協議離婚サポートブログ 東京都杉並区の行政書士瓜生和彦 離婚協議書、公正証書の作成サポート

日常生活は平凡なのですが、離婚とか相続とか、日常とは違う相談を受ける行政書士が、離婚の情報と仕事の合間に思うことを発信。

親権者を決める基準について。

2010-10-08 15:14:01 | 悩み

協議離婚のお手伝いをする場合、親権者については争いがないのが通常です。ここで争いがあれば、裁判所の調停ということになりますから。

ですから、協議離婚では、親権者を決める基準は問題となることはほとんど無い、と言って良いでしょう。

ただ、先日、参考のために、裁判所が親権者を判断する際の基準を知りたいというお話がありました。その時に、まとめたものをご紹介しようと思います。
ご参考になればと思います。

裁判所が親権者を指定する場合、その判断基準は、夫婦のどちらが親権者になることが「子の利益のため」になり、子の幸福に適するかです。
それを判断するために、具体的には次のような事情が総合的に考慮されています。

 1.父母側の事情
   ① 監護に対する意欲・子に対する愛情の度合い
   ② 監護に対する能力
     年齢・心身の健康状態、時間的余裕、資産・収入などの経済力、実家の援助など
   ③ 生活環境
     住宅事情、居住地域、学校関係
 2.子ども側の事情
   ① 子の年齢、子の心身の発育状況(乳幼児、3歳~10歳くらいまでは、母のもとで監護させること、母とのスキンシップによる養育が1番自然で幸福だということが言われ、家庭裁判所の調停や審判では、この点を重視して親権者を母とするものが多い、という指摘があります。)
   ② 環境の継続性
   ③ 子の意思(15歳以上の子について、親権者の指定の裁判・審判をする場合には、子どもの意思を確認しなければならない、とされています。)

これらのうち、「環境の継続性」とは、別の言い方をすれば、「現状の優先」です。この考え方に従った裁判例は多く、重要な考え方とされています。
 これは、これまで実際に子どもを養育してきた者を優先させるという考え方です。父母が別居状態にあって、子どもはすでに一方の親のもとで養育されているとき、急激な生活環境の変化をもたらすような親権者の決定の仕方は、子どもの精神的動揺を招き、情緒の安定のうえから好ましくないという理由からです。
学校生活を送っている子どもにとっては、友達・先生とのつながりは、人格の成長発展のために重要なものであり、その点からも、「環境の継続性」には意味があるとの指摘があります。