パソコン上達日記2

日々の雑感を戯れに綴ります

「そして誰もいなくなった」後編 土ワイ仕様だがこれはこれで、いいかも

2017-03-26 21:40:08 | ミステリドラマ批評

驚くほどのスピードで次々退場、番組開始から40分、もう仲間由紀恵一人きりになりました(笑)

ところでイギリス版の「そして誰も」を見た女性の方は、柳葉敏郎に違和感を感じなかっただろうか?ギバちゃんが、いいとか悪いとか別にして、イギリス版では彼の役柄フィリップ・ロンバート役を、超セクシーな美青年「エイダン・ターナー」が演じていた。私も、久しぶりに3週連続目の保養が出来ると思ったくらい、素敵だったのである。圧倒的な美貌の彼。ドラマでは肉体美を惜しげもなく披露してくれるし。私もDVDに保存したイギリス版をまた観たくなった。

 

 


 

では本題に入り、「そして誰も」後編の感想を。

なるほど、そうきたか…という感じ。そもそもイギリスで生まれた小説を、日本で忠実に再現出来ない。例えば 横溝正史の「金田一シリーズ」「犬神家」をイギリスで日本以上に映像化出来るだろうか?と考えたらそれは無茶とか無謀とか、分かる。正攻法で勝負できないなら、日本版でオリジナル部分を付け加えて、そこを面白く見せるしかない。三谷脚本「オリエント急行」も後編は思い切ったアレンジをして、ユニークなドラマにした。「そして誰も」もこれと似通った手法、こちらは長坂脚本らしい「トリック」でそこを見せた。

後編は、犯人がどうやって10名の人間を殺害したのか?という点にスポットが当たり、このトリックの解明部分にかなりの時間が費やされる。(ナレーターに石坂浩二なんて本当に豪華。)原作と違う現代的なアレンジを加えたトリックで、見所といっていいと思う。トリックの解明には、探偵役で沢村一樹が登場。沢村一樹は劇画的なキャラが得意な役者さんかと思う。今回もドンピシャの役。後編の主演は「沢村一樹」と犯人役…(あえて名前は書かないが)のダブル主演ではないかと思う。

イギリス版では犯人役の独白が、とても短くあっさりしている。まぁそこがリアリズムだし、見ている側の想像や知的センスを試すかのようなイギリス版だが、日本版は犯人自身が丁寧にかつ分かりやすく犯行動機を告白、解説してくれる。まさにこれが土ワイ的日本的な「そして誰も」なのだ。ベタベタしていると思うか、これが分かりやすいと思うか、好みは分かれるでしょうが。

犯人は「この犯罪は芸術だ」という言葉で〆る。沢村は犯罪に芸術なんかない という言葉で〆る。私は犯人役の言葉のほうに説得力を感じたが。だってこれは小説の話だからね。

 

 

 

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「たそがれ清兵衛」日本人の美しさ

2017-03-26 17:55:52 | 映画

今日は体調が悪い。久しぶりの不快感。

午後からあまり動かず、寝ようと思ったけどあまり寝られない。


 

BS「たそがれ清兵衛」をダラ見したが、何度見ても名作は引き込まれる。たそがれの感想は、以前に書いた覚えがあるが、(たぶん消してしまった)感動したので、再度感想を。

清兵衛が最後に対決した男、余吾善右衛門は、もう一人の清兵衛だったかも…という見方に気づいた。

この映画の最大の見所はラストの果し合いシーン。見逃していまいがちなのだが、殺陣のシーンで、途中一瞬、余吾善右衛門が鴨居を見上げる。ここ瞬きしないで、ぜひ確かめて欲しいシーンで本当の一瞬。

このシーンの意味を考えた時、俳優の凄さ・作品の奥深さが分かる。ネタばれではないが、彼が何故鴨居を見上げたのか?を考えると、つまり清兵衛に討たれることを計算して動いていた?という結論になる。清兵衛はそれに気付かないが、観客はそれに気づく演出。

では何故彼が清兵衛に討たれることを望んだのか?彼の人生そのものが、清兵衛の人生と重なる部分があるからというのが答えだと、私は思う。二人とも宮仕えの身、現代だと会社に逆らうことのできないサラリーマン、組織の中で与えられたポジションをひたすらこなす「忠勤」けれど恩義を感じ実直に生きてきたゆえの、「死」なのだ。これほどの不条理を簡単に受け入れられるだろうか?

余吾善右衛門は清兵衛の実直さに好感を抱くが、その甘さ、人の好さに憤りを覚える。けれどかつての自分にも、そういう部分があったはずで、(酒を断って懸命に働いたという告白シーンから)また清兵衛自身が武士として剣の達人であったことが分かると、剣を交えながら考えが変わる。どうせ死ぬなら、清兵衛に討たれて死んだほうがと考えた、そこであの鴨居を見上げる目線になったのではないか?清兵衛の境遇を思うと家族を亡くした自分より、価値がある男だと思ったのでは?

対決シーンでのは鬼気迫る迫力が、それだけでなく、こういった心の変化が、刀を交えるシーン同様流れるような美しさ、凄然さで表現される。この後清兵衛は、余吾善右衛門と対決に勝利し、愛する人を妻に迎えたが、結局その幸せは3年しか続かなかった。明治維新を迎えた激動の時代の中で、清兵衛は戊辰戦争で戦死する。

ここは岸さんのナレーションでしか語られないが、あまりに悲しい。清兵衛も余吾善右衛門も、「もう武士の時代ではない」と分かっていた、分かっていたが自分にはどうすることもできない、ただ実直にその与えられた場で生きるしかなかった…

そういう愚直な生き方を「運がない」というのだろうか?「可哀想」なのだろうか?「悲しい」のだろうか?この作品が温かいのは、清兵衛の娘が「父はそんなことを思ったこともなかった」という語り。山田監督らしい人への優しさにあふれる言葉、最後に清々しく救われる思いがする。日本人の感性というのかなぁ、そういうものが根底にあって凄い映画だと思う。


稀勢の里優勝カッコよかった~神懸り的な。今は気分が少し良くなったので、「直虎」見てます。直虎の感想ですね、本当は書きたいけど…う~ん、難しい。もっと田島とか(→やっぱここね)深い苦悩を描いて欲しかったな。では頑張ってアガサを見るぞと。

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「そして誰もいなくなった」前編・アガサの名作が土ワイ仕様に

2017-03-25 21:01:10 | ミステリドラマ批評

アガサの「そして誰もいなくなった」

初の日本版完全ドラマ化、豪華キャスト・長坂脚本いうことで期待して見た。では前編の感想を。

私は昨年末のBS放送イギリス制作の「そして誰もいなくなった」を見たが、素晴らしかった。さすがイギリスはミステリの本場だなと感じた。こちらはアガサが生み出した孤島での連続殺人事件の驚愕すべきトリックより、静寂さを基調にしたセピア色のホラー、それでいてラストで唸らせるような心理劇・人間ドラマを見せた。が、日本版はどうか。何を見せたいドラマなのかという点に注目して見た。

「小さい兵隊さん」…ちょっと笑った。無理やり日本のわらべ歌にしてみました感が強く…しかも兵隊人形というよりフィギュアみたいでね。

物語は時間が限られているため、かなりコンパクトにした印象。オリジナルな部分もあるけれど、無理ない展開で分かりやすい。これならアガサ初心者でも登場人物の多いこの物語を咀嚼できる。

また豪華キャスト、・・中でも渡瀬氏の最後の作品。とても病気があった方とは思えない、その目の強さ、プロの演技を見られる。

 登場人物10人がダイニングで語る過去の逸話、これが重要な鍵なのだけど。ここでひきつけておいて…いきなり向井理が退場(殺される)してからの、スピーディな展開。アッという間に時間が過ぎる。 ただ…大地真央のあたりから、ちょっと端折りすぎか。(笑)あまりに早すぎるかも~まぁこれはこれでいいかもしれないが。時間がないのです(笑)

例えばイギリス版だと、使用人夫婦の妻が殺された後、そのあとの食事シーン、こんな台詞がある。「恐ろしい目にあったのに食事の支度などできるのか 」「いや何かをしていると気が紛れる…」といったような。ところが、このドラマでは人が次々殺されても食事が淡々と用意される、途中「食事が缶詰め」になったらしいが、これは小説の設定だろう。使用人が殺されてから誰が食事の支度をしたのか、食欲がなくなった10人の人間の姿、イギリス版では、きちんとそこを見せている、細部にこだわり整合性やリアリズム・映像美に優れたイギリス版との違いかと思う。また主演仲間由紀恵だが、前編を見た限りでは、彼女が主役のように思えない。これは登場人物キャストが豪華すぎる所以かと思われるが、イギリス版ではきちんと主役は、ラストの最大の見せ場のために、家庭教師役だとしつこいくらい演出、見せていたが。

とりあえずイギリス版では、あり得ない後半のオリジナルな部分に期待したい。まぁ全体的に結構面白かったかもという感想かな。後半は泥臭い土ワイ化した「そして誰も」が見たいな~それこそ日本版の意味がある。

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「本当に仕事が出来る人」は心をともなっている

2017-03-25 10:55:02 | つぶやき

あの人は仕事が出来る、デキないとよく言う

けれど 本当の意味で仕事が出来る人は、人間的魅力がある尊敬される人、無用な争いを避ける人、仕事の厳しさを論じたうえで他人には思いやりをもって接する人、また自分にも厳しい。ミスをしないのはもちろんだが、たとえ部下がミスをしてもそれを責めず、打開策をすぐ考えるような柔軟性を持つ人。若い世代だと、奢らず、礼儀正しく、受け答えが丁寧な人、反省をする、向上心がある。

人というのは、多面性をもつもので、良い部分も悪い部分もある。それを踏まえたうえで、その人の長所を生かせるような雰囲気が作れる人、客観的にどう人を機能させるのか、自分を機能させるのかということも考えられる人。こういった人が本当に仕事が出来る人だと思う。

ところが

こういう部分を無視して、「作業だけ」でしか見られない人がいる。ミスしないから仕事が出来ると思ったり。はっきりいうけど、いくら仕事が出来ても向上心がない人・礼儀を知らない人は、ただ狭い社内の「限られたメンバーの中で作業だけが頭一つ抜けている」だけ。若いと特に作業や仕事は自分よりデキる人間が、他にもいくらでもいるのに、そこをたまたまこなすだけで、有頂天になっている。勘違いも甚だしい。

心をともなってこその仕事。良い心を忘れた人は、本当に仕事が出来る人ではないんだよ。人としてどう生きるかが、他人の目にさらされる、それが会社という組織で働く仕事の本当の厳しさ。誰も何も言ってくれない人はもう終わったと認識された人、それが分からないのは、頭が悪いってこと。若いうちに謙虚さを身につけないと後で人生大変なことになる、だから大人は礼儀正しくありなさいというわけ。

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池井戸潤「不祥事」

2017-03-23 13:51:21 | 読書感想

「不祥事」

銀行を舞台にしたドラマ「花咲舞が黙ってない」の原作小説本。ドラマは見ていないが、面白いというのは、予想出来た。もし再放送されたらみたいなぁと原作を読んで思ったくらい良かった。

池井戸氏は経済小説?会社を舞台とした小説が何作品もドラマ化(半沢直樹シリーズや下町ロケット)されているが、私はこの本が初めて。

感想を書くと、スッキリしていて面白いなと思ったけどもう少し深い部分があってもいいのでは?と。ただ好みの問題で、ライトな感覚で気軽に読める1冊という見方もできるかな。銀行員と呼ばれる人達の仕事ぶりが垣間見るように読めるし、どれもミステリとして小気味いい結末。いくらでも難しく書ける銀行という舞台設定で、物語に合わせて無駄な部分をそぎ落とし、スッキリ簡潔に描くほうが難しいかもしれない。センスがいいなと思う。

この本にはノベルズ版あとがきが付いている。これを読むとこの作家の初期作品と分かったので、現在の作風とは違うのかな~と思った。最近の作品を読んでみたいなと。

ところで一番面白かったのは、私は実をいうと「あとがき」なのだ。この作品を批評する読者の意見として「経験と違う」とか「こんな部署はない」とかそういったものがあったらしい。それに池井戸氏が答えている。

以下この「あとがき」から抜粋する。「不祥事」 池井戸潤 実業之日本社から引用 ノベルズ版あとがきから


 

(略)

小説を小説として単純に楽しめない読者が少なからず存在することだ。

(略)

そして、もっとも始末に負えないのは、自分達がエリートだと信じ切っている選民思想の銀行員読者である。

鼻持ちならないエリート意識で、「いまの銀行はこんなふうになっていない」、などと上から目線でのたまう

そんなことはわかっている。

(略)

女だてらに啖呵を切って何が悪い、こういう臨店チームをもつ銀行があったっていいじゃないかー。

だから、世の中は面白いんじゃないか。小説は楽しいんじゃないか。

・・・・ (抜粋終わり)


この単純に楽しめない読者は、おそらく「池井戸氏に的外れな批評をすること」が「楽しい」のだろう。屈折した楽しみ方でもあるが、小説の楽しみ方は人それぞれなので仕方ないのかもしれない。作家と読者の距離がSNSで近くなったせいもあるかもしれない。(実際近くはないけどそう錯覚させる)ただ池井戸氏がここまではっきり書くのは、かなり頭にきたのかな(笑)と思った。

エンタティメントを純粋に楽しみたい、そういう余裕のある人だけが池井戸小説を読むべきですね。

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