647.一筆啓上

647.一筆啓上

「知的障害児者、発達障害児者　個性と可能性を伸ばす！」： 造形リトミック・発達支援教室 Elephas（エレファース）

　試験の翌日に速達で合否通知の届くが学校があります。
　試験当日から発表のその日まで、こちらも気にかかります。
　　
　本当に今日届くのかしらと気を揉んだりもしていましたら、
　生徒さんから合格を伝えるFAX が届きました。

　試験翌日の夜７時過ぎでした。

　FAX には、

「無題
　○○先生
　今結果が出ました。合格しました。
　今まで本当にありがとうございました。
　これも○○先生のおかげです。

　○○○○（氏名）」

　これまでも、時おり学習について生徒さん自身とのFAX のやり取りがありましたが、この要を得た簡潔な文、驚くと共にある種の感動を覚えました。

　ご本人も、通知を今か今かとずーっと待っていたのでしょう。
　冒頭の「今」の日と言がいいですね。そこに、通知を待ちわびていた気持ちが集約されています。こちらにとっても、まさに「今」でした。

　そして、次の行から、感謝とこれまでの長かった月日、いや年月への振り返りと思いが伝わってきます。

　感謝は喜びと表裏です。心から感謝の気持ちが表出されたとき、それは本ものです。これからの自信と意欲にもつながります。そこから先は、厳しさも求められるのです。
　

　計算や記憶は得意でも、言葉での理解や表現、気持ちの推測や共感に難しさを有するタイプの生徒さんでしたが、なんと巧みな表現ができたでしょう。もちろん、これまでの言語経験と言語学習の積み重ねはありますが、感情が形を成したとき、表現も形を得て表出するのですね。

　このFAX の名文に、思わず日本一短い手紙ととして有名な「一筆啓上　火の用心・・・」を思い出しました。


造形リトミック研究所
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