八幡神社は全国に約4万社あり、祭神としては最多で全神社の約4割を占めます。その総本宮が大分県にある宇佐神宮(うさじんぐう)です。
奈良時代には東大寺大仏造立に貢献したとされ、平安時代には九州でも最大級の荘園領主でした。平安時代に国東半島で栄えた仏教文化・六郷満山は、宇佐神宮の影響力なしには成立しえなかった文化でしょう。
鬱蒼とした社叢(しゃそう、神社の境内を覆う森)は、国の天然記念物でもあり、八幡の総本宮としてのとても厳かな空間を演出しています。そんな社叢に映える国宝の本殿の朱色は素晴らしいコントラストです。
本殿の檜皮葺きの屋根からあがる水蒸気
八幡宮の祭神は、武運の神である応神天皇です。応神天皇は4c末頃に実在した可能性があり、その神霊が6cに宇佐の地に降臨したことが、宇佐神宮の起源とされています。
聖武天皇の時代、東大寺に造立にあたって八幡神が必ずや成功に導き、大仏に塗る黄金も国内で産出すると主張すると、奥州から黄金が献上されます。宇佐神宮は朝廷の信頼を得、東大寺の鎮守として手向山(たむけやま)八幡宮が分霊されます。
聖武天皇の娘の称徳天皇が寵愛し、絶大な権勢を誇った僧・道鏡が天皇になろうとした事件にも大きく関与したとされます。天皇の勅使として宇佐を訪れた和気清麻呂に「道鏡を皇位に就けるべきでない」との神託を与えます。
いずれの出来事の科学的な真偽はともかく、奈良時代に都から遠く離れた地にもかかわらず、朝廷との深い関係を築いていたことは間違いないと思われます。伊勢神宮と共に皇室の祖先への祭祀を行う宗廟(そうびょう)になっています。平安時代になって京都に石清水八幡宮が創建されたのは、遠国の宇佐に代わって宗廟とするためと考えられています。
【公式サイト】境内マップ
宇佐神宮の国宝の本殿は、上宮(じょうぐう)と呼ばれる高台にあります。そこに至る表参道に幕末まで、弥勒寺は聖武天皇の肝いりで創建されたと考えられる弥勒寺(みろくじ)がありました。
弥勒寺は神社に併設された仏教寺院である神宮寺(じんぐうじ)で、神社の運営管理を行っていました。そのため神仏習合を象徴するような組織で平安時代に六郷満山文化を開花させたことで知られています。現在は遺構だけをしのぶばかりです。
西大門から見た上宮
上宮の中の本殿は三棟あり、応神天皇以下八幡三神をそれぞれ祀っています。三棟とも幕末の再建で、切妻造り平入りの建物を前後に2つ連結した八幡造りの代表例として知られています。
本殿の手前に拝殿がないため、本殿のすぐ近くで参拝することができます。神が座るとされる椅子が見えることで、観る者の気持ちを引き締めます。宇佐神宮は伝統的に拍手を打つ回数は4回です。通常の2回より時間をかけてお参りすることが、武運を祈る心を集中させます。
上宮のあとは下宮(げぐう)の参拝もお忘れなく。平安時代に嵯峨天皇の勅願で上宮から分祀されました。武運よりも産業の発展にご利益があると言われています。
宇佐神宮に伝わる数々の美術品は宝物館でまとめて展示されています。こちらもお見逃しなく。
今年2018年、六郷満山開山1300年を機会に、ぜひ訪れてみてください。
【公式サイト】 六郷満山開山1300年
こんなところがあるのです。
ここにしかない「美」があるのです。
日本の神仏習合をリードした八幡神の実態とは?
宇佐神宮
http://www.usajinguu.com/
http://www.usajinguu.com/heirloom.html(宝物館)
原則休館日:なし(宝物館のみ火曜日休館)
※公開期間が限られている展示品や建物があります。
おすすめ交通機関:
JR日豊線宇佐駅から車で5分、豊後高田市「昭和の街」から車で10分
JR宇佐駅から大分交通バス「四日市」行乗車、「宇佐八幡」バス停下車徒歩5分
【公式サイトのアクセス案内】
※この施設には有料駐車場があります。
※現地付近のタクシー利用は事前予約を強くおすすめします。
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