ほかのメンバーがどう思っているのか分からないが木村拓哉(31)は、自分が所属するグループSMAPを「野性的」と表現した。
先日、木村を取材する機会があった。香港映画「2046」のPRインタビューだった。映画の撮影期間は5年間にも及んだ。いったん撮影を終えたかと思うと、度々追加撮影の招集がかかった。03年10月に行われた追加撮影の前、トレーニング中に右肩を脱臼、さらに左手も負傷した。大事な撮影前に、俳優として、プロ意識を問われる苦しい立場に立たされた。当時を振り返り「自分に対してあんなに腹立たしく思ったことはなかった。本当に悔しかった」と唇をかんだ。悔しそうな表情を浮かべる木村を見て、ふと、SMAPのほかのメンバーの励ましはなかったのか聞いてみたくなった。
「目の前にケガをした人がいて、『大丈夫?』『頑張って』というのは簡単。そういう言葉はいくらでも言えますけど、やらなきゃいけないのは、その人自身じゃないですか」。週に1度、5人のメンバーはバラエティー番組「SMAP×SMAP」で顔を合わせるが「例えば(香取)慎吾が大河ドラマがきつそうでつらそうな顔してスタジオに入ってきても、頑張らなきゃいけないのは慎吾本人なんです」。木村は安易な励ましの言葉はかけず、見守るのだという。そうした関係を「野性的」と表現した。私はその言葉を、なれ合いの仲良しクラブではなく、いい意味で、それぞれ自立した人間同士が集まったのがSMAPなのだと言いたかったと解釈した。木村がケガをしたまま追加撮影に向かっても、メンバーから特別な言葉はなかったという。
自立した関係を、さらに具体的に説明もした。「それこそ家でボーッとテレビをザッピングしている時、突然メンバーのCMが流れてきて驚くことがあります。あれっ? あいつ、こういうCMの仕事もしているんだなって。ほかのメンバーがどんな仕事をしているか、僕らは特に聞いてませんから意外とそういう時にびっくりしたりするんです」。
木村の話を聞いていたらニューヨークヤンキースを思い出した。松井秀喜(30)がヤンキースに入団して間もないころ「それぞれの選手が自立した大人の集団」と言うのをテレビで聞いたことがある。「自分が今何をしなければいけないかしっかりと理解している」とも話していた。成熟した大人のチームという印象が強い。
木村は「(メンバー同士が)変にべたべたしていない。だからこれだけ長くやって来られたと思ってます」と言った。安易な言葉を掛け合う、なれ合いの関係ではない。互いにプロとして、絶妙な距離感を保ちながら、グループのバランスを維持しているのだろう。
もちろん強力なマネジメントスタッフの力もあるだろうが、メンバーそれぞれが、互いに客観的に見つめ合うことができる能力を持っていることが、流されやすく、浮き沈みの激しい芸能界で、快進撃を続けている理由の1つなのかも知れない。日刊スポーツ文化社会部 松田秀彦記者
SMAP・・・丁度同世代なのでテレビなどで見かけると「凄いなぁ・・・」と素直に思ってしまう。自分もいろんなところにアンテナを張り巡らせてこれからも頑張りたい。
先日、木村を取材する機会があった。香港映画「2046」のPRインタビューだった。映画の撮影期間は5年間にも及んだ。いったん撮影を終えたかと思うと、度々追加撮影の招集がかかった。03年10月に行われた追加撮影の前、トレーニング中に右肩を脱臼、さらに左手も負傷した。大事な撮影前に、俳優として、プロ意識を問われる苦しい立場に立たされた。当時を振り返り「自分に対してあんなに腹立たしく思ったことはなかった。本当に悔しかった」と唇をかんだ。悔しそうな表情を浮かべる木村を見て、ふと、SMAPのほかのメンバーの励ましはなかったのか聞いてみたくなった。
「目の前にケガをした人がいて、『大丈夫?』『頑張って』というのは簡単。そういう言葉はいくらでも言えますけど、やらなきゃいけないのは、その人自身じゃないですか」。週に1度、5人のメンバーはバラエティー番組「SMAP×SMAP」で顔を合わせるが「例えば(香取)慎吾が大河ドラマがきつそうでつらそうな顔してスタジオに入ってきても、頑張らなきゃいけないのは慎吾本人なんです」。木村は安易な励ましの言葉はかけず、見守るのだという。そうした関係を「野性的」と表現した。私はその言葉を、なれ合いの仲良しクラブではなく、いい意味で、それぞれ自立した人間同士が集まったのがSMAPなのだと言いたかったと解釈した。木村がケガをしたまま追加撮影に向かっても、メンバーから特別な言葉はなかったという。
自立した関係を、さらに具体的に説明もした。「それこそ家でボーッとテレビをザッピングしている時、突然メンバーのCMが流れてきて驚くことがあります。あれっ? あいつ、こういうCMの仕事もしているんだなって。ほかのメンバーがどんな仕事をしているか、僕らは特に聞いてませんから意外とそういう時にびっくりしたりするんです」。
木村の話を聞いていたらニューヨークヤンキースを思い出した。松井秀喜(30)がヤンキースに入団して間もないころ「それぞれの選手が自立した大人の集団」と言うのをテレビで聞いたことがある。「自分が今何をしなければいけないかしっかりと理解している」とも話していた。成熟した大人のチームという印象が強い。
木村は「(メンバー同士が)変にべたべたしていない。だからこれだけ長くやって来られたと思ってます」と言った。安易な言葉を掛け合う、なれ合いの関係ではない。互いにプロとして、絶妙な距離感を保ちながら、グループのバランスを維持しているのだろう。
もちろん強力なマネジメントスタッフの力もあるだろうが、メンバーそれぞれが、互いに客観的に見つめ合うことができる能力を持っていることが、流されやすく、浮き沈みの激しい芸能界で、快進撃を続けている理由の1つなのかも知れない。日刊スポーツ文化社会部 松田秀彦記者
SMAP・・・丁度同世代なのでテレビなどで見かけると「凄いなぁ・・・」と素直に思ってしまう。自分もいろんなところにアンテナを張り巡らせてこれからも頑張りたい。