第1シリーズ11話。この回も結構人気あるかも。
桃井かおりという女優のイメージ・雰囲気を120%ぐらい引き出している脚本・演技でドラマテックそのもの。
ただもし身近にこういう女性がいたら、私は友達になりたくない。 嫌いだと思う。(笑)
冷静に考えると、ふてぶてしく残酷、身勝手で自分のことしか考えていない。いくら仕事が出来ても(DJが上手くても) 古畑の前で堂々たる殺人計画を実行する、怖い女。私はこういう印象をもったが、古畑の彼女を見る目は優しい。
「いるんだよね、こういう女って。何か男へのアピール力が高い女が。それも自然体で。傍から見ると嫌な感じだんだけど。」
とドラマの内容より、おたかさん(桃井の役名)攻撃で終わってしまいそう(笑)
ミステリとしては、派手さがない分、面白い。放送局内という建物を利用している点。あまり知られていない業界の内部だから、見ていて面白いなと。ここから先はネタバレになるが、彼女が犯行途中に見たニュースをネタとして、ラジオの本番でつい話してしまうというのは、とても自然。あ~悲しいなと思った。
私事だけど、長年の仕事の習慣やクセとか、感じることがある。それは無意識で、身体が動いてしまったり。復職して、そういう身体に染みついた仕事の習慣を感じる毎日。リセットできないのだ。おたかさんも、この無意識でついネタを探して、本番で話しちゃったんだな~というそこまでの物語がすごく感じられて良かった。犯行後、プロの仕事ぶりを披露した彼女だが、その仕事ぶりが逮捕のきっかけになった 皮肉のきいたオチである。
あ~悲しいなと思うけど、桃井かおりの引き際は、やはり彼女らしい。身勝手だけれど繊細 ざっくばらんのようで寂しげ 拒絶をするようで甘えてくる こういう女性の2面性がたくさん出ていたキャラ。
それはやっぱり 桃井かおりという女優の凄さだと思う。1時間にも満たないドラマでこれだけの存在感。脇役の俳優陣も無駄に(笑)豪華。
古畑さんは、彼女をいかに素敵に魅力的に見せるかという役どころに徹していた。他にも小ネタがたくさんあるし、「洗面器ネタ」 とか。
「古畑任三郎」には、個性的な女性犯人ゲストが登場する。特別枠が中森明菜だと思うが、個人的には やはり沢口靖子に1票かな。出演する女性は、桃井かおりのように古畑の優しさや紳士的な振る舞いに接して犯行が暴かれてもプライドをもって去っていく。犯人女性側の古畑に対するリスペクトや思い入れの部分をチラッと見せたり、見ている観客に何か感じさせる。するとスッキリとするのだ。
でも第2シリーズ沢口靖子は違った。桃井かおりと比べるとよく分かる。沢口は古畑に対して何の感情も持たないまま、去っていく。こちらのほうが私はリアリズムだと思うな。