若貴時代全盛期の頃、毎年のように人に連れられて、名古屋場所で相撲観戦をしていた。面白かった。小さな升席に座って、土俵を見下ろすと場内は神事を思わせるような荘厳で…厳粛な雰囲気だ。日本の歴史と伝統を重みを感じさせる。その頂点にたつのが横綱…品格が求められる理由が分かるような気がした。
その名古屋場所で何度か千代の富士を見かけた…といっても、遠くから「あっ千代の富士だ。審判は千代の富士なんだね」みたいな感じ。でも現役を退いた元千代の富士でも、すごく人気があった。周囲が千代の富士の姿を見るとワァワぁ騒ぎ出す。
とにかくカッコよかった!精悍な顔つき、鋼のような筋肉をまとった身体、おまけに強い。子供だったけど私は大好きだった。どんないきさつだったか忘れたが、名古屋場所で千代の富士を見かけたとき「千代の富士は優しいね。強いだけでなく紳士だね。」と話した記憶がある。優しくて情のある千代の富士。新聞に連載されていた千代の富士の相撲評論はとても読み応えがあったし、楽しみにしてた。千代の富士が到達した相撲哲学が伝わってくる「横綱になるには、型が必要」「稽古は裏切らない」など今でもその内容を思い出すことが出来る。
がん闘病中ということは、知っていたけど、いまだに亡くなられたことが信じられない。信じたくない。