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速読法?・チョムスキー批判4

2009-12-07 15:52:04 | 脳科学者たちの迷走
こんにちは。 テツせんです。
先週に紅葉していた街路樹がすっかり落葉している今日この頃ですが、
みなさん、いかがお過ごしでしょうか?

さて今回は、ノーム・チョムスキーの亡霊がいまだにバイアスをきかせている
科学?のひとつ・『速読法』について、

全日本カウンセラー協会・ポルソナーレ主宰の田原克拓先生のお話をご紹介いたします。
これまたしつこく脳科学者の思考パターンを解体すべく、ご紹介しています。

□ ノーム・チョムスキー批判・パートVI

●「速読法」とは何か?

平成21年11月22日付の日本経済新聞に「10分間で文庫本一冊が読める」という「速読法」の広告が載っていました。
新聞の一ページを使った全面広告です。
興味深いのは、記事ふうの広告文の中での開発者の「栗田昌裕博士」の会話体の説明です。
要旨はこのようなものです。
「テレビのアナウンサーが原稿を読む時の速さは一分間に約300文字だ」
「人は、習慣として最初に話し言葉を憶える。これは聴覚的な言語だ」
「小学校に入ったら書く言葉、文字としての言語を学ぶ。これは目から入ってくるので視覚的言語だ」
「脳の中の大脳皮質にある言語野の音の回路を使って読書をしている。だから読書スピードに限界がある。そこで、光の回路を使って読書をすると読書のスピードがどんどん上がる」
「読書の理解と記憶力の向上と読書のスピードとは比例している。理解とは、入力した情報と、過去の知識、経験がむすびつくことだ。脳そのものの性能が上がる」

◎体験者の広告用のコメント
行政書士「先日、来訪した7年前に受けた相談者の内容を記憶していた」
主婦「夫は、私のパソコンの画面を読む速さに驚いていた。スクロールしていく速さが違っているからだ。また、調理師の仕事をしているが、業務用の冷蔵庫の中の食品をパッと見ると何が足りないかもすぐ分かる」
医大生「臨床実験で患者一人のカルテを短時間で把握するときに速読法が有利だ」
主婦(72歳)「頭の運動にもなる。物忘れもなくなった」

●「見ること」「聞くこと」の大脳生理学

では、大脳生理学の説明するところではどうなのでしょうか。
『脳のしくみとはたらき』(クリスティーヌ・テンプル。講談社、BLUE BACKS。朝倉哲彦・訳)ではこう書かれています。

① 光が目に入るとまず網膜に進む。ここには、異なった型の視覚の知覚神経細胞がある。
外側膝状体の背内側核に投射するアルファー細胞だ。これがY経路だ。
もう一つ、ベータ細胞がある。これがX経路だ。アルファー細胞は「Y経路」ともいわれる。
ベータ細胞は「X細胞」ともいわれる。

② 「Y経路」は、認知のスピードが速い。ものごとの形状、形のパターン認知をおこなう。
動くもの、動かないものを弁別する。

③ 「X経路」は、ものごとに焦点を合わせて認識する。色、形状、こまかい線のいりくみ、光、影を認識して記憶する。

④ 目は、自分が正面を向いた時に左と右の両方の位置に一つずつある。
脳は、左脳と右脳に分かれている。
目も耳も「交叉支配」なので、左目は右脳に、右目は左脳につながる。
そして、左脳はデジタル脳で、右脳はアナログ脳だ。
右脳は「認知」(Y経路)、左脳は「認識」(X経路)をつかさどっている。

⑤ 当然、左目、右目にも「X経路」と「Y経路」はある。いずれの目も、
「目の外側」がY経路で、「目の内側」がX経路となる。

⑥ したがって、視覚は「遠くのもの」「動くもの」を見るときは「Y経路」が働くことになる。
「近くのもの」「止まっているもの」「ものごとの内容」を認識する時は「X経路」が働くことになる。

●聴覚と脳のメカニズム

⑦ ところで「耳」(聴覚)はどういう仕組みになっているのか。

聴覚は、耳からの情報が「視覚神経」を伝わって「内側膝状体」で分かれて「聴覚野」に伝わる。
「視覚」は「外側膝状体」で分かれて「ウェルニッケ言語野」と「ブローカー言語野」に視覚情報が届く。
つまり、視覚による「知覚」と、聴覚による「知覚」は、膝状体までは同じ「視覚の神経」を伝わるということだ。
だから、人は、「リンゴ」という言葉(発語と発声)を耳で聞いた時に、
共時的に「リンゴのイメージ」が、右脳系の前頭葉に表象(ひょうしょう)する。

⑧ 耳の聴覚がとらえた「X経路」と「Y経路」とはどういうものか。

これには、1956年の「ヤコブスン」と「ハレ」の実験観察がある。
「ヤコブスン」と「ハレ」は、
人の発声する「子音」は「閉鎖音」「口唇音」「歯槽音」「有声音」の4つであるととらえた。
これらは「p」「b」「t」「d」の四つの音素である。
この四つの音素は「p」と「b」、「t」と「d」というように区別される。
すなわち、「発声が始まる」ということは連続するのではなく、
「声音開始が遅いときはpが発声される」「早いときは音声bが発声される」というものだ。
「声音開始は、マイナス0・15秒からプラス0・15秒」まで、「0・01秒」刻みで変化する、
つまり「別々の音節をつくり出す」というものだ。
人は、この「音素カテゴリー」(0・01秒のカテゴリー知覚)を「聴性信号」として認知(右脳)し、
そして「認識」(左脳)する。

⑨ この脳の聴覚にかんする話し言葉の言語の識別能力を「カクテル・パーティ現象」という。

複数の人間どうしの会話の中にいて、
この中の特定の「発語」を選択的に特定して聞き、話すというものだ。
これは、Y経路によるパターン認知とX経路による「認識」のメカニズムを示すものだ。

●「ブローカー失語症」と「ウェルニッケ失語症」

⑩ ここから「言葉」「言語」には「概念」とその「意味」という記憶の水準が発生する。

具体例をあげると「ブローカー失語症」と「ウェルニッケ失語」という二つの聴覚障害がある。
「ブローカー失語症」とは、質問される、問われる、
もしくは自発的に話す必要があるなどの場面で「断片的にしか話さない」「何も言わない」「黙る」などのことだ。
これは、「Y経路」の関与する言葉(概念)を学習せず、記憶していないことによる。
日本人の場合、「漢字」「漢語」による抽象名詞、抽象形容詞の概念の学習がなく、
記憶が無いときにこの「ブローカー失語症」が生じる。

「ウェルニッケ失語症」とは何か?
言葉の意味を適当に見当をつけて、本人には全く意味不明のままはてしなくしゃべる、ということだ。
時々、話の脈絡とは関係のない「語」がはさみこまれるという「ジャルゴン失語症」も混じる。
ウェルニッケ言語野の知覚の認知の記憶のままに、
思い浮ぶ表象のままにとめどもなく話すというのが「ウェルニッケ失語症」だ。

●日本語は、「聴覚中心」の言語である

■ところで、日本語(和語)は、国語学者・大野晋の研究によれば、
「a,i,u,e,o」の5つの母音で成り立っています。
必ず母音で終わるという「話し言葉」が「上代文字」の「万葉仮名」を経て、
「カタカナ」「ひらがな」がつくられて「書き言葉」になったものです。
「漢字」「漢語」以外の日本語は、話し言葉が文字化されています。
また、漢字・漢語も多くは「訓読み」で発音されるので、「和語化」(やまとことば化)されています。

すると日本語は、「聴覚」を中心にした言葉であるということになります。

こういう日本語の特性から「日本型の分裂病」の表象として
「いつも恐怖のことが頭に表象しつづけている」(ブローカー失語症)、
「人との会話では、自分の不安、緊張のことをしゃべらずにはいられない」
(ウェルニッケ失語症・ジャルゴン失語症)が産生されつづけているといえます。

●ノーム・チョムスキーの「生成言語理論」

「言語機能の初期状態は、一群の下位システムないし、
モジュールと呼ばれるものから構成されている」
「これらの原理の一つ一つは、ある特定の非常に限られた変異の可能性を許している。
われわれは、そのシステムを一つの複雑なネットワークと考えることができる」
(ノーム・チョムスキー『言語と認知』秀英書房)

これは、ノーム・チョムスキーの「生成文法理論」の核心となるところです。

脳の中に、コンピューターに似たシステムが配備されていて、
これが言語とその意味、文法を「生成する」とのべられています。
ご紹介した「速読法」もまた、このノーム・チョムスキーの「認知」のみはあっても、
「認識」のメカニズムを欠落させたバイアスを共有しているものと思われます。


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TEL・東京03(3496)6645
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