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韓国 慶州 石窟庵|仏教美術の傑作がここに集約

2019年01月05日 | お寺・神社・特別公開

韓国・慶州レポート第二弾は、石窟庵(せっくつあん、ソックラム)です。洞窟に築かれた幻想的な石仏は、仏国寺(プルグクサ)とともに世界遺産に登録されています。

  • 仏国寺と同時期、8cに建立された歴史的な文化遺産
  • 外から直接見えない洞窟の中に築かれていることが、石仏としては稀有
  • 王の墓に入っていくようなワクワク感を体験できる


洞窟の中に仏教美術がのこされている例は、日本にはほとんどありません。慶州に行かないと体験できない稀有な空間です。


石窟庵の断面図

石窟庵も、前回レポートした仏国寺と同じような歴史をたどります。仏教を庇護した新羅と高麗王朝の後、仏教を排斥した李氏朝鮮王朝の時代が20cまで500年ほど続き、その間、石窟庵は永らく忘れられていました。高麗時代に栄えた青磁が忘れられていたのと同じような歴史をたどります。

20cになって偶然発見されてから修復が進み、往時の美しい姿を取り戻します。現在は洞内がガラスで覆われ、鑑賞者がもたらす気体や細菌の影響が排除されています。


石窟庵から見る絶景

石窟庵は、仏国寺の東にそびえる山の上にあります。仏国寺からバスやタクシーで向かうのが一般的です。1時間ほどかけて山道を登るルートもありますが、往路はバス、復路は山道徒歩をおすすめします。下りの山道では随所に古都・慶州の絶景が楽しめるとともに、韓国の大自然を体験することができます。


バス停から石窟庵に向かう門

仏国寺からヘアピンカーブの山道をバスでのぼり、広大な駐車場が見えるとそこが最寄りのバス停です。石窟庵へは10分ほど、なだらかな山道を歩きます。日本の山岳寺院を訪れるのと同じく、凛とした気分が高まっていくことが感じられます。


石窟庵の入口

石窟庵の入口には堂宇が建てられています。一見、洞窟に入るような印象は受けません。カラフルな彩色が、ここが韓国であることをあらためて思わせます。

【石窟庵公式サイトの画像】 本尊仏

洞内は人工的にドーム状に造られています。西域や中国に多く見られるような露天掘りではなく、洞窟内であることに不思議な印象を受けます。本尊仏のお顔は、朝鮮半島というよりも西域から中央アジアにやって来たかのような印象です。新羅王朝が仏教美術の原点を表現しようと、特別な思いを込めて造立した空間のように感じられます。

本尊仏は如来と認識されていますが、どの如来かは定かでありません。お顔は中性的です。西域でも東洋でもなく、性別年齢も想像できません。悟りを開いた絶対的な存在である如来の姿を見事に表現しています。

洞窟は冬至の朝の日の出の方向にあわせて造られています。冬至の日の出の際に、本尊が最も輝くのです。石窟庵のある高台は日の出の名所としても知られています。



石窟庵は、韓国の歴史的な聖地です。日本の奈良の古刹が凝縮されたようなところです。

こんなところがあります。
ここにしかない「空間」があります。



日本仏像の原点、朝鮮半島仏像史を紹介する他にない一冊

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石窟庵(ソックラム)
【公式サイト】http://jpn.seokguram.org(日本語)
【韓国旅行情報サイト KONEST】 石窟庵(日本語)

原則休館日:なし
入館(拝観)受付時間:7:00~16:00(3月中旬-9月は6:30~、2月-3月中旬・10月は~16:30、3月中旬-9月は~17:00)



◆おすすめ交通機関◆

「仏国寺」バス停から12番バスで所要20分「石窟庵」バス停下車、徒歩15分
仏国寺~石窟庵 山道を徒歩 上り60分、下り40分

「仏国寺」バス停まで
高速鉄道KTX/SRT「新慶州(シンキョンジュ)」駅下車、700番バスで所要60分
慶州高速バスターミナルから10/11番バスで所要40分

新慶州駅まで ソウル駅からKTXで2時間、プサン駅からKTX/SRTで30分
慶州高速バスターミナルまで 釜山総合バスターミナルから50分

※鉄道やバスは本数が少ないため、事前にダイヤを確認の上、利用されることをおすすめします。


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