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京都・相国寺で秋公開 12/25まで ~鳴き龍と広い庭を静かに楽しめます

2018年10月18日 | お寺・神社・特別公開

京都・相国寺で、鳴き龍が著名な法堂(はっとう)や、庭が美しい方丈(ほうじょう)が公開される恒例の秋の特別拝観が12月中旬まで行われています。春と秋の各2ヵ月ほどしか公開されないこともあり、相国寺の絶品がフル公開されている承天閣(じょうてんかく)美術館の「温故礼賛」展とあわせた鑑賞がおすすめです。

法堂は日本最古で、手をたたいた際の鳴き龍の反響は400年前から続いています。方丈は京都の禅寺でも有数の大きさで、広い庭園からの大きな空の眺めを雄大に楽しめます。合わせて公開される開山堂(かいざんどう)は雅な王朝文化の香りがあふれています。

日本を代表する禅宗建築の空間を落ち着いて楽しめること、間違いなしです。



相国寺は巨大な境内には自由に立ち入りできますが、常時公開されている寺の建物は塔頭を含めてありません。あえて言うと常時公開は、寺のミュージアムである承天閣美術館だけです。

寺の境内は江戸時代1788年の天明の大火で、法堂を除いてほぼ全焼しています。そのため建築や庭園の国の文化財指定は、唯一焼け残った法堂が重要文化財になっているだけです。法堂は1605(慶長10)年に豊臣秀頼の寄進で再建されたものです。

禅寺の法堂の天井にはほとんど龍の絵が描かれています。龍は仏の教えを助ける神であり、水を司る神でもあることから火災除けになると考えられているからです。臨済宗と黄檗宗が共同運営するサイトで、主要な禅寺の法堂の龍の絵の画像が公開されています。面白いページです。

【臨黄ネットの画像】 臨済宗黄檗宗各派本山 雲龍図

【公式サイトの画像】 法堂 蟠龍図

堂内で手をたたくと龍が泣いているように反響する「鳴き龍」は全国に見られますが、京都では相国寺が有名です。天井と床の双方にすき間のない室内で発生する現象だそうです。相国寺の場合は400年前の建築の天井板にすき間がないことが驚きです。作者の狩野光信は永徳の嫡男で、父と同じく三人の天下人に仕えています。


方丈南庭園は巨大

方丈は広大な相国寺の境内にふさわしくスケールの大きさが魅力です。南庭園は白砂以外ほとんど目立たない超シンプルな庭園で、大きな空をのぞめる空間をすがすがしく楽しめます。おそらく京都の庭園空間としてはトップクラスの大きさです。建物の隅で原在中の白象の杉戸絵が目に入ります。この空間ととても調和しています。この空間に来てよかったと思える瞬間です。

【公式サイトの画像】 裏方丈庭園

一方北側の裏庭園は、空堀のような谷の形状に造られた珍しい庭園です。縁側に座ると木々の緑が美しく、振り向けば方丈の原在中の襖絵を鑑賞することができます。


開山堂

開山堂には、寺を開いた夢窓疎石が祀られています。1807(文化4)年に皇后の御所だった建物が下賜・移築されたもので、王朝文化の気品のあるデザインを感じることができます。


開山堂庭園

開山堂庭園はコンパクトですが、建物に合わせて高貴な女性に好まれる清楚で雅な空間に造られています。借景に見える相国寺の立派なアカマツの木が見えます。アカマツの赤い木肌の色が、白砂と木々の緑の空間にアクセントをつけているようで、とても優美に見えます。

相国寺の庭園は国の文化財指定がないためか、鑑賞者は少なめです。そのため大きな空間を静かに存分に楽しめます。著名寺院は混雑が避けられないので、貴重な隠れ家でもあります。

お帰りの際は、開山堂や法堂の南に広がる広大なアカマツ林の空間をゆっくりと歩いてみてください。今は植生が変わっていますが、昔の京都はアカマツがとても多いところでした。その意味で相国寺の境内の様子は、中世とあまり変わっていないのかもしれません。

こんなところがあります。
ここにしかない「美」があります。



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相国寺
秋の特別拝観 法堂・方丈・開山堂
【寺による秋の特別拝観公式サイト】

会期:2018年9月25日(火)~12月15日(土)
原則休館日:10/18~21
入館(拝観)受付時間:10:00~16:00

※相国寺の特別拝観は、毎年春(3-6月)と秋(9-12月)に行われています。春は開山堂ではなく浴室が公開されます。



◆おすすめ交通機関◆

地下鉄烏丸線「今出川」駅下車、3番出口から徒歩10分
JR京都駅から一般的なルートを利用した平常時の所要時間の目安:25分
京都駅→地下鉄烏丸線→今出川駅

【公式サイト】 アクセス案内

※この施設に駐車場はありません。

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