額や眉間のシワとか、鼻唇溝(法令線)とか、年を重ねると目立ってくるシワを手軽に目立たなくできるということでヒアルロン酸注入が「プチ整形」として人気ですが、これを自分で自分にやってしまう人がいるんですね-。
昨日の美容外科学会で、ヒアルロン酸を自己注入して合併症を生じて来院した症例の報告がされました。注入部位にしこりができて消えなくなってしまったとのことで、『異物肉芽腫症』と診断されたようです。体内に異物があると、それをマクロファージなどが貪食して『かたまり』になることがあるのですが、これが異物肉芽腫症です。縫合糸に対する肉芽腫症なんかは病理検体でときどき見かけましたが、ヒアルロン酸注入後にもできることがあるんですね・・・。ヒアルロン酸自体に対する反応だったのか、何らかの物質が混入していてそれに対する反応だったのか、気になるところですが、たぶん、特定はできていないのでしょう。
この合併症が生じた原因が『自己注入』にあったかどうかは不明ですが、よくもまあ、自分の顔に自分で注射する気になるものだと、驚きです。『度胸』だけはスゴイと思いますが・・・。ネットで検索してみると、自己注入している人たちの書き込みが散見されるので、実際にやっている人はそれなりにいるようですね・・・。
医者にとっては、注射なんて局所麻酔で慣れてるし、顔の手術とかケガの縫合とかもいっぱいやっているので、ヒアルロン酸注入はわりと手軽にできますけど、一般の人にとっては「どういう角度でどのくらいの深さにどのくらいの量を注入するのか」なんて、なかなか分からないでしょう。出血のコントロールも必要になることがあるし、ヒアルロン酸注入に適さない部位もあるし(そういうところに自己注入している書き込みも見かけました)、神経を傷つけて麻痺が生じるとか、極端な例ですけど失明するとか、そういうリスクも無いわけではないので・・・素人の自己注入は絶対にやめましょう。だいたい、われわれ医者であっても、自分で自分の顔に注射するなんてやりません。
手術を受けるようです。どこか心を病んでいるようで、