白井健康元気村

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酷暑の日々に思う 【気まま連載】帰ってきたミーハー婆⑩

2021-07-29 05:33:36 | 【気まま連載】帰ってきたミーハー婆

【気まま連載】帰ってきたミーハー婆⑩

酷暑の日々に思う

岩崎邦子 

 

 本来なら昨年に開催されるはずの東京2020は1年延期され、今年7月23日からの開催になった。嵐が歌うNHK2020ソングの『カイト』が連日流れるようになる。昨年の紅白歌合戦でも歌われたが、幼児から若者まで大人気の『パプリカ』同様に、米津玄師が作詞・作曲、そしてプロデュースしたものだ。
 この『カイト』の楽曲には「頑張る人を応援したい」気持ちが込められているという。年代を問わず、馴染みやすい歌詞なので、とても好感が持てし、私も口ずさんでいる。
 新型コロナ感染の収束が見えない中、東京オリンピックには数々の問題が山積し、またスキャンダルも露呈する始末。だから、開催の賛否も問われ続けたが、予定通り「酷暑五輪」が開催された。
 それでも、ミーハー婆の私である。テレビから『カイト』の歌が聞こえてくると、なぜか嬉しくなってしまう。競技種目の多さや選手たちの頑張りとその取材にも、驚きと称賛を込めて見入ることになる。
 それにしても、このところの猛暑・酷暑には、全くもってうんざりだ。でも、カレンダーに書き込んだ予定を見ると、毎日のように元気に活動できることに気づく。感謝するしかないだろう。
 7月25日の日曜日―。白井健康元気村の農業クラブが朝の9時から作物を収穫する日だった。ちょうとその日、農園のすぐ近くある神社「天神社」の祭礼日だというではないか。その神社は、木下街道沿いにある日本中央競馬会・競馬学校の入り口のすぐ隣で、ワークマンの向かいにある。なんでも菅原道真公を祭っているそうな。私はその前を通ることはあっても、神社の存在は全く知らなかった。
 農園責任者の「サブちゃん」こと柳橋三郎さんからは、地主の浅海家もこの神社の氏子とのことで、「車を畑の脇の止めておいても大丈夫だから」「10時近くには神輿が見られる」と、礼拝を勧められた。柳橋さん自身は、どうしても外せない他用があるらしい。そんなわけで、農園に来ていた横山久雅子さんとご一緒することに。彼女は浅海さん夫妻とはかなり昔から懇意にしているので、心強い。
 農園から少し歩いて木下街道へ。道路を渡れば、すぐに神社に着く。鳥居をくぐると、目の前に小ぶりだが、キラキラの宝飾がなされた神輿が台座に乗せられており、手前には果物や野菜などのお供えが見えた。近所に住む氏子さんたちが、三々五々に立って見守っている。
「お賽銭? あららぁ」
 千円札が何枚も、むき出しになっているのが見える。残念ながら、私たちは農園の作物代金の小銭しか持っていない。奥の方に向かって行き、神社への礼拝とお賽銭で勘弁してもらうことにした。
 浅海さんのご主人と久雅子さんが、にこやかに話されているのを見て、夫と私が「畑をお借りしている者です」と挨拶をすると、感じの良い笑顔が返ってきた。神輿が置かれているところから、少し行った左に石碑があるので、浅海さんがその説明を私たち3人にしてくださった。開拓記念碑である。江戸時代初期からこの地が開拓されて来た歴史が刻まれているらしい。
「白井新田村・四百年記念」と大きく書かれた下の方には、文字が小さくて読みにくかったが、先代と歴代の名前がずらり。初代は「徳川直輔名主管所、根上三九三」が、やっと読み取れた。その下にもずらりと、名前や住所が刻まれている。白井の開墾された歴史が石碑に刻み込まれているのだ。
「浅海家は、まだここに刻まれてなくて……」
 と、石碑の裏側を指差ししながら、浅海さんが笑う。
 明治のところに、浅海家の名前が。この地には150年以上も前から続く、旧家であることが分かった。
 やがて時間になり、神主さんの祝詞が始まった。境内には大きな木が茂っていて、この暑い日でも涼しい風が吹きわたる。今は梨の作業で忙しい時期とか、それほど多くはない氏子さんたちの後ろで、私達も神妙に見学させてもらった。
 久雅子さんの説明によると、白井市には小さい神社がいくつかあるが、常駐している神主さんはいないらしい。現に、今祝詞をあげている方は、風間さんという方で、西白井の方の風間街道の方から来られているとか。もっとしっかりした説明をされたのだが、私は耳が悪いので……。
 いずれにしても、貴重な体験をしたものだ。そう思いつつ、元気村の農園に戻った。ナスが、ちょうど良いくらいの大きさになって、いくつもある。ミニトマトもびっしりだ。キュウリは、そろそろ終盤を迎えている。次のキュウリの苗が用意されているとか。
 でも、この日は収穫日(火・木・日)だというのに、元気村の人の姿はない。かつては、村民ではない人の乱獲があって、名札を付けることや指定日が設定されたのだが……。暑すぎるから、来れないのだろうか。もっとも、指定された日が悪天候の時もある。また村民の中には、その日が都合の悪い事もあるだろう。
 いつの間にか夕食の時間である。食卓に並ぶナスやキュウリ。NHKテレビからは『カイト』の歌が。オリンピック中継だ。懸命に頑張るオリンピック選手たち。ナスとキュウリに尋ねてみたい、と思った。日本とアメリカとの対戦になった時、アメリカに住む娘や孫たちは果たしてどちらを応援をするのだろうか。その3日後、女子ソフトボールの決勝が行われた。日本がアメリカに勝利して「金」メダルに輝く。まずは目出度い。

 

 

【岩崎邦子さんのプロフィール】 

昭和15(1940)年6月29日、岐阜県大垣市生まれ。県立大垣南高校卒業後、名古屋市でОL生活。2年後、叔父の会社に就職するため上京する。23歳のときに今のご主人と結婚し、1男1女をもうけた。有吉佐和子、田辺聖子、佐藤愛子など女流作家のファン。現在、白井市南山で夫と2人暮らし。白井健康元気村では、パークゴルフの企画・運営を担当。令和元(2018)年春から本ブログにエッセイ「岩崎邦子の『日々悠々』」を毎週水曜日に連載。大好評のうち100回目で終了した。


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