晴山雨読ときどき映画

“人生は森の中の一日”
山へ登ったり、本を読んだり映画を観るのは知らない世界を旅しているのと同じよ。
       

録画していた「太陽に灼かれて」を観ました

2010年08月03日 | 映画
1936年夏、モスクワ郊外の別荘地で家族と休暇を過ごすロシア革命の英雄コトフ大佐のもとに、ドミトリという男が訪れる。彼は10年間消息を絶っていた、大佐の妻マルーシャのかつての恋人だった。再会し、過去を悔やむ二人。そんな中、ドミトリがコトフの娘ナージャに話した『おとぎ話』は、コトフによって巧妙に引き裂かれたドミトリとマルーシャの悲恋物語だった。真実を知ったマルーシャは夫を責めるが、彼女の愛を失いたくないコトフは心から謝り、次第に彼女の心は安らいでいく。だがドミトリの目的はそれだけでなく、秘密諜報員として大佐の粛正のためだった……。スターリン大粛正の下、運命に引き裂かれた男女の悲劇がロシアの広大な草原を舞台に、透明感あふれる映像で描かれている。〈映画あらすじ)
1994年
製作国 ロシア=仏
原題 OUTONLIONNYE SOLNTSEM 〈フランス語では”嘘の太陽”の意で映画のタイトルを作った)

N・ミハルコフ監督の別な作品、(黒い瞳〉は観た記憶もあるのだが定かではありません。観終った後釈然としないものが残りました。舞台は、1936年夏、スターリン粛清が荒れ狂っているソ連。けれども、美しい小麦畑が広がり太陽の光、川辺で泳ぐシーンや水の輝きなど”芸術村”で暮らす特権階級の暮らしー。粛清の嵐が吹き荒れているのに、彼らの生活はあまりにも優雅な日々でした。
革命英雄が連行される理由を何一つ映画では説明されていませんでした。
ミハルコフ監督は「不幸な時代を裁くのではなく、その悲劇を流血の時にあってなお、生きていかねばならなかった人間の痛みをえがきたかったのです。彼らの権力は暴力と流血とによって得たものだからです。これは革命という名の“偽りの太陽”に灼かれた犠牲者たちに捧げた作品です」と語っています(太陽とはスターリンを指している)。
描かれ方が中途半端だったような感が拭えませんでした。ドミトリとマルーシャの悲恋物語の結末が気になって、生きていかねばならなかった人間の痛みは薄れてしまっていたのでは?
ナージャを演じる子役(N・ミハルコフ監督の実の娘)は好演しているのに、無垢な子供らしさの切なさが今一つ胸に迫ってきませんでした。
たぶん、特権階級の人々が暮らす別荘地を選んだからかもしれません。もっと大衆の視点で撮られていたら私の感想も違っていたのかもしれません。(ロシア革命に関する私自身の勉強不足もあり?)
最後、テロップに『陸軍大佐コトフ、1936年8月12日銃殺。1956年11月27日名誉回復。マリア・コトヴァ、禁固10年。1940年収容所で死亡。1956年11月27日名誉回復。ナージヤ・コトヴァ、母親とともに、1936年6月12日逮捕。1956年11月27日名誉回復。現在カザフスタン在住。音楽学校勤務』とスクーリーンに文字が浮かび上がると引き戻され、実話である重みがのし掛かりました。

良くある構成なのですが、ドミトリが自殺するシーンが冒頭にあったのも分かりにくくしていたような・・・。勿体ない気がします。 きっとコトフが銃殺されるまでとドミトリが自殺するまでを描いた「太陽に灼かれて2」を観て完結する映画なのでしょう!
ロシアをここまで描いた監督は勇気があり、愛国心に溢れた人だろうと尊敬せざるえません。

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3 コメント

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こんにちは (宵乃)
2010-08-04 15:42:34
新しいテンプレ、落ち着いていていいですね。

監督の言葉は初めて目にしました。やはり原題は”偽りの太陽”で合ってるんでしょうか?

>生きていかねばならなかった人間の痛みは薄れてしまっていたのでは?

(とくに子供が)苦しんでいる様子を見るのは辛いので、彼女らのその後をテロップで伝える方法は、わたし的にはよかったです。彼女たちのその後を想うと胸が痛みます・・・。

>ドミトリが自殺するシーンが冒頭にあったのも分かりにくくしていたような・・・。

これは、最後のシーンとつながるものではなく、この指令(電話がありましたよね?)を受けた後に一度、死のうとしたのだと思ってました。道化のようにおどけて彼女の前に現れたのも、罪の意識を感じて冷静ではいられなかったのだと思います。

わたしの記事にコメント頂いたのに、ネタバレ部分を訂正する事になってしまい申し訳ありませんでした。いちおうネタバレする場合は記事で注意する方針なもので・・・。(たまに忘れますが)
これに懲りずにまたコメント下さいね~。では、TB送らせて頂きます。
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納得できました (bamboo)
2010-08-04 16:37:30
>最後のシーンとつながるものではなく、この指令(電話がありましたよね?)を受けた後に一度、死のうとしたのだと思ってました

そうですね!!!
冒頭とのつながりがイマイチ理解できなかったので、謎が解けました。すっきりしました、ありがとう!

>ネタバレ部分を訂正する事になってしまい申し訳ありませんでした
いえいえちっとも。ノープロブレムですよ(*^_^*)
ネタバレ分を反転して書いてあるブログもあり畏れ入っております。あのテクニックはどこで仕入れたら良いのかしら?

>TB送らせて頂きます。
トラック・バックは初めてでどうすれば良いのかしら???
何分にもPC音痴の私です。

返信する
宵乃さんへ再び (bamboo)
2010-08-04 16:46:52
トラック・バック、分かりました!
重ね重ねありがとう(*^_^*)、何事も経験ですね。
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