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網走監獄 ~CS評価が高いに違いない博物館

2018年02月25日 | 城・屋敷・歴史遺産


貸出車いすのエンブレムがとても上手

日本で一番有名な監獄が網走にあることは、老若男女誰も異論はないと思います。網走監獄は1965年から始まった高倉健主演の映画シリーズ「網走番外地」で一躍有名になりました。しかし映画の記憶があるのは現在60代以上の方に限られるでしょう。若年層でも「有名だ」と認識している理由は奥が深そうです。

博物館網走監獄は、現在も使用されている網走刑務所が全面改築を決定した際に、取り壊される運命にあった建物を移築して1983年に開館しました。開館にあたって貴重な歴史的建造物を遺した地元の有志の努力と、来館者を楽しませようと絶え間なく続く様々な工夫が、国内でも有数の人気の博物館として評価されています。写真の車いすのエンブレム、お客のワクワク感を盛り上げていませんか?


さいはてムード一杯のエントランス

博物館内の建物のほとんどは移築されてきたもので、多くが明治時代の建築です。重要文化財も少なくなくありません。囚人たちは、富国強兵のために推進された北海道開拓の重要な労働力となりました。彼らの暮らしぶりがわかる趣が大切に保存・維持されています。

「タコ部屋」という言葉は、特に高年齢層でほとんどの方が耳にしたことがあるでしょう。身体を拘束して強制労働させるシステムのことで、網走と旭川を結ぶ「中央道路」の危険な工事携わる網走刑務所の囚人を、工事現場で収容した施設が発祥と言われています。囚人は丸太の枕に寝かされ、槌が丸太をたたいてたたき起こされました。「休泊所(きゅうはくしょ)」でその様子が蝋人形により再現されています。


保存状態がよい「舎房」は重要文化財

「舎房(しゃぼう)」は囚人が普段寝泊まりする独房と雑居房が設けられています。中央にある見張所から半円形に5本の建物が扇を広げたように配置された外観は芸術的でもあります。高い天井に天窓があり、美術館のように内部はとても明るくなっています。蝋人形で囚人の食事を再現している部屋もあり、とてもリアルです。


受刑者の入浴シーンを再現

「浴場」では囚人が一斉に入浴するシーンが再現されています。何人かの背中には刺青が描かれており、博物館の芸の細かさが感じられます。明治時代の入浴は、夏はほぼ週1回、他は月1回だったとのこと。囚人がとても気持ちよさそうに湯につかっている姿を彷彿とさせます。


「入獄写真」をスピード写真機で撮影できる

映画やTVドラマでよく見かけますが、刑務所に入る時の記録に、顔の左右と正面を撮影されるのが「入獄写真」です。通常の証明用写真のように微笑んだり、わずかに顔を傾けて取ってはいけません。普通のスピード写真と何ら変わりはないように思えますが、来観客にはバカ受けしているようです。


たくさんの人が記念撮影していた

館内のレストランでは囚人に出される食事をいただけます。網走の寒さを示す温度計が、記念撮影スポットとして用意されています。来館者はアジアからの観光客が少なくありません。雪や氷を見たことがない香港・台湾・タイなど温かい国からが多いようです。流氷を見てカニを食べて、博物館にやってくるのでしょう。公式サイトも6か国語が用意されています。

日本人であれ外国人であれ、多様な観光客を楽しませようと努力しています。CS(顧客満足度)評価はきっと高いでしょう。ぜひ訪れる価値があります。

こんなところがあったのか。
日本にも世界にも、唯一無二の「美」はたくさん。



司馬遼太郎が見た蝦夷地開拓史


博物館網走監獄
http://www.kangoku.jp/index.html

原則休館日:なし


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