先日、外勤先の美容クリニックで『イデバエ』なる施術を見てきました。
イデバエとは、イデベノン(idebenone)とジメチルアミノエタノール(DMAE)の合剤で、これを顔面に注射します。
これでシワやたるみや改善するというのです。
イデベノンは、コエンザイムQのアナログで、抗酸化剤として働きます。
抗酸化剤でたるみが取れるわけではないですが、肌の光老化を防ぐ役割が期待できます。
一方のDMAEは神経筋接合部の神経伝達物質アセチルコリンの前駆体なので、生体内でDMAEがアセチルコリンに変換されることで筋肉が収縮してたるみが引き締まるという理屈のように思いました。
実際、Googleなどでサーチすると、そのような説明が散見されます。
筋肉収縮といったって、持続的に筋肉を収縮させてるっていうのは違和感を感じましたが、アセチルコリンそのものではなくアセチルコリンの前駆体を注射するので、これがゆっくりと時間をかけてアセチルコリンになることで持続的な筋収縮効果が得られるのかなと考えました。
また、筋肉が収縮した状態が続いていればたるみの予防にはなるでしょうから、たるみの治療にDMAEというのも何となく理解できます。
こんな感じだろうと何となく思っていたのですが、もやもやとして気持ち悪いのできちんとPubMed(医学論文)サーチをして調べてみました。
すると・・・・・・「DMAEで筋肉が収縮してシワやたるみが改善する」という証拠は無いのです。
しかしながら、DMAEにシワを改善する効果があることは、きちんとした研究があって本当らしいことは分かりました。
しかも、DMAEによるシワ改善は、即効性で、なおかつ持続性もあると。
では、DMAEでなぜシワが改善するのか。
調べてみると、DMAEは線維芽細胞の増殖を抑えアポトーシスを誘導する作用があるとのこと。
線維芽細胞はコラーゲンを産生する細胞ですから、DMAEによって逆に肌のハリがなくなってたるみが助長されることになりそうです。
さらに、線維芽細胞だけでなく、ケラチノサイトとか他の皮膚の細胞に対しても細胞障害性があるとのこと。
疑問を持ちつつ調べ続けてみると、どうやら、皮膚の細胞が障害されて細胞質に空胞(vacuole)が形成されて細胞が膨張することでシワが改善するのだろうという推測がされていました。
ほんとかいな??
細胞が大きくなるからシワが改善する・・・・・・ちょうどヒアルロン酸注射などで組織を大きくしてシワを改善するのと似たメカニズムで、まあ、理解できなくもないです。
DMAEの長期効果に関する考察は今のところ見つかっていないですが、上記の細胞障害性を考えると、ピーリングとかアブレーションとかと同様のメカニズムで肌のハリがでてくると考えるのが良さそうに思います。
筋肉の収縮とは全然違いますが、考えてみれば、仮に筋肉の収縮によりハリが出るのだとしたら、筋肉を麻痺させてシワを改善させるボトックスのちょうど反対なわけで、かえってシワができそうに思えますから、筋肉収縮説ではなく、上記の細胞障害説の方がしっくりくるように思います。
実験結果もそれを裏付けているわけですし。
そうなると、DMAEは肌に塗布するだけでも効果があるので、わざわざ注射をする意味があるのかな?と、ちょっとだけ疑問が残ります。
まあ、『イデバエ』自体は論文にもなっていないような(idebenone + DMAEでヒットしない)ので、ちょっとだけ怪しさが漂っている感じがします。
そもそも合剤にすることにどれだけの意味があるのかも不明です。
ともあれ、DMAEにシワ改善効果があるのは本当のようですし、長期連用しても副作用はとくに見られていないようなので、『イデバエ』の施術を受ける価値はあると言えそうです。
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DMAEは線維芽細胞の増殖を抑えアポトーシスを誘導するということは
あまり長期的に使うと肌のコラーゲンが減りそうに思えるのですが・・
空胞によるものなら,ハリ効果も一時的に思えますし・・
使っている人たちは大体筋肉説を信じているので
これって危険なのではないかな,と思うのですが,どうでしょう..
研究でハッキリしていないようなので,安易に手を出さないほうが良さそうですね・・