白井健康元気村

千葉県白井市での健康教室をはじめ、旅行、グルメ、パークゴルフ、パーティーなどの情報や各種コラムを満載。

81歳と82歳 【気まま連載】帰ってきたミーハー婆(57)

2022-06-30 05:18:34 | 【気まま連載】帰ってきたミーハー婆

【気まま連載】帰ってきたミーハー婆(57)

81歳と82歳

岩崎邦子 

 

 

「あんた幾つになる?」
「もう81よ」
「若いでええなぁ」
「で、あんたは幾つなん?」
「82だよ」
 何年も前に病院の待合室で見聞きしたことが、このブログで私が書いたエッセー「岩崎邦子の『日々悠々』(66)」にある。こんな会話を聞いて、不遜ながら面白がっていたのは、私が60代に入って間もなくの頃だった。たった1歳の違い。それほど変わりはないのに、という思いが強かった。
 以前に日テレの『笑点』の大喜利のコーナーで、「18歳と81歳の違い」を放映していたが、ユーモアがあり、ネットにも載っていたので、その中の何点かを表記してみよう。

・道路を暴走するのが18歳、逆走するのが81歳
・心がもろいのが18歳、骨がもろいのが81歳
・恋に溺れるのが18歳、風呂で溺れるのが81歳
・まだ何も知らないのが18歳、もう何も覚えていないのが81歳
・自分探しの旅をしているのが18歳、出掛けたまま分からなくな って皆が探しているのが81歳
・ドキドキが止まらないのが18歳、動悸が止まらないのが81歳
・恋で胸を詰まらせるのが18歳、餅で喉を詰まらせるのが81歳
・偏差値が気になるのが18歳、血糖値が気になるのが81歳
・早く「二十歳」になりたいと思うのが18歳、「二 十歳」に戻りたいと思うのが81歳
 ・友達が増えるのが18歳、友達が減るのが81歳
・知らない事が多いのが18歳、忘れたことが多いのが81歳

 81歳は老年として、確たるもので、若さの象徴18歳との比喩があり何とも妙を得ている。この中で、私自身のことを考えてみると、「骨がもろい」「友達が減る」が挙げられる。
 まず「骨がもろい」だが、骨密度の数値も悪くはないし、今までに骨折はしたことも無いが、何年か前に左側の腰から足にかけて痺れと痛みもあったので、整形外科でレントゲン検査をした。
 その結果、腰の骨にすべり症が見られて手術を勧められた。が、何とか薬の処方をしてもらって、1年近く服用。おかげで痛みや痺れは感じなくなり、以後は元気に過ごすことが出来ていた。
 ところが先日、また同じところに痛みが出てきた。朝、左側の腰が痛くて、どうにもベッドから起き上がれないではないか。
 そろり、そろりと左足を床に下ろし、右足もやっと添えたものの、左腰が痛くて上体を起こすことが、どうしても出来ない。夫の手を借り、杖にすがってやっと歩き出すことが。
 日中は家事も歩くことも運転することも出来るのだが、寝るのが怖くなった。朝になって起き上がる時の強烈な痛みに耐えることを考えてしまうのだ。
 そんなわけで、S病院の整形外科医に診てもらうことに。以前の医師に比べると、若くて頑丈そうな体格である。頼もしいではないか。
 だが、私がこの症状に至るまでの説明をし始めると、面倒くさそうな顔つきになったので、思わず看護婦の方を見た。私のひいき目かもしれないが、彼女はきちんと私に目線を合わせて「大丈夫ですよ」というような表情をしたように思えた。
 私の左足には外反母趾があるので、親指と人指し指の間に薬局で買ったサックをはめて、家にいる時だけ使用していたのである。が、先日はそれをはめたまま、パークゴルフをしに出掛けた。
 人差し指が痛くなったが、そのままプレーを楽しんでしまったのだ。素人考えながら、そのサックが原因で、左脚や腰に影響が出たのかもしれない。 そんなことを医師に話していると、医師は私の話を中断するように言った。
「外反母趾のことなの? 腰の痛みの事なの?」
 私は少し怒られたような気分になったので、
「腰の痛みで来ました、はい」
 と、答えるしかない。
 老婆の私の説明など、医師にとっては、どうでも良いのかも。痛みの起きた原因と思う私の判断は、素人の余計なことだったに違いない。
 さて、私がレントゲンを撮ったのは5年も前の事と分かったが、その時の薬のカルテは「ない」そうだ。どんな薬が出されていたのかは分からないが、28日分の薬を処方された。
 家に帰って、以前の「お薬手帳」を見てみる。薬の名前は違うけれど、効能は似ているのだろう。1カ月後に改めてレントゲンを撮ることを、医師に言われたが、どうなりますやら。やはり、「81歳の骨はもろく」なっていて、手術という大事になるかもしれない。
 次いで「18歳と81歳」の違いの中の「友達が減る」について、考えてみる。ニュースで知る有名人たちの訃報には、私よりはるかに年下の人たちも数多くて驚いてしまう。
 私自身が黄泉の世界に行くことも、不思議な年齢ではないことを思わされる。私の知り合いではないが、病に侵されていて、亡くなってしまった人たちの話も、ちょくちょく耳にする。
 コロナ騒ぎの影響で、定期的に開かれていた友人たちとの交流も途絶えているので、友達が減ってしまった感がある。再会の時が来るのを待つばかりだ。
 私も参加している「布の手作りの会」「コーラスの会」の会員数もうんと減った。細々と繋がっているという感じた。早くコロナが収束し、会員数も増えてくることを願う日々だ。救いは、パークゴルフに参加して、今では多くの顔見知り友達がいることである。
 でも、何とか元気を保っている81歳と、前途洋々の18歳の違いは、歴然だ。それでも、82歳になる私は、81歳を若いと羨むことは良しとしない。年齢にとらわれることなく、自分らしく過ごしたいからだ。やがては必ず訪れる体の衰えにも、甘受しなければならないだろうが……。
 関東の梅雨明け宣言も早々とされ、猛暑となっているが、元気に明るく過ごしてゆきたい。ベランダのアガパンサスは、薄紫の花びらが、私の82歳の誕生日(6月29日)に満開になり、風に揺れている。

 

 

【岩崎邦子さんのプロフィール】 

昭和15(1940)年6月29日、岐阜県大垣市生まれ。県立大垣南高校卒業後、名古屋市でОL生活。2年後、叔父の会社に就職するため上京する。23歳のときに今のご主人と結婚し、1男1女をもうけた。有吉佐和子、田辺聖子、佐藤愛子など女流作家のファン。現在、白井市南山で夫と2人暮らし。白井健康元気村では、パークゴルフの企画・運営を担当。令和元(2018)年春から本ブログにエッセイ「岩崎邦子の『日々悠々』」を毎週水曜日に連載。大好評のうち100回目で終了した。


この記事についてブログを書く
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする
« サヨクの「憲法上の権利」の... | トップ | 新川千本桜 【連載】腹ふく... »
最新の画像もっと見る

【気まま連載】帰ってきたミーハー婆」カテゴリの最新記事