4581.~“読み”ではなく、“読み方”を~
「知的障害・発達障害をもつ生徒さんの 個性と可能性を伸ばす!」: 造形リトミック・発達支援教室 Elephas(エレファース)
・・・明るく、楽しく、さわやかに・・・
~今日のElephasブログ:「わかった!」(12月21日)
おはようございます。西国分寺教室の横山です。
Mくんとは、ここ3か月ほど漢字の読みの学習を集中的に行っています。
いつも静かにひとつひとつ問題に取り組むMくんですが、最近になって、少しずつ感情の表現が見られるようになってきました。
先日の授業で、10問程の問題に取り組んでいるときに、どうしてもひとつだけ読みが浮かんで来ない、二文字の熟語がありました。
Mくんは考え抜いた後にひとつの答えを書きましたが、何か気になるところがある様で、すぐにその答えを消してしましました。
そして、しばらく考えた末に別の読みを書きました。
講師が、
「十分に納得のできる回答が書けましたか?」と尋ねると、Mくんは先ほど書き直した回答にもう一度消しゴムを当てて、少し迷いながらもその答えを消しました。
喉のすぐそこまで答えが出ているのに、どうしてもそれを掴みきれないもどかしさを感じている様子でした。
それを見た講師が、
「下の字を隠して上の字だけ読んだら、何と読めそうかな。それから、上の字を隠して下の字だけを読んだら、何と読めそうですか。Mくんが今まで見てきた漢字の中に、思い当たるものがあるかもしれないね」と声をかけると、
Mくんは急に大きな声で、
「わかった」と言って、満面の笑顔で一つの答えを書きました。
その答えは、一番初めにMくんが書いた答えそのものでした。
今までは、あまり喜びを声に出すMくんではありませんでしたが、この時は正解を導けたことに、全身で嬉しさを感じている様でした。
「わかった」という感動を深く心に残せたことは、Mくんの次のやる気につながるものと思います。
また来週も一緒に頑張りましょう。
◇ワンポイント・メッセージ◇
問題に取り組むMくんの真剣さは、すばらしいですね。とにかく答えを書けばいい、終わらせればいい、という態勢で課題に臨むという段階がありますが、Mくんはそんな段階をはるかに超えていますね。この日の授業で、部首の読み方をヒントに初めての漢字でも読める、という貴重な経験ができました。このコツは、きっと忘れないことでしょう。「この熟語は、〇〇って読むんだよ」と読みを教わっただけでは、すぐに忘れてしまいます。“読み”ではなく、“読み方”を教える。限られた時間の授業の中で何を学ばせるか、講師の腕の見せ所ですね。