する建築写真を撮影する方法として、これを活用しようと考えたのである。
さて、この方法で撮影する場合、想定される画角よりさらに広角なレンズを必要とする。
フイルム時代にPC-NIKKOR 28mm F3.5を愛用していたが、画角が狭いのでZUIKO SHIfT 24mm F3.5を買い足したことを考えると
最低でも24mmレンズの水平画角を確保したい。
24mmレンズの水平画角は74°である。
縦長に撮影して半分トリミングする場合、垂直画角を74°以上確保すればよいことになる。
そのことから、垂直画角が77°の15mmレンズを選ぶに至ったのである。
15mmクラスの中でも Voigtländer SUPER WIDE-HELIAR 15mmのIII型を選んだ理由は・・・
デジカメ対応の工学設計が施されており、周辺部の色被りや光量低下が少ないからである。
トリミングする場合、実際に切り取る画像は中央部より周辺部に片寄ることが多いので周辺部の描写が悪いレンズは使えない。
そして、コシナのHPで「直線を直線として写し取るレンズとして、デジタル画像処理に依存せず、光学的な性能を徹底的に追及。非球面レンズの採用により、ディストーション(歪曲)を徹底的に排除しています」と謳っていること。建築撮影には最も重要な要素だ。
もう一つ、58mmのフィルターねじが切ってあること。
超広角レンズはフィルターねじが無いことも多く、保護フィルターを付けれるというのは重要な要素になる。
歩きながら首かけで撮影する場合は不用意に触れてしまったり、木の枝か何かに当ったりすることもある。
しかも、58mmという一般的なフィルター径なのが有難い。
私はハクバブランドのWPC WIDE MC レンズガードを付けた。
超広角レンズなので、フィルター枠によるケラレが無いか要確認だ。
なお、フォクトレンダー超広角「ヘリアー三兄弟」は15mmの他に12mm、10mmがライナップされているが、
15mmを選んだのは、他の2本ではパースペクティブ(遠近感)が強調され過ぎて使いにくかろうという理由である。
更に、Eマウント用ならボディ側のレンズ補正設定
「周辺光量補正」「倍率色収差補正」「歪曲収差補正」
を選ぶことが出来る。
私は「周辺光量補正」「倍率色収差補正」の2つをON(オート)に設定した。
センターNDフィルターが欲しいが物が見つからないな、と思っていたがこれで問題が解決した。
ディストーション(歪曲)を徹底的に排除したレンズなので「歪曲収差補正」は不要だろう。
【追記】後日談。若干の歪曲収差があるので、結局「歪曲収差補正」もオートで撮影している。
トリミングによる画質低下については・・・
愛用のα7の画素数は約2400万画素。半分にトリミングするとして1200万画素。
APS-Cサイズでクロップ撮影したような感じになる。
ポスター印刷をするわけではないので、まあ使えるレベルだ。
ブログ用としては完全にオーバー・クォリティである。
本当にポスター撮影が必要なら、新発売のα7R III(約4200万画素)を購入すれば対応できそうだ。
※一般的なポスターサイズであるA1に300dpiのオフセット印刷をするなら
9933×7016(ピクセル)=69689928(画素)単純計算で約6970万画素になる。
ポスターは離れて鑑賞するものなので、実際にはここまでの解像度が必要ではなく、
2000万画素もあれば十分だと思われる。
印刷について詳しいわけではないが、
明らかに低画素の画像をアップコンバートして印刷したと思われるポスターをよく見かける。
さて、いよいよ試写である。
MINOLTAシールでSONYを隠したα7に登場願おう。
超広角レンズなので被写界深度の深さを利用したパンフォーカス撮影で建築を写そうと思う。
指標を頼りにF4.5で1m-∞で合焦するようにピントを調整した。
被写体はおなじみの
旧 網干銀行本店 である。
カメラファインダーの水準器とグリッドを見ながら、水平垂直を出して撮影。
電子ビューファインダーは、水準器・グリッド表示や拡大表示ができるので便利だ。
トリミング前提であるのに加えて、近寄りすぎるとパースペクティブ(遠近感)が強調され過ぎるということもあり、周りは多めにとってある。
四隅にフィルター枠によるケラレは無い。フィルター常用可能だ。
余分な部分をカットする形でトリミング。
しかし、塔屋が右肩上がりになっている。
そこで、ファインダーのグリッドを見ながら塔屋の中心と撮影画面の中心を合わせて撮影。
塔屋の中心は避雷針。必ずしもデザインの中心とは一致しないので注意する。
トリミングすると・・
シノゴで左シフトとライズの複合アオリをしたのと同じく
塔屋の歪みを修正した画像を得ることが出来た。
以下のようなイメージで考えると複合アオリと同じだとお分かりいただけると思う。
赤枠は今回トリミングをした部分。
青枠は撮影したフルサイズ画像の中心部分をトリミングと同じ大きさで切り取ったもの。
アオリ操作なしでアオリ効果を得ることが出来た。
思わく通りである。
さて、次はトリミングした画質について。
α7のフルサイズ最高画質で6000x4000(ピクセル)=24000000(画素)で2400万画素の画像を得ることが出来る。
そこから半分の3000x4000(ピクセル)=1200000(画素)すなわち1200万画素にトリミングした画像の原寸大で解像度を検証してみたいと思う。
検証に使う画像はこちら。
まず、塔屋のデザインが左右対称に見えるように、デザインの中心と塔屋の中心を合わせて撮影した。
もちろん、塔屋の中心と撮影画面の中心も合わせてある。
6000x4000(ピクセル)ノートリミング。
3000x4000(ピクセル)にトリミングして・・
塔屋の装飾デザインが綺麗な左右対称に撮影できた。
これを原寸大でお見せしようと思ったが、大き過ぎてブログ仕様上不可能なので
塔屋上部を撮影原寸に拡大表示。
なんとなく眠たい画像。
絞り開放(F4.5)でパンフォーカス撮影したからかもしれない。
そこで翌日、絞り開放(F4.5)にして建築にピントを合わせたうえでF8まで絞って再撮影。
被写界深度が深くピントの山をとらえにくい為、都度絞りを F4.5に開いてピントを合わせなければならない。
絞りを開いてピントを合わせてから絞って撮影というのは、シノゴ撮影と同じである。
6000x4000(ピクセル)ノートリミング。
3000x4000(ピクセル)にトリミング。
塔屋上部を撮影原寸に拡大表示。
精密にピントを合わせてF8まで絞れば、この通りくっきり スッキリと写る。
被写界深度が深いとはいえ、目測のパンフォーカスではピントが甘くなるのである。
これなら、ポスター大の印刷にも対応できるかもしれないと思った。
次は、建築の側面を見上げて撮影(ノートリミング)
四隅に画像の乱れが見られるものの、建築のラインは左右の端まで真っ直ぐ伸びている。
このような構図の場合、収差の大きいレンズだと左右の端がぐにゃっと中心方向に円弧を描いて曲がってしまう。
コシナHPの通り、極限まで歪曲を取り除いた優秀なレンズである。
次に、周辺部の描写についてだが、
この程度の四隅の乱れは15mmクラスで絞り開放撮影なら仕方ないと思う。
絞れば少しは改善されるだろう。
あるいは、α7Sなどの「高集光プロセス技術」やα7R IIIなどの「裏面照射型」のCMOSセンサーなら改善できるのかもしれない。
こればかりは実写で確認しなければ、分からないが・・・
※参考:OLYMPUS OM-SYSTEM ZUIKO SHIfT 24mm F3.5による撮影画像
(使用カメラ:EOS 6D、すべて絞りF8で撮影)
イメージサークルは18mmレンズ相当の画角があり、その範囲内で上下あるいは左右にアオリ操作ができる。
特に優れた点は、アオリ量の合計が10mmの範囲内なら2方向の複合アオリが可能なことである。
1枚目の塔屋が右肩上がりになった画像とほぼ同じ立ち位置から撮影
(ライズアオリ使用)
24mmというとかなりの広角レンズだと思っていたが、ギリギリ収まるという感じだ。
次に、複合アオリで塔屋の歪みを補正してみよう。
塔屋の中心と撮影画面の中心を合わせて撮影
(アオリ操作なし)
赤線は縦横の中央線。アオリ操作をしないと、建築は収まらない。
カメラの位置と向きはそのままで、ライズ(上向き)と左シフトの複合アオリを操作して撮影。
(ライズ・左シフトアオリ使用)
黄線は複合アオリ後の縦横の中央線。
塔屋を中心にカメラを据えて、レンズの中心軸を上・左に移動した。
15mmレンズで塔屋を中心に撮影して、画面の上・左をトリミングしたのと同じことである。
違うのは、トリミングすると画素数が減るということ。
次は、
画質検証に使った、塔屋のデザインが左右対称に見えるようにデザインの中心と塔屋の中心を合わせたうえで、
塔屋の中心と撮影画面の中心も合わせて撮影した画像 とほぼ同じ立ち位置から撮影。
(ライズアオリ使用)
意外に狭い24mmの画角。最大にライズアオリしてもアオリ量が足りない。
EOS 6Dのイメージセンサーはα7とは異なるため単純比較はできないが、
画質を見るため右上部分を撮影原寸に拡大してみる。
ライズアオリ最大なので、右上はイメージサークルの一番外側になる。特に青方向の色収差が酷い。
塔屋上部を撮影原寸に拡大表示してみると、
15mmレンズと比べて、解像度が眠たく色収差もある。
これではブログ用くらいにしか使えない。画素が減っても15mmでトリミングの方が良さそうだ。
最後に、建築側面。
見上げて撮影。
(アオリ操作なし)
歪曲収差が良好に補正されたレンズだと思う。
同じ立ち位置から、最大ライズアオリで撮影。
(ライズアオリ使用)
イメージサークルの外周を使った撮影だが、歪曲収差は感じられない。
少し下がって、垂直線が平行になるようにライズアオリして撮影。
(ライズアオリ使用)
若干の周辺光量落ちがあるものの、良好な描写だと思う。
右上部分を撮影原寸に拡大した。
画面中央部を撮影原寸に拡大した下の画像と比べると、光量落ちがあり色収差も大きいのが分かる。
フイルム時代の古いレンズではあるが、ポスターなどの大判印刷に使わないのなら十分通用する優秀なレンズだと思う。
長くなってきたので一旦筆を置くが、その他被写体の作例やα7ボディのレンズ補正効果などについては、次回
『Voigtländer SUPER WIDE-HELIAR 15mm F4.5 ASPHERICAL III E-Mount【その2】(まるでシノゴとジナーズームで撮影しているようだ!の巻)』
につづく。
愛用する大判カメラは、EBONY SW45。
自分にとって、大判カメラはエボニー以外の選択肢はない。
先日購入した『日本カメラ』の12月号の付録『カメラ年鑑2018』に
エボニーのカメラが載っていないことに気が付いた。
かろうじてNikonとCanonのフイルムカメラが載っているのには安心したのだが、
恐らく、最後まで残ると思っていたエボニーが消えていたのである。
去年の『カメラ年鑑2017』を確認すると、載っている。
この1年で何かあったに違いない。
そこで、インターネットで調べてみると・・
1.ホームページ
「このサイトにアクセスできません
http://www.ebonycamera.com/index2.html のウェブページは一時的に停止しているか、新しいウェブアドレスに移動した可能性があります。」
・これは、予想外。海外向けの英語ページまであったのに・・
2.ヨドバシカメラの通販
全商品「販売を終了しました」
http://www.yodobashi.com/category/19055/34533/53199/m0000007261/
・本当に生産終了したようである。
3.最新のトピックス
玄光社が運営するサイト『CAMERA fan』の「銀塩手帖」2015年11月13日の記事
「エボニーが上野彦馬写真機を復刻、広川泰士氏による湿板写真撮影」
http://camerafan.jp/cc.php?i=428
・2年前にはこんなに立派な仕事をしていたのに・・
この程度しか見つからない。
何故、生産終了になったのか詳しい状況は何一つとして分からず終い。
HPも無く、ヨドバシで販売終了しているのも事実。
最悪の事態を覚悟するしかないのか?
そうでないことを祈るばかりである・・・
【2017/11/23文章追加】
早速のコメント・情報有難うございました。
EBONYは、残念ながら2016年10月に廃業したとのことです。
大変高度な加工技術と類稀な高機能木製カメラのノウハウが失われることが残念でなりません。
Wonder REX(旧ハードオフ)で、またしてもジャンクカメラを買ってしまいました。
名機OLYMPUS-35 SP。レンズカビあり、他は作動OK。たったの525円。
レンズはG.Zuiko 42mm 1.7。7枚構成の贅沢なレンズです。素晴らしい描写をすると思われます。
シャッターはSEIKO。B・1~1/500。当時のライバル、キャノネットGⅢよりも上級のシャッターです。
早速、レンズをばらしてカビ掃除、そしてモルトを張替えて一言主神社の骨董市で試写。
※クリックすると大きい画像でご覧いただけます。
一言主神社にて
シャープな描写で背景のボケも美しい。
ピントが来ているのでレンズ清掃・再組み立ては成功。
そして、近くにある廃校へ・・
旧菅生尋常高等小学校・大塚戸分教場の門柱
門柱が何故「第一回國勢調査紀念」なんでしょうか?
旧菅生尋常高等小学校・大塚戸分教場
(不詳/不詳/木1/文化財指定なし)
S31に水海道市(現常総市)に編入された、旧菅生村時代の建築と思われます。
外観から見て、戦前か戦後か微妙なところですね。
同上
(カメラ〈すべての写真〉;OLYMPUS 35 SP・2011/5/15撮影)
そこで、骨董市が開催されている東京・上野に出かけました。
目の前に広がる不忍池に蓮が咲いていたので、
Canon 7SにCanon LENS 100mm 1:3.5を付けて撮影しました。
その中から何枚かご紹介しましょう。
表題写真はCanon 7SとCanon LENS 100mm 1:3.5です。
(カメラ;RICOH GR Digital II・2010/7/17撮影)
※クリックすると大きい画像でご覧いただけます。
(カメラ;Canon 7S・Canon LENS 100mm 1:3.5・2010/7/17撮影)
ファインダーは35~135mmまで内蔵されていて使いやすいカメラです。
レンズも現代的な描写と発色でカラー撮影にも充分使えます。
祖父の形見だそうだが、カメラには興味が無いので使ってくれるのなら、ということでContax IIaが手元に来た。国産カメラ一点張りの私にとって、唯一のドイツ製カメラである。
そんなカメラなので、末永く使うために先日オーバーホールをし、その仕上がり具合を確認するために、2010/5/16に試写を行いました。以下に、その写真をご紹介します。
撮影場所は常総市の一言主神社、骨董市です。
※クリックすると大きい画像でご覧いただけます。
(カメラ;RICOH GR Digital II)
本来の、近代建築の紹介が滞っています。
過去に撮影した写真の整理と建築データの収集が思うように進まないためです。
時間がかかっても、近代建築の紹介は続けていくつもりですので、よろしくお願いします。
ついに、究極のフイルムホルダーを入手しました。
シノゴのカメラに取り付けて、ブローニ、あるいは220フイルムの撮影サイズを途中で変更することの出来るホルダーで、撮影サイズは、6x12、6x9、6x7、6x6、6x4.5の5種類になります。
今、愛用している6x9だと長すぎたり、画角が足りずにシノゴで撮影したりすることがあったので、購入を決めました。
2010/4/30、名古屋で入手後すぐに試写した写真を紹介します。
※クリックすると大きい画像でご覧いただけます。
(平林金吾・名古屋市建築課/S8/SRC5/登録文化財・名古屋市都市景観重要建築物等)
(撮影データ;EBONY SW45・Nikkor SW 90mm F8・6x9判・1/15秒・f22・ライズアオリ)
6x12で撮影した愛知県庁本庁舎
(渡辺仁・西村好時・愛知県総務部営繕課/S13/SRC6/登録文化財・名古屋市都市景観重要建築物等)
(撮影データ;EBONY SW45・WIDEANGLE CONGO 120mm F6.3・6x12判・1/15秒・f22 1/2・ライズアオリ)
サイズ切り替えダイアルを回してサイズアップすると、自動でフイルムを送ってコマ間が調整される優れものです。
では、サイズダウンするときにはどうするのか?
試写の段階では良く分からずコマ間が大きく空いてしまいましたが、方法を考えました。
巻き上げる前に、サイズ切り替えダイアルをダウンしたいサイズまで回します。
切り替えダイアルをダウンの方向に回してもフイルムは停止したまま動きません。
そこで巻き上げると、次に撮影するダウンしたサイズ分だけフイルムが巻き上がります。
しかし、このままでは前回撮影した大きいサイズの写真と重なってしまうので、サイズアップ時の自動送りを利用して、前回撮影サイズまで切り替えダイアルを回してフイルムを送ります。
再び撮影したいサイズまでダイアルを戻して撮影をします。
これで、無駄なくフイルムが送れるはずです。
インジケーターにはフイルムの残りの長さがcm単位で表示されるので、最後の2~3枚の撮影サイズを残りの長さにに応じて設定すれば、フイルムを無駄にすることなく撮影できます。
少しややこしい操作ですが、果たしてうまくいくのかは、次回撮影分の現像が仕上がれば判明します。
-2010/5/30追記-
その後撮影したフイルムを現像してみると・・
上記の方法でフイルムを送った結果、一定のコマ間隔で撮影できていました。
今回使用したカメラはTopcon 35L。祖父が購入した、我が家最古参のカメラです。
1957年発売のレンズシャッター式レンジファインダーカメラです。レンズはTopcor 4.4cm f2、で私の所有するレンズの中では抜群の描写力を持ちます。ファインダーは等倍でパララックス自動補正のブライトフレーム、巻き上げは2ストロークです。しっかりとした造りで、高級感あふれる外観です。
表題写真はTopcon 35Lと純正フード、純正シャッターボタン。
(カメラ;RICOH GR Digital II)
以下作例です。フイルムはネオパンプレスト400です。
布施弁天(千葉県柏市)
木下周辺(印西市)の町並み
布佐(我孫子市)の町並み
今回は少し大きめの画像を直接文面に貼り付けてみました。
都度クリックして大きい画像を見る必要が無いので見やすいのか、それともかえって見づらいのか、どうでしたか?
追記;自分でページを見てみると画像の右が切れて見づらいです。見たい画像の上で右クリックして「画像だけを表示」を選んで各画像を見るようにしないと駄目ですね(Firefox)。
「新しいタブで画像を開く」(Google Chrome)。
IEだと、どうにもできませんでした。
前玉がぼろぼろのレンズで、しかもボードのレリーズと型があっていない代物です。2cm凹ボードが欲しかったので、同額でレンズは要らないと云ったのですが融通の利かない店主はバラ売りしないとの一点張り。仕方なくレンズも持ち帰りました。
帰宅後、調べてみるとシャッターは異常なく、前玉以外は綺麗でした。そこでソフトフォーカスレンズとして使うということにしました。
しかし、ボード側のレリーズがレンズのシャッターボタンに届かないので、有り合わせのモノで改造して延長(下の写真)しました。しかしこうなると、2cm凹ボードを買った意味がないですね・・・
さて、こうなると試写が楽しみです。
11/15、水海道にて試写決行です。
まず、旧栃木町役場の撮影で失敗したセンターNDフィルター(下の写真)の試写です。
これは、超広角レンズ特有の周辺光量落ちを補正するフィルターです。
ご覧のようにRODENSTOCK社製、純正品ではなく適合レンズも不明なので格安で入手できました。SUPER-ANGULON 58mm F5.6 XL用の純正品だと定価10万円、中古でも3万円はしますのでとても手が出ません。
前回はプロテクトフィルターの上に付けたため、隅が蹴られたので、フィルターを外して付け替えました。
試写結果;光線の状態が悪いので写真自体はよろしくないですが、隅は蹴られませんでした。
非純正品にもかかわらず、補正効果は幸運にもほぼ正確と思われます。
参考;フィルター補正なしの写真はコチラ。
いよいよ、スーパートプコール150mm f5.6の試写です。
(撮影データ;EBONY SW45・SUPER TOPCOR 150mm F5.6 ・6x9判・1/15秒・f16 1/3・ライズアオリ)
(撮影データ;EBONY SW45・SUPER TOPCOR 150mm F5.6 ・6x9判・1/2秒・f22 1/2・ライズアオリ)
試写結果;前玉以外は異常ないので、予想通りのソフトフォーカス写真が撮れました。白黒で撮影したら、感じが良いのではないでしょうか。
ミニチュア写真は、ティルトあるいはスイングアオリを逆に使って、ピントの合う範囲を極端に狭くしてミニチュア模型を撮影したように見せるものです。
試写結果;失敗。
失敗原因;被写体の選び方が悪い、ソフトフォーカスなので合焦部分もぼやけてはっきりしない。
以上、試写レポートでした。
※全ての写真はクリックすると大きい画像がご覧いただけます
目的は当然「世界の中古カメラフェア」です。
大判カメラを購入してちょうど半年。
順調に機材を買い揃えてきましたが、
泊まりの旅行でのフイルム、機材を減らすために
6x9用に超広角レンズを物色するのが目的です。
GWの大阪行きでかなりしんどい思いをしたので、泊まりの旅行は6x9のみで対応したいと思ったのです。
上野の中古ショップで目をつけていた「スーパーアンギュロンXL 58mm 5.6」が出品されていたので購入。
6x9で35mm換算25mm。4x5の90mmと同じ画角です。4x5だとアオリは殆ど出来ませんが、35mm換算17mmの画角で使えます。
翌31日、早速水海道でスーパーアンギュロンの試写をしました。合わせて、180mmレンズまでしか使えないEBONY SW45に250mmレンズを使うために購入した凸ボードの試写もしました。
カメラ;EBONY SW45
レンズ;スーパーアングロン(注) 58mm F5.6 XL
Fujinon W 250mm F6.3
注;シュナイダー正規代理店のHPではスーパーアングロンと表記しています。私はアンギュロンのほうが響きが良くて好きですが。
※クリックすると大きい画像がご覧いただけます
旧水海道町役場
(T2/6x9/58mm/ライズアオリ)
58mmでの撮影1枚目。広角だとディフォルメされて格好良く写ります。描写もシャープに感じますが気のせいでしょうか?
旧水海道町役場
(T2/6x9/250mm/ライズアオリ)
凸ボード試写です。所持する中で最も望遠のレンズです。6x9判で35mm換算105mm相当です。
旧水海道小学校雨天体操場兼講堂全景
(S7/6x9/58mm/ライズアオリ)
旧水海道小学校雨天体操場兼講堂全景
(S7/6x9/58mm/ライズアオリ)
道が狭いので広角レンズだと助かります。
旧報徳銀行
(T12/6x9/58mm/ライズアオリ)
こちらも全景がすっきり入ります。
水海道の町並
(6x9/58mm/アオリなし)
http://blog.goo.ne.jp/a-ly/e/2bdcfe2f191b814d4b497906f5a37576
http://blog.goo.ne.jp/a-ly/e/e931daf6eeb22ab1ce2de8579e5132bf
レンズによる写り方の違いをご覧ください。
※表題写真は5/30に通りがかった東京中央郵便局(S8)です。部分保存が決まったものの、痛々しい姿になってしまいました。
カメラ;RICOH GR Digital II
今回は、カメラについて少し説明します。
Canon Pは1959年発売のLマウントのレンジファインダーカメラです。当時の廉価版ながら、等倍ファインダー、パララックス自動補正、35mmフレーム付きと豪華仕様です。フォクトレンダーのヴェッサシリーズが出るまでは安価で実用的なレンジファインダーと言えばこれでした。
FUJINON L 5cm f2.8は1957年、レオタックスの標準レンズとして発売されました。廉価版ながら、大変シャープに写ります。このレンズの描写力を知ってしまうと、明るいレンズを使えなくなってしまいます。
W-Nikkor 3.5cm f2.5はSマウントの定番広角レンズで、1952年発売。このレンズも非常にシャープに写ります。S-Lカプラーを介してCanon Pに装着しました。
以下、撮影した写真です。(一部写真をクリックすると大きい画像でご覧いただけます)
Nikon F2とPC Nikkorを愛用していますので、Nikkorで揃えました。
SW45は4x5インチのシートフイルムを使う大判カメラです。レンズの焦点距離を35mm判に換算すると、21、25、43mmと同じ画角になります。
カメラもレンズも100%アナログですよ!自動で出来ることが何一つとしてない。戦前からほとんど変わっていないんです。
撮影カメラ;RICOH GR Digital II
このカメラのもうひとつの利点は、Mamiya製のクイックシューを使用すると三脚への取り付けがワンタッチになるということです。もしかしたら、前オーナーの特注なのかもしれませんが、重宝します。
以下、茨城県水海道の近代建築で試写しました。
6x9ロールフイルムホルダー使用、フイルムはILFORD DELTA 100、2008.12.7撮影です。
使用レンズ;Nikkor SW 90mm F8
アオリはライズ+シフト
旧水海道町役場 その2
使用レンズ;Nikkor W 150mm F5.6
アオリはライズのみ
旧水海道町役場 その3
使用レンズ;Nikkor W 150mm F5.6
アオリはライズ+スイング。スイングで壁面の奥~手前の全てにピントを合わせています。
旧水海道町役場 その4
使用レンズ;Nikkor W 150mm F5.6
アオリはライズのみ
旧報徳銀行
使用レンズ;Nokkor SW 90mm F8
アオリはライズのみ
五木宗レンガ蔵