「知的障害児者、発達障害児者 個性と可能性を伸ばす!」: 造形リトミック教育研究所
今日、一週間ほどの職場体験をしてきた生徒さんとの授業がありました。さっそく職業体験についての作文学習を行いました。いつになく要点を絞ってまとめ、感想も交えて書き上げることができました。計算や漢字、記憶には強く、どちらかというと、作文は苦手としている生徒さんです。それだけに、今日の作文の書きぶりからすると、さすがに体験の力は大きいなと感じました。
この生徒さんとは、これまでも次のようなテーマで作文学習を折に触れて行ってきました。
・遠足
・社会科見学
・物語~教科書~
・本の感想
・社会問題(いじめ、虐待、エコ・・・)
一番苦手なのは、「物語~教科書~」の感想文です。ひとりで書いたものを見ると数行で終わってしまっています。「遠足」「社会化見学」もまあほどほどに・・・と言った程度の書きぶりです。本の感想では、ある程度自分自身を出して表現できます。自分で選んだ本についての感想ですから、自分との関連が持て、少し書きやすかったのでしょう。
比較的よく書いているのが「社会問題」についてです。中でも、「虐待」についての作文は表現に拙さはさはあったものの、本人の意見(気持ち)としては、確固たる物をもってそれを表現することが出来ていました。体験的に、意識化がなされていたのでしょう。
しかし、それらに比べ一段としっかり取り組めたのが、今日の作文です。たとえ数日間でも日々緊張を持って真剣に取り組み、新鮮な体験をしたのでしょう。大人としての仕事の経験をしたことは、きっと確かな手ごたえを感じ、体や気持ちにびんびんと入り込んでくるようなものの連続だったのでしょう。右から左に通過していってしまうような体験や知識の習得とは大きく異なるものだったのでしょう。
まさに、お店でも銀行でも病院でも図書館でも、いつもは一利用者であるのが、突然店員であったり行員であったり、スタッフであったりと、立場はまったく逆転してしまったのですから、ある種のショックがあったかもしれません。
今回のことでこちらもまた思いを新たにしました。体験の重要性です。知的操作は得意でも、意味のある言語を理解し駆使することを不得手とする生徒さんには、体や気持ちに訴えかけるような体験が必要だということです。そのような体験によって、なかなか意味を成しえない言語や気持ちに意味が伴われていきます。
日常的に常にそのような環境を保つことは難しいでしょうが、時にはそんな機会を意図的に設け、数少ないそんな貴重な折を大切にすることはとても意味のあることですね。
造形リトミック教育研究所
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