白井健康元気村

千葉県白井市での健康教室をはじめ、旅行、グルメ、パークゴルフ、パーティーなどの情報や各種コラムを満載。

米国の世界制覇の野心 【連載】アンディ・チャンのAC通信

2022-04-30 16:45:03 | アンディ・チャンのAC通信
【連載】アンディ・チャンのAC通信

米国の世界制覇の野心

No.892 (2022/4/29)
 

 

 とうとう米国はウクライナ戦争の本来の目的を公然と発表した。ウクライナ戦争とはロシアを弱体化させ、回復するまで何年もかかるようにするためだ。ウクライナを訪問したオースチン国防長官の発言は前の記事(AC通信 891)に書いたKeane大将の発言と同じである。前の記事でロシアがウクライナを攻撃したのは悪いけれどロシアが戦争を始めるように企んだ国がもっと悪いと書いたら「戦争善悪論」を信じる人が反対した。「しかし」と言えば批判される。戦争は善と悪の戦いだ、問答無用だ。

 アメリカが20世紀当初から今回まで何度も気に入らない国が戦争を始めるように圧力を加えた事実は、雑誌『Will』6月号の馬渕睦夫氏の「どこかで見た光景だ」と、渡辺惣樹氏と福井義高氏の「約束を守らない大国の冷酷」を読めばよくわかる。

 米国はいつも気に入らない国に対し経済や政治、国際関係で強引な制裁を加え、圧力を加えられた国がついに戦闘を始めるとすぐに戦争を始めたのが悪いと喧伝して諸国が戦争に参加するように強要してきた。戦闘を始めた奴は悪い、「しかし」戦争を嗾しかけた奴はもっと悪い。

 ウクライナ戦争が膠着状態になってロシアの戦力が落ちてきたことがわかるとバイデンは国務長官と国防長官をキエフ(キーウ)に派遣して戦争を継続させる武器の提供を約束した。米国はロシアと戦わない。ウクライナが代理戦争(Proxy War)をしている。戦争が長引くとウクライナは廃墟になり人民が難民となる。

 米国の2022年第1四半期のGDPはマイナス1.4%で、続く第2、第3四半期もマイナスとなる可能性が出てきた。景気後退が続けば秋の中間選挙で民主党は大敗する。アメリカではすでに中間選挙の前のプライマリー投票で選挙戦が始まった。中間選挙で負けて民主党が国会で少数派となったら過去2年間にバイデンが推進した政策が一挙にひっくり返る。バイデンの責任だ。

 それでもバイデンは平気で国会に330億ドルのウクライナ武器提供のための特別予算を請求した。米国はすでに139億ドルのウクライナ支援を行ったが、更に330億ドルを追加する提案を出した。米国の覇権拡張と世界制覇に賛成する国会議員は右翼にも左翼にも多い。

 米国には金がない。国家赤字はすでに法律で限定された30兆ドルを突破するところである。国会は国家赤字を30兆ドルに法律で限定しているから赤字予算の追加は難しい。それにも拘らず(それだから)バイデンはロシアを打倒するウクライナ援助を理由にして国家赤字の増加を要求るすつもりである。

 バイデンやネオコンは国民の税金を使ってウクライナ戦争を援助するのである。国会ではバイデンの330億ドル追加を討論する提案に賛成する議員が多い。しかし昨日の国会では330億ドル特別予算を討論する前にウクライナに「Lend and Lease」(貸与と賃貸)方式で武器を提供する法案を通した。

 つまりウクライナへの武器提供(賃貸)は無償ではない。戦争がいつ終わるのかはわからないが、戦争が終わったらウクライナはボロボロの廃墟になって国家の再建に20年以上もかかると言われているが、ウクライナはその上に米国が提供した武器の支払いに半世紀以上も苦しむことになる。

 330億ドルはウクライナに金を提供したのではない。ウクライナに米国の軍が保有している古い武器を提供し、軍は330億ドルの資金で軍需産業から最新武器を購入する。戦争で儲かるのは軍需産業である。米国は国民が収めた税金で戦争に加担する。

 もっと酷いことにバイデンはロシアから外国に脱出したオリガルヒの財産を没収する考えを発表した。前の記事にも書いたが外国に住むオリガルヒやロシアの運動選手、歌手などは戦争に関係がない。ロシアに経済制裁を加えるのは戦争行為と理解することができる。だが戦争と無関係な無辜のロシア人の財産を没収するのは違法で不道徳である。バイデンはオリガルヒが戦争に関係したとか勝手な理由をでっち上げて財産を没収するつもりだが強盗と同じだ。

 ウクライナのNATO加盟は既に不可能になったとわかっている。つまりロシアは目的を達したのである。ゼレンスキーはEU加盟を申請したが、EU諸国にとってボロボロになったウクライナを受け入れても利益はない。ゼレンスキーがアメリカの推進するNATO東進に賛成し推進したおかげで自分の国を滅亡寸前まで追い詰めたのである。代理戦争をしてロシアを弱体化させたウクライナも廃墟と化した。アメリカも諸国もインフレで世界的経済衰退が起きている。

 なぜウクライナはNATO加盟を推進したのか。米国がNATO東進を推進したからである。NATOの本来の目的は「ソヴィエト連邦の覇権拡張を防ぎ、東ドイツを抑え、アメリカが主力としてソ連を抑える」だった。今では米国がNATOの主体となって覇権拡張を進めている。

 スターリンのソ連が近隣諸国をソヴィエト連邦に加盟させ、衛星国を増やすことで諸国が警戒心を持ってスターリンが悪人とされた。

 ソ連が解体したロシアは衛星国を全て失い、領土拡張も覇権拡張もしなくなった。それでもアメリカはロシアを敵と見做し、ロシアを弱体化させることに躍起となっていた。

 アメリカがNATOの主体となり加盟国を増やしてきた。ソ連の衛星国だったポーランド、バルト3ヶ国、ルーマニアなどもNATOに加わり、ロシアを仮想敵と見做し、NATO基地の照準をロシアに向けた上に、ウクライナの加盟を推進するようになった。

 NATOはアメリカの覇権拡張の道具である。アメリカのNATO拡張はその昔、スターリンが推進した衛星国拡張と同じである。スターリンのソヴィエト連邦が悪いならアメリカのNATO拡張も悪い。

 

 
【アンディ・チャン(Andy Chang、台湾名=張継昭)さんのプロフィール】 1934年生まれ。第2次大戦後に台湾からアメリカに留学し帰化した。現在、カリフォルニア在住。アメリカと台湾の時事ニュース中心に独自の視点で分析してネット配信している。AC通信は週刊のメルマガで、使用言語は日本語だが、本ブログでは日本のメディアでよく使われている用語に統一することにした

この記事についてブログを書く
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする
« ロビン・フッドが現れた!?  ... | トップ | 新浜レオンが上野で新曲イベ... »
最新の画像もっと見る

アンディ・チャンのAC通信」カテゴリの最新記事