近代建築撮影日記

日本全国の近代建築を
大判カメラ、一眼レフ、デジカメなどで
撮影した写真で紹介していきます

建築の垂直線を平行に撮影するということ(アオリ操作とデジタル補正)

2017-12-11 00:04:54 | その他

建築写真を撮影する手法として、もっとも多く使われる「ライズ(上方向のシフト)アオリ」。
これは、建築を見上げて撮影すると上すぼみになるので、それを真っ直ぐ平行に補正する手法。
本来、建築の垂直線同士は平行であり、上すぼみになっているのは歪んでいる、という考えによる補正だ。

逆に、見上げれば当然上すぼみに見える。それを平行に補正するとかえって不自然で歪んだ形になる、と考えることもできる。
すなわち、見かけのリアルに近いのは上すぼみのアオリ無し、実際の形に近いのは平行に写るライズアオリということになる。

五重塔などは見上げた時に最も美しい逓減率になるように、真横から見ると少し頭でっかちに見えるように設計されているといわれる。
この場合、建築を美しく魅せるにはアオリ無し、正確に写すにはアオリ有りという使い分けになるだろう。
ただし、超広角レンズだと上がすぼみ過ぎて見かけのリアルからかけ離れてしまうので一概にそうとは言えない。



アオリ操作による建築撮影(あるいは超広角15mmレンズのトリミングによるアオリ効果)を覚えると、
単純に構図を考えて被写体をフレームに収めれば良い、ということでは済まなくなってくる。
撮影のプロセスで考えることが多ければ多いほど愉しいし、仕上がりが思わく通りになると達成感もある。

※超広角15mmレンズのトリミングによるアオリ効果については

『Voigtländer SUPER WIDE-HELIAR 15mm F4.5 ASPHERICAL III E-Mount【その1】(アオリ操作をせずにアオリ効果を得る!の巻)』
『Voigtländer SUPER WIDE-HELIAR 15mm F4.5 ASPHERICAL III E-Mount【その2】(まるでシノゴとジナーズームで撮影しているようだ!の巻)』
で説明しているのでご参照ください。


かつて、このアオリ効果は蛇腹の付いた大判カメラか、PC-NIKKORなどのシフトレンズでしか実現できなかったが、
デジタル時代になりデジタル補正という方法も使われるようになった。
かつて『Photoshopによる建築写真の修整』で少し触れたが、デジタル補正についてもっと突っ込んで検証してみようと思う。


【画像1】建築を見上げて撮影
デジタル補正の素材としてこの画像を使用した。



【画像2】カメラを水平垂直にセットして建築の垂直線が平行になるように撮影
もちろん【画像1】と同じ位置から同じレンズで撮影している。
アオリ操作はしていないので建築全体は入っていないが、この画像をデジタル補正との比較に使用した。
【画像1】のデジタル補正後【画像2】と同じ縦横比になれば正確な補正だといえる。


1.フォトショップ(Adobe Photoshop Elements 12)による補正(イメージ-変形-ゆがみ)
【図1】


a.上部を左右に広げる
【図2】


出来上がった画像

明らかに太ってしまった。

b.下部を押し狭める
【図1】、a.【図2】と同じ手順で下部を押し狭めた画像

当然ながら、明らかに痩せてしまった。

a、bの中間くらいがちょうど良い比率なのだが、それを調整するには・・・
1.abの処理を複合して行う
2.aの天地を伸ばす
3.bの天地を縮める

という3つの方法が考えられるが、手動では正確な比率で処理することは不可能。

フォトショップ(イメージ-変形-ゆがみ)による補正は、結局使い物にならなかった。


2.フリーソフト「ShiftN」による補正
【図3】

上を左右に広げて下は押し狭め、傾きまで補正しているのが分かる。
下が押し狭められるので、建築全景を得るためには周囲を広めにとって撮影する必要がある。

出来上がった画像


一見正しい画像が得られたように見えるが【画像2】と比べてみよう。
同じ部分を同じ大きさに切り取って並べてみた。

上【画像2】デジタル補正無し、下【画像1】をShiftNでデジタル補正処理したもの



目視では全く同じにしか見えない。優秀な自動補正だと思う。
ShiftNによる補正は使い物になるレベルのようだ。
しかし、厳密には正確かどうか分からないし、画像を大幅に改変しているのは間違いない。
使わずに済むならその方が良いと思う。


結論としては、本格的に建築写真をやるならアオリ操作が可能な機材を揃えるべきである。

もしくは、超広角15mmレンズのトリミングによるアオリ効果を使えば、アオリ操作と全く同じ効果が得られる。
この方法だと、トリミングなしで通常の15mmレンズ、トリミングするとで24mm前後のシフトレンズ、2本分に使えるので経済的だ。

ただし、トリミングすれば画素数は低下するし、スイング(ティルト)アオリは不可能という制約がある。


近代建築撮影講座(その6)『大判撮影の道具いろいろ』

2014-11-30 23:30:17 | その他

今回は、大判撮影の諸道具について。

※各道具に対する評価・評論は建築撮影に特化した私個人のものです。
一般的に通用する内容であるとは限りません。 
 



【水準器】
何処か1ヶ所ならレンズとフイルムに近いカメラ側に水準器を装着したほうが良い。
カメラと三脚の取り付け部分が歪んでいる場合もあり、雲台上では精度に不安がある。
2か所なら三脚側(雲台より下)にも装着し、三脚自体を水平に設置したうえでカメラ側の水準器で調整するようにする。
そうすれば、雲台の回転で水平が狂うことはない。
水準器付きのカメラがベストだが、付いていない機種も多い。
ホットシューがある機種なら、ホットシュー取り付けタイプの水準器を使う。
ホットシューが無ければ、ホームセンターなどで小さいサイズの水準器を購入して、両面テープなどでカメラに貼り付けるか都度カメラに置いて測定する。
気泡を円の中央に合わせるタイプより、円筒形で一方向のタイプを2個配置した方が使いやすい。

いろいろなタイプの水準器。水平垂直出しは建築撮影の基本となる。

【冠布・ピントフード】
ピントグラスの画像を確認するための遮光に必要
冠布は完全な暗所を作れるので見やすいが、かさばって邪魔になり夏は暑苦しい。
ピントフードは携帯に便利だが、完全な暗所を作れる訳ではない。一長一短がある
私は、携帯に便利なピントフードを利用している。
蛇腹に極小の穴がある場合、蛇腹に冠布を被せて撮影すれば応急処置になる。


【ピント調整用ルーペ】
私の場合、基本的なピント調整はピントグラスを目視して行っているが
微細なピントをチェックするためにルーペを併用している。
微細なピントを見るには、倍率が高め(8倍程度)の方が使い良い。
ピントフードを使っている場合はフードより長いルーペを選ぶと良い。
私は、両方の条件を満たしているWISTAのロングルーペを愛用している。


【レンズボード】
通常、レンズ取り付けホールは中央よりも6mm程度下にあるが、
ライズアオリを多用する建築撮影では、中央についているものを選ぶと有利だ。
フランジバックの短い広角レンズでは、カメラや蛇腹の形状によってアオリの動作幅が狭くなることがあるからだ。
ただし、カメラ側の目盛でアオリ無しの状態で6mm程度のライズアオリになってしまうため、アオリ無しのニュートラルな状態で撮影したい場合には使いにくい。

通常、レンズ取り付けホールは中央より6mm下にある。

【レンズ】
建築撮影に使いやすいレンズは?と聞かれると、私は58mm、90mm、120mmの3本をあげる。
この3本は4x5判で、35mmフイルム換算すればだいたい17mm、27mm、36mmとなり、
6x9判なら、だいたい24mm、38mm、51mmとなる。
2つのフイルムフォーマットを持てば17mm超広角~標準まで揃い、建築全景撮影に必要な画角はほぼ網羅できる。
4x5判で35mmフイルム換算約14mmの47mmレンズは広角過ぎて使いにくいが
引きのない所での全景撮影に必要な場合がある。
更に、遠景や細部拡大撮影のために300~500mm程度のテレレンズもあれば便利。

【シャッター】
予備用に持っておくと良い。
大判レンズは、コパルやSEIKO製のシャッターにねじ込んであるだけなので、
同規格のシャッターであれば自由に付け替えが可能である。
シャッターが故障した時の予備のほか
マミヤプレスなど、シャッターユニットから外すことが出来る中判カメラ用レンズを大判カメラで使用することもできる。

マミヤプレス用50mm F6.3レンズを凹ボードのコパル0番シャッターに取り付けた。ただし、イメージサークルは直径10cm程度なので、煽るなら6x7判程度でしか撮影できない。

【ケーブルレリーズ】
レリーズ固定解除がねじ込み式のものを選ぶと良い。
しっかりねじ込まれているので、不用意に固定モードになることがない。
撮影時に立ち位置の自由度が上がるので、長めのもの(50cm)が使いよい(100cmだと長すぎる)。


【袋蛇腹】
広角レンズを多用する建築撮影には強い味方となるが、
150mm程度までしか撮影できないので、望遠レンズを使う場合は長い蛇腹に交換しなければならない。

ご覧のように、袋蛇腹はあまり伸びない。

【三脚】
軽くて丈夫なカーボン製4段式が携帯に都合よい。
4段式は短く収納でき、高さを細かく調整しやすい。
超重量級のカメラや超望遠レンズを使用する場合は
3段式(4段式よりも足が太い)の大きくて重い三脚の方が有利だが、
私のように機動性を重視した軽いカメラと広角レンズを多用する建築撮影には
カーボン製4段式で充分である。
雲台は頑丈なスリーウエイタイプを選ぶと良い。

【クイックシュー】
頑丈なスライド式着脱のものが使い良い。
私はEBONY SW45に対応したマミヤ旧型クイックシューを愛用している。

本来、マミヤ中判カメラ用のクイックシューなので、重量級カメラ用には少し不安がある。

【シートフィルムホルダー】
FIDELITY Elite」が遮光板の抜き差しがスムーズで、安価な中古も多く出回っているのでお奨めだ。
国産某メーカー製は遮光板の抜き差しが硬かったので使用を止めてしまった。

ホルダーに番記して、その順番に撮影する。

【ロールフイルムホルダー】
機能的に充実したジナー製・トヨ製が使いやすい。
6x12~6x4.5まで5種類のフォーマットを撮影の途中で切り替えられるジナーズームホルダーが便利。

※ジナーズームホルダーでフイルムを無駄なく送る使い方
1.サイズ切り替えダイアルを6x4.5にセットしてフイルムを装填する。
2.Load/ExpダイアルをLoadにして止まるまで巻き上げると、6x4.5サイズに最適な撮影開始位置でフイルムがセットされる。
3.サイズ切り替えダイアルを撮影したいサイズににセットして1枚目を撮影する。(フイルムはそれぞれのサイズに応じた撮影開始位置まで自動的に送られる)
※1枚目の撮影サイズが決定している場合は、サイズ切り替えダイアルを該当サイズにセットしてからフイルムを装填して巻き上げると、自動的にそれぞれのサイズに応じた撮影開始位置でフイルムがセットされる。

4.撮影時、Load/ExpダイアルをExpに切り替える。これを忘れると、巻き止めが機能しないので注意する。
5.次の撮影サイズが決定するまで、巻き上げないようにする。
6.サイズアップする場合は、サイズ切り替えダイアルはそのままにしてフイルムを巻き上げた後、サイズ切り替えダイアルをアップしたいサイズにセットすると、自動でフイルムが送られコマ間が調整される。
7.サイズダウンする場合は、サイズ切り替えダイアルをダウンしたいサイズにセットしてからフイルムを巻き上げる。次に、サイズ切り替えダイアルを前回撮影したサイズに戻してからもう一度ダウンするサイズにセットすることによってコマ間を調整してから撮影する。
8.インジケーターにフイルム残量がcm単位で表示されるので、最後2~3枚の撮影サイズを残量に応じて選択すれば、フイルムを無駄にすることなく撮影できる。このとき、それぞれのコマ間は1cmとして計算する。

9.全コマ撮影完了後、Load/ExpダイアルをLoadにしてフイルムを巻き取る。

【ダークバック】
シートフイルムをホルダーに詰める時に必要。
大き目のLサイズが作業がやりやすくて良い。
撮影時にも念のため携帯したほうが無難。

携帯用のMサイズ、これとは別に自宅用のLサイズを持っている。

【露出計】
入射光・スポット兼用が便利。
入射光で大まかな測定をした後、スポットで各部分を測定して細やかな露出値を割り出す。

新品には手が届かないので、中古の旧製品セコニック L-508 を愛用している。

【メモ用紙(手帳)】
せっかくの大判撮影なので、撮影データも記録しておこう。

【カメラバッグ】
大小2個に分けて左右の肩にかける。
小さいバッグの側に三脚を持つとバランスが釣り合う。
私の場合は、電車に乗ったり徒歩で移動することが多いので
肩にかけやすく、人ごみを歩いても邪魔にならないスリムタイプを愛用している。
あと、A4の資料本やパンフレットが入るポケット500mlのペットボトルが入るサイドポケットがあれば申し分ない。
この条件を満たした現行バッグは皆無なので、エツミ製旧製品を大切に使っている。

【フイルム】
日本製は赤みが強いので青空や建築撮影には向かない。
愛用していたコダックのリバーサルフイルムが絶版になったので、
フジフイルムで最も赤みの弱い「プロビア100F(RDPⅢ)」を使用せざるを得ない。
一定以上の品質でカラー撮影するには、おのずとポジフイルムを選ぶことになる。
私の場合、ネガや白黒で建築を写すことはない。

絶版になったコダックE100G。本当に残念だった。


近代建築撮影講座(その5)『大判カメラ撮影当日・撮影編』

2014-11-24 22:58:19 | その他

いよいよ大判カメラによる撮影開始!


【手順1】ピントを合わせて、三脚位置を微調整する。

【例】
1.三脚を立てた位置からピントグラスを覗くと、左端に看板が入ってしまった。


2.ほんの少し位置を変えてやりすごす。三脚位置が決定したら再度ピントを合わせる。



【手順2】水平垂直を調整する。

レンズの向きを決定し、雲台の回転を固定したら水準器で水平垂直を調整する。
三脚自体のセッティングが傾いている場合もあるので、水平垂直を出したら雲台は回さないこと。
雲台を回した場合は、必ず水準器を確認する。
水平方向・垂直方向・回転のスリーウェイ雲台が使いよい。


【手順3】アオリ操作で建築の歪みを補正する。

【例】建築左の煙突を歪まないように撮影する。


1.黒枠線はアオリ操作無しで煙突を中央に据え、歪まないように構えた時の撮影範囲。

2.青枠線は地面が多く写りすぎるので、黒矢印のように前枠をライズアオリした後の撮影範囲。

3.建築全景を撮影範囲に入れるため、雲台を回転してレンズの角度を変えてしまうと下のように煙突が歪んでしまう。


4.そこで、建築に対するレンズの角度を変えずに、青矢印のように右へシフトアオリして撮影範囲を赤枠線に移動すれば煙突は歪まない。
このように大きく煽る場合は、十分なイメージサークルが無いと隅が蹴られることがあるので注意する。
今回のアオリ操作はこれで完了。


5.最後にもう一度ピントと水準器を確認して、カメラのセッティングは完了。


【手順4】シートフイルムホルダーをセッティングしてから、露出を測定する。

1.フイルムホルダーをカメラに挿す前に、ホルダーの下をトントンと叩く。
これは、露光中にホルダー内のシートフイルムが引力で落下し、ぶれることを防ぐため。

2.カメラのセッティングが完了しているので、ホルダーの挿入はカメラを動かさぬよう注意して行う。
露出測定後すぐに撮影(光線状態が変化する前に撮影)出来るよう、先にホルダーをセットする。

3.建築に当っているいる光と同質の光を測定出来る場合は、入射光式で測定すればほぼ正確な値を導き出すことが出来る。更にスポット測光も併用して、より正確な数値を導き出せば良いだろう。

4.露出の目安(個人的なものなので、あくまで目安とお考えください)
・露出の基準となる18%グレーに近いものは、青空・瓦屋根・明るめの煉瓦など。
・青空を濃紺に写したい場合は、青空部分をスポット測光して半段程度マイナスする。
・建築のハイライト部分とシャドー部分をスポット測光して5段(ポジフイルムのラチュード)以上の差があった場合は
シャドー部分がつぶれても仕方ないので、ハイライト部分の測定値から2.5段程度(白とびしない程度)プラスする。

5.建築全体にピントが来るように、絞り値は22以上にする。


【手順5】 シャッターを切る。

1.カメラを動かさぬよう、慎重に遮光板を抜く。風のある日は、ブレ防止のため遮光板を完全に抜き取ってシャッターを切る。

2.長め(50cm)のレリーズコードで自分の立ち位置の自由度を広めにとって、自身の影がレンズに被るように立つ(自身が写りこまないように注意)。レンズフードの代わりだ。自分の影をレンズに当てるため、三脚は4段中3段伸ばしの低めで立てている。どうしても高めに三脚を立てたい場合はこの方法は使えない。

3.露出測定からここまでの動作は出来るだけ迅速に行い、光線状態が変化しないうちにシャッターを切る。

4.遮光板は裏返して(撮影済マークの側を向けて)戻す。撮影データをメモして撮影終了。



 

 表題写真は「シャドー部分がつぶれても仕方ないので、ハイライト部分の測定値から2.5段程度(白とびしない程度)プラス」して撮影した例。
(撮影データ;EBONY SW45・MAMIYA-SEKOR 50mm F6.3・6x7判よりトリミング・1/30秒・f22 1/2・ライズアオリ・2014/11撮影)


近代建築撮影講座(その4)『大判カメラ撮影当日・準備編』

2014-11-24 15:05:11 | その他

書きかけで放置していた『近代建築撮影講座』シリーズの執筆を再開します。
永らくお待たせいたしました。

【過去の投稿】
『近代建築撮影講座(その1)『近代建築とは?』』
『近代建築撮影講座(その2)『下調べについて』』
『近代建築撮影講座(その3)『機材について』』
 



さて、下調べも済んでいよいよ大判カメラによる撮影当日。

天候だけは運まかせなのでなんとも出来ないが
やはり快晴の日がベストである。

ネットを使って作成した撮影計画(タイムテーブル)を元に、訪問開始だ。

現地に到着したら、最初に建物の周りを一周する。
1.建築が最も映える角度
2.太陽との位置関係
3.樹木・電柱などの障害物
の把握が目的だ。

この3点の折り合いを見て、カメラ設置位置を決める。

どうしても折り合いが付かない場合は出直した方が良い場合もある。

たとえば、
電柱の影が建物に被るが時間を変えれば解消する場合、
樹木が邪魔だが冬に落葉すればマシになる場合、
など。

取壊し予定が無ければ、建築は逃げないので
良い写真を撮りたければ撮影者が出直せば良い


次に、下調べでは分からない建築の細かい意匠をチェックする。
あんがい建築の見所は細部の意匠にあることが多い。
全景写真の他に押さえるべきアングルを決めるのである。

デジカメをお持ちの方は手当たり次第に細部の意匠を撮影しておいても良いだろう。
多数の写真を撮っておくと、帰宅後じっくりパソコンモニターで見たときに、
現場で良いと思ったアングルより更に良いアングルを見付けることもある。


さて、全景ほか数点の撮影アングルを決定したら、いよいよ三脚を立てて撮影準備にはいる。

三脚の据え方としては、倒れる可能性の高い方向に1本脚を向けて立てる。
坂の場合は低い方に1本、平地の場合はレンズ方向に1本といった具合。

道路で撮影する場合は通行の邪魔にならないよう細心の注意を払う。
これを怠ると、通行人に三脚を蹴っ飛ばされて悲惨な結果が自分に返ってくる

当たり前のことだが、養生中の芝生など立ち入り禁止の所には絶対に立てないようにする。


三脚を立てたらカメラを据えるのだが、
愛用のEBONY SW45はMamiyaの旧型クイックシュー対応で便利だ。
一般のクイックシューはロックを解除するとポロリと取れてしまうものも多いが、
スライド式着脱で、ロックを解除しても外れないので安心だ。

大判カメラは三脚撮影が必須となるので、
大きめでしっかりしたスライド着脱式のクイックシューを使って
セッティングの手間を短縮すればよいだろう。

私が愛用する三脚は、「ベルボン カルマーニュG5400Ⅱ」。
1770gと軽量ながら同クラスの三脚の中では格段の安定感があり、
2kg程度の木製フィールドカメラなら十分に対応できる。
さらに、4段式なので短く収納することが出来、持ち運びに便利だ。

東京などの都市部を撮影するには、混雑した電車に乗ったり長時間歩くことがある。
一人の場合、この三脚は軽く小さいので都合がよい。


次回、『大判カメラ撮影当日・撮影編』に続く。
いよいよ撮影です。



表題写真は三脚にセッティングした大判カメラ

「カルマーニュG5400Ⅱ」
「Mamiyaの旧型クイックシュー」
「EBONY SW45」 

この構成なら三脚+カメラ+レンズ1本で約4kg程度。
35mm一眼レフ並みの重量で大判撮影が出来る。


近代建築撮影講座(その3)『機材について』

2013-08-30 00:41:14 | その他

建築を撮影する機材のはなし。

・大判カメラ(シノゴ判)
体力と財力が必要だが、
自由自在にアオることが出来て、
あらゆるメーカーの、全ての大判カメラ用レンズが使用可能。
更に、フイルムホルダーを交換すれば6x4.5~6x12の中判フイルムにも対応できる。

類無き最強の機材である。

デジカメに移行するまでは、プロ建築写真家必須の機材だった。

私が大判カメラを使えるようになったのは
デジカメ移行後、安価なプロ用機材が出回ったため。
フルサイズ一眼+PC24mmで約40万円以上もするが、
選り好みしなければ90mmレンズ+大判カメラで10万円以下で手に入る。
アマチュアが大判カメラを始めるなら今!
今を逃すと、フイルムの供給が無くなるかもしれないし・・ 

【アオリの基本操作】
ライズ(上)・フォール(下)・・レンズを上下にスライドする・・建築の垂直を出す操作
シフト(左・右)・・レンズを左右にスライドする・・建築の縦の中心軸を移動出来る
ティルト(上・下)・・レンズの首を上下に振る・・被写界深度を意図的に操作出来る
スィング(左・右)・・レンズの首を左右に振る・・被写界深度を意図的に操作出来る

これらのアオリを組み合わせて駆使すれば、
素晴しい建築写真が撮影出来るはずだが、中々難しい。
特にシフトを使う時は要注意。
ある部分の歪みを補正すれば、別の部分が歪んで見えることがあるからだ。

最も気になる上窄みの補正はライズだけで出来るので
私自身の撮影はライズアオリのみでやることが多い。

【4x5インチカメラの種類】
モノレールカメラ・・・主にスタジオ撮影用。アオリの自由度が高く撮影しやすいが、大きく重いため持ち運びが大変。本体重量は5kg程度、最も軽量なTOYO VX125で2.7kg。サイズが大きいので公共交通機関による持ち運びには向かない。
フィールドカメラ・・・コンパクトに折り畳むことができ、持ち運びに考慮されているがアオリの自由度が低い。特に47mmなどの超広角レンズを用いる場合、ピント・アオリ操作に制約があるので要注意。本体重量は3kg程度、軽量な木製カメラで1.52kg程度。
なお、木製カメラを使用する場合は、以下のような注意点がある。
1.ちょっとした振動でもブレてしまうのでレリーズ時に細心の注意が必要
2.降雨などで濡らしてしまうと木の伸縮で精度が狂うことがあるので絶対に濡らさないようにする

・35mm~中判一眼レフ
一眼レフならばPC Nikkorなど、単一方向のアオリ機能付きレンズがある。
最近は、ティルトまたはスィングも出来るレンズがあるが、非常に高価。
上窄みの補正だけで良いなら、大判でなくても一眼レフで十分

【主なシフトレンズ】
 フイルムカメラ用
Mamiya RB67プロフェッショナルSD用 マミヤシフトL75mmF4.5S
Mamiya 645 セコールシフトC50mmF4
Nikon F 28mm・35mm
OLYMPUS OM 24mm・35mm
PENTAX K 28mm
※Nikon,PENTAXはデジカメに装着可能。
※多種多様なマウントアダプターが市販されているので
様々な組み合わせでこれらのレンズを利用することも出来る。
  
 デジカメ用現行レンズ
Canon EOS 17mm・24mm・45mm・90mm
Nikon F 24mm・45mm・85mm 

建築細部のアップを写すなら、100200mm程度の単焦点望遠レンズも欲しい。

・コンパクトカメラ 
ズームレンズはもってのほか。
コンパクトに設計しているだけに、
樽型・糸巻型の収差が酷いレンズが多い。
(一部のデジカメに、撮影後収差補正できる機能があるらしいが、
これこそ収差が酷いという証拠だと思う) 
出来れば単体レンズの機種を使いたい。

建築写真は全景写真が基本となる。
だから、写りの良い広角系単体レンズのカメラが必須。

【単体レンズのコンパクトカメラ】
 フイルムカメラ
RICOH GR1(28mm)
MINOLTA TC-1(28mm)
Konica Bigmini(35mm)
FUJIFILM NATURA(24mm) など
 コンデジ 
RICOH GR シリーズ(28mm)
Nikon COOLPIX A(28mm) など

以上が
胸ポケットに入る程小さいながら、
写りの良い単体広角レンズが付いたカメラ。

なお、少し大きめでズームレンズが付いた
中途半端にコンパクトなカメラを使うくらいなら、
レンズ交換の出来る一眼レフの方が
拡張性があって良いと思う。
ズームレンズを使いたい場合でも、
一眼レフ用の大きなレンズの方が
画質面で妥協の少ない設計である可能性が高いと思う。



表題写真は旧水海道小学校本館(羽田甚蔵/M14・S48移築/木2/県指定有形文化財)です。

この写真は、上述の「シフトを使う時は要注意」の例

建築の正面に対して90度、横のラインが水平になるようカメラをセットして
左右がバランスよく収まるようにシフトで調整して撮影。

この写真は左側から撮影しているので、
少し右肩下がりに写るのが自然な遠近感。
横のラインを水平に補正したつもりだったが
遠近感が狂い、奇妙に歪んで見える。

何をどう補正するのか?
そうすると、どこにシワ寄せが来るのか?
ちょっと難しいが、大判カメラのアオリは奥が深くて面白い。 
 



アオリのはなしは、説明不足で少し難解かもしれません。
今後、撮影本番についても記述していく予定なので、
詳しい説明はその折にUPします。


近代建築撮影講座(その2)『下調べについて』

2013-08-28 20:56:35 | その他

私が、パソコンを導入してインターネットに接続できるようになったのが
ちょうど10年前の2003年。
それ以前はネット無しで近代建築撮影の下調べをしていた。

当然、調べ物は紙資料に限られる。
最初に購入した書籍が、鹿島出版会「近代建築ガイドブック」
1982~1985年にかけて日本全国を5ブロックに分けて刊行された。
私が購入した1994年頃には「関西編」「関東編」以外は絶版状態で入手不可能。
その穴を補完する為に、地方出版社の近代建築本を集め、
更に「新版 日本近代建築総覧」を手にすることになる。
この“総覧”は登録文化財制度が導入された時には基本資料になったと聞く。
しかしながら、下調べには向いていない。
なんせ1970年代に収集したデータである為
半数近くの建築が喪失していたのである。
東京・大阪の街歩きでは、戦災焼失マップも重宝した。

このような紙資料で下調べをしていた頃は漏れが多かったので、
地図を持って雰囲気のある通りと筋をできる限り見て歩くようにしていた。
町外れまで歩いて、旧市街はここまでだと思っても、
次の四辻まで足を運び、交差する全ての道を観察した。
そうすると、何か見つかることも多かった。
手間はかかるが、発見の喜びを感じることも多かった。


それに比べて、インターネットを使った下調べは、簡単である。
訪問する土地の名前で「姫路 近代建築」などと検索すると
いくつかのサイトが見つかる。
見つかったサイトで物件名を片っ端から確認し、
所在地が不明であれば、更に物件名で検索する。
このような、検索の繰り返し
物件の所在地と外観を確認していく。

そして「Google マップ」の出番。
所在地と外観が分れば、
航空写真やストリートビューを活用して
建築の向きを特定できる。
撮影アングルと太陽の位置を考慮して
訪問撮影時間を決める。
このような過程を経て青空写真を撮影する。

更に、所在地が不明でも、大建築なら航空写真から位置特定できる物件もある。

ネットを使えば、物件情報を知るだけでなく
訪問撮影計画(タイムテーブル)まで作成できる。

しかし、発見の喜びが少ない。
便利になったが、楽しみが減ったように思う。
仕事でないなら、ここまでやらなくても良い気もするが、
どうなのだろうか? 


表題写真は桐生倶楽部会館(清水巌/T8/木2/登録文化財)です。
Google マップ西向きと確認して午後に訪問撮影した。
正面に車が停まっていたが、青空写真が撮影できた。 


近代建築撮影講座(その1)『近代建築とは?』

2013-08-28 17:43:18 | その他

独学で建築散策・撮影をやりはじめて、約20年。
建築散策や撮影のノウハウについて、自分なりにまとめておこうと思う。



まずはじめに、拙ブログの題になっている「近代建築」について。


近代建築というと、現代的な超高層ビル群を思い浮かべる人が多いかもしれない。
しかし、近代建築とは歴史区分上の近代に建てられた建築の総称(広義の近代建築)である。

日本における歴史区分上の近代とは、明治~第二次世界大戦終結まで。
この時期は西洋風建築が取り入れられてから敗戦による建築思想の大転換までで、
最も建築のバリエーションに富んだ時期だといえる。

日本建築史では、西洋風建築を近代建築と呼ぶことが一般的であり(狭義の近代建築)、
和風建築は近代和風建築という別ジャンルとして捉えられることが多い。
和洋分けて考えるのは日本独特で、世界的には建築時期による区分のみのようだ。

拙ブログでは、町家などの和風建築も紹介しているが、
日本流の分類では、近代建築にならない。
町家は古民家または町並のジャンルに入り、近代より更に古い物件もある。

私は、今でこそ西洋風建築をメインに散策・撮影しているが、
被写体は城郭に始まり、古寺・古塔、町並・町家などを経て
最終的に西洋風建築に落ち着いた。
そんな訳で、古い建築を和洋問わず雑多に取り上げているのである。


次回は、『下調べについて』


表題写真は伊賀上野城復興天守閣(不詳/S10/木/文化財指定なし)です。

この建築は広義では「近代建築」、狭義では「近代和風建築」、
あるいは「城郭建築」と見ることも出来る。
しかし、「復興天守」は
実在した天守のデザインが分らず、想像にたよったり、
意図的に外観改変して建てられた建築であり、
史実とは異なる姿をしている。
正確には、城郭建築と考えない方が良いかもしれない。 

【参考】天守の種類

現存天守・・・本物・・・姫路城・彦根城など12城
外観復元天守・・・本物と同じ外観で復元した天守・・・名古屋城など戦災焼失天守が多い
復興天守・・・本物とは違う外観で復興した天守・・・小倉城など
模擬天守・・・天守が存在しなかった、あるいは存在したかどうか不明だが城跡に建てられた天守・・・ 郡上八幡城など
上記のほかに、城跡以外に建てられた天守閣風建築物は無数にある・・・ 熱海城など


 


Photoshopによる建築写真の修整

2013-07-26 22:39:36 | その他

建築写真の画像処理でよくやるのが、垂直の補正。
以下にその問題点を説明します。

※いつものように、画像をクリックすると大きい画像でご覧いただけます。

1.元の画像

アオれないレンズで普通に撮影すると、
上窄みの写真が撮れます。
そこで、フォトショップを使って
垂直の補正をするのですが・・

2.上を広げた場合

実際よりもちょっと太ってしまいました。

3.下を窄めた場合

実際よりもかなり痩せてしまいました。

追記
4.ShiftNを使用して修正

投稿後ネット上で、フリーソフト「ShiftN」を発見。
画像を自動解析して、垂直補正してくれます。
上を若干広げて、下を窄めるようになっています。
少し痩せ気味ながら、まずまずのバランスですね。
おそらく、太り気味より痩せていた方が
スタイルが良く見えるのでこのように設定されているのでしょう。
いずれにしても、現物をアオリ撮影した訳ではないので
建築が正確に表現されているかどうかは、分かりません。
追記ここまで

垂直をフォトショップで事後修正処理すると、
建築を正確に表現できないのです。


そこで、カメラの水平垂直を出して縦長に構えて、写真Aのように
下半分に大きく道路を入れて撮影します。

A.垂直に撮影

当ブログではたいていこのまま使っていますが、
今回は、写真B以降のような加工・修正を施しました。

B.トリミングします

これで、アオって撮影した写真と
なんら変わりませんね。
これで完成でも良いのですが・・

C.電線消しに挑戦

1/3くらい作業して、途中保存した画像です。
手間のかかる加工は、マメに保存を!

D.電線消し完了

初めての挑戦にしては、
良く出来たと思います。
雲を違和感無く仕上げるのに
ちょっと苦労しました。


更に、色調・コントラストなどを修正して
出来上がり!(表題写真)


使用カメラは単体レンズのコンデジ、GR Digital IIです。


基本的に、建築写真にズームレンズは使っていません。
ワイド側で樽型、テレ側で糸巻き型の収差が出るからです。
最近はカメラ内で収差補正をする機種があるそうですが、
補正無しで真っ直ぐに写る単体レンズの方が画質面でも有利だと思います。

上記の電線消しも、ウソの風景を作ることになるので
個人的には、やらない方が良いと思っています。
プロの写真家がお客さんの要望でやるのは仕方ないんですがね。


昭和10~15年頃の古写真

2013-07-21 19:04:06 | その他

今回も、骨董市で入手したお宝です。

個人の写真アルバムです。

どこの家のアルバムも
人物写真に終始しているのが殆んどですが、
かなりの確率で都市風景、建築写真が
貼ってあったので購入しました。

その中からいくらかご紹介します。
 


※クリックすると大きい画像でご覧いただけます。


東京の夜景


満州国皇帝陛下御来訪東京駅前奉迎門(昭和10年)
後ろには丸ビル


明治生命館


帝国劇場


東京宝塚劇場


日本劇場


歌舞伎座


三越本店


花電車
都電のイベント専用車両のようです。
先頭に東京都(当時は東京府)のマークがありますね。


大東京の景観
 


丸ビル・東京中央郵便局


郵船ビルディング


左から昭和ビルディング・時事新報社・明治生命館


東京朝日新聞社


松屋(銀座)


日本橋・帝国製麻


日本橋・西川ふとん


ニコライ堂


聖橋


聖徳記念絵画館


その他(場所不明物件など)


現・日本橋本町2丁目交差点付近より北を見る
中央の黒いビル「大森ビル」(S3)
その左の白い巨大ビル「本町アパート」(S9)
本町アパートの左端の真下、上下2個の丸窓があるビル「藤沢商店 東京支店」(S6)
左奥の黒い巨大ビル「丸石ビルディング」(S6)


現・日本橋本町2丁目交差点付近より西を見る(戦車行進)
ブログ『ぼくの近代建築コレクション』によると、黒っぽいビルは2010年まで現存していたようです
「杉野ビル/日本橋本町2丁目」


このビルがアルバムの主の勤め先みたいです
上2枚はこのビルの屋上から撮影した?
だとすれば、「塚本商店 東京支店」(S4)かもしれません


場所不明(雪景色)
もしかしたら、上と同じ場所から南西方向を撮影したのかもしれません


隅田川・東武鉄道隅田川橋梁


多摩湖


長潭橋


宝塚動物園 ラクダ


汽船


二重露光
失敗か故意かは不明。
菊の背後にうっすらと帝国劇場と第一生命館が・・

表題写真は日本橋です。 


昭和30年代のスライドフイルム

2013-07-17 20:38:49 | その他

7月14日、骨董市で大量のスライドフイルムを発見。
銀座三愛ビル竣工(S38)以前、昭和33~35年頃の物だと思われます。
20枚くらい入った箱が13個、200枚以上あるでしょう。
その中から都市風景や建築が写っている物を中心に紹介しましょう。

当時、カラー写真をスライドで楽しむというのは、
金持ちの特権だったのではないでしょうか?
足利、熱海、成田、東京、モデル撮影会と
神出鬼没です。


※クリックすると大きい画像でご覧いただけます。



織姫山から見た足利市街




上から順番に東から西へ向かってパンしながら撮影しています。
表題写真は、更に東の写真ですので、
4枚続けて見てください。
3連橋はS11完成の中橋です。
赤屋根の宮造りの銭湯は花乃湯
更に共益会館らしき建物も見えます。
 


熱海


下の現状と比べると、山が大きく見えますね。


ほぼ同じアングルからの現状写真
稜線が同じですね。
(googleストリートビューより)


成田山新勝寺参道


後ろに「米屋羊羹」と読める看板があります。
 


皇居のお堀とビル群


右から第一生命館、帝国劇場、東京会館、商工会議所、明治生命館、時事新報社、昭和ビルディング、郵船ビルディング、海上ビルディング


銀座・有楽町・築地 


服部時計店
三愛は旧ビルです。 


東京朝日新聞・遠くに国会議事堂
当時は議事堂よりも高い建物が有りません。


おそらく、松屋からほぼ真南を撮影した思われます。
中央に新橋演舞場、、左端に日章興産ビル(歌舞伎座の隣)、右端に三原橋センター。
上記2枚も松屋から撮影したと思われます。
 


モデル撮影会


ほかに、和装、洋装のお姉さんも居ました。
ヌードは有りませんでしたよ。
 



カラーだと古い様には見えませんが、
55年ほど前の風景です。
カビにやられていますが、退色は少ないかと思います。

骨董市や骨董店で、思いがけず貴重なモノに出会うことがありますね。


別館開設のお知らせ

2011-11-01 21:43:02 | その他

しばらく更新が滞っておりましたが、死んだりはしてませんよ。

長らく遠ざかっておりました奈良・古寺探訪の趣味が再燃し、そちらに注力しておりました。

そうでなくても好きな物が沢山あるので、近代建築以外の四方山事についても、別館を開設していろいろ書いてみることにしました。

ブログ名は「よろずのモノ語り」です。

まだ本文は書いていませんが少しづつ書いていきますので宜しくお願いします。

表題写真は奈良・東大寺大仏殿です。
(カメラ;PENTAX SF・2011/9/25撮影)

地震のこと(茨城県守谷市にて)

2011-03-20 01:28:58 | その他



この度の、地震・津波ににより亡くなられた方々にお悔やみと、被災された方々にお見舞い申し上げます。



※東北の被災地の方々と比べると何とも無かったと言えるレベルですが、私の地震経験を記しておきます。

去る3/11午後、私も常総市と守谷市の境にある職場で地震を体験いたしました。
最初はよくある地震のような小さな揺れがしばらく続き、いつまでたってもおさまらずどんどん大きくなり、机の下に隠れているより他に何も出来なくなりました。
震度5強。棚は倒れ、引き出しはすべて飛び出し、事務所は惨憺たる状態になりました。


揺れがおさまってから恐る恐る外に避難しました。不幸中の幸いで職場での怪我人は無く全員無事。その後の仕事は切り上げて帰宅することになりました。

帰宅途中、南西の空が重たい感じの赤黒い雲で覆われていました。いわゆる地震雲だったのかなと思います。
町の様子は普段と変わりなく、コンビニも営業しており不思議な感じがしました。とりあえず、水・食パンなどの食料品を調達しました。

帰宅してみると、建物は無事でしたが予想通り足の踏み場も無いくらいに様々なものが散乱していました。


本・CDが散乱し、プリンタは落下していました。とりあえず散乱したものを片付けはじめましたが約3時間ぐらい掛かったでしょうか。余震に備えて落下したものは棚に戻さず、床に並べて置いています。

このような状態の中、落下したプリンタや家財道具・食器類には全く被害なく、唯一の被害はヤマトの模型が大破したことだけでした。本当に幸運としか言いようがありません。


守谷市の自宅では停電・断水は無く、瓦斯も地震で自動供給停止したものの、メーターの復帰ボタンを押すと再度供給されました。ライフラインにも被害はありませんでした。

しかし、TVをつけてみると大津波に呑まれる町。あまりの出来事に愕然としました。余震も幾度と無くあり、携帯の緊急地震情報が何度も鳴りました。

夜になって、いきなりTVが砂嵐になり見れなくなりましたが、電池式の携帯TVは受信できたので付けたまま就寝。



翌12日、後片付けに出勤するため平日と同じ時刻に起床してみるとTVは直っていました。おそらくケーブルTVの機器にトラブルがあったのでしょう。

度々余震のある中、職場の片付けは夕方までにほぼ終わり、あとは工場内の機械の復旧にどのくらい掛かるかというところになりました。



13日はいつもなら骨董市をやっているつくばみらい市の板橋不動に行ってみました。
当然ながら市は開催されず、敷地内の灯篭や石碑が倒れていました。




その後、つくば市まで買出しに行きましたが、営業していたスーパーでは、カップラーメンとパンが売り切れ。しかも断水しているとのことでした。

守谷とつくばを往復する間、かなりの数の木造住宅で瓦が落ちていました。



以上、震災後3日間の私的な経験談でした。


14日以降は、原発問題・計画停電(茨城は今のところ回避)・ガソリン不足などが続いていますが、私自身は特に困っていることはありません。

被害が軽く済んだ私たちには、原発の状態が一番心配です。
現地では命がけで放水、電力復旧に努めている方々が居ます。
事態は必ず解消されると信じて見守るしかありません。
作業員の皆さんのご無事を祈ります。

そして私たち個人に出来ることは、余計な電力・燃料を使わないように心がける、必要以上の買占めをしない、チェーンメールなどの流言・デマに惑わされない、といったところでしょうか。
被災地のために何か具体的なことが出来なくても、一人一人がこのような小さなことに気に留めながら秩序正しく生活することが大切だと思います。

※表題写真は、地震で落下し、2時46分で止まった職場の時計。