むらやわたる57さい

千文字小説の未来について

超IQ研究所 「専門書について」

2019-05-15 12:33:11 | 小説

 文系の大卒女にとって、意味不明な専門書は服のような物だ。これは書店にいる高卒の販売員が、商品ぶん類が書かれた紙をながめているだけで次々と買いにくる。なぜそうなるかをよく観察してみるとかん高い声の火星人に導かれているらしい。それは書店に大学で成績が、首席級の人がいて案内をしているように聞こえる。要するに、専門書の内容に興味があるわけじゃなくて、火星人の案内がおもしろくて買うみたいだ。専門書そのものは出版社が博士や名誉教授に執筆依頼してつくって、大学の図書館向けに印刷した物だが、なにが書いてあるか理解できない物ばかり。ところがそういう専門書でも三〇年以上経過して著作権切れ(改正前)になると、頭脳になる本として使える。著作権切れの専門書は絵に描いた餅であった頭脳が、自由に使えて、書き物などに大変役立つ。これは古本屋の主力商品だ。しかし古本屋の店外で、一冊百円ぐらいで売られている著作権切れの専門書を見かけることがある。これは、なにかと、いうと便所に長期間置いていた物か腐乱卵が、微量付着している疑いがある物らしい。さて。書店で新しい専門書を案内していた火星人はどうなるのだろう。それは本の種類によって、違いはあるが三〇年から五〇年(改正後は七〇年から著者の死後)寝かせることによって、「火星人の実入り」になる。これは古本屋で、三千円前後くらいの物であまり安い物には実が入ってない。つまり火星人に導かれて買った専門書も著作権が切れるまでは、火星人がどこかに消失しているわけだ。そしてそれが三〇年後に、古本屋の店主が「買ったときの火星人は」と、つぶやくと復活する。古本屋で専門書を買いとるときは、一冊三百円~七百円ぐらいで、難解で目や頭に悪そうな物が、実入りに化けやすい。しかしこれはきれいな本の場合であって、文系で独身の大卒女は、なにかの外敵から身を守るために、洗剤や香水につけた腐乱卵を、本棚に隠していることがときどきある。その女は、なにか特殊な免疫力が、あるのかも知れないが腐乱卵は微量でも、皮膚炎になる危険がある物だ。知識があれば、とても役立つ古本だけど購入には見えない危険がある。そんなわけで役立つ古本の選び方はあまり知られてない。未来において火星人の探索が始まれば、古本の価値も認められて、火星人の種類や構造も判明する。でも地球人が火星人の頭脳を解明できる未来は、果たしてあるのだろうか。

    おわり