虹パパの日記〜「きれいなおじさんは苦手ですか?」〜

【小説】日の丸恵之助(ひのまる めぐみのすけ)物語〜その38〜

ヤモリの視線を感じながら
しっとり湿ったシーツの上でも
ぐっすり眠ることができた。

もう
太川店長がどこへ泊まったのかもわからず、恵之助は
ここからは一人行動だ、と腹を括り、プノンペンを後にして
世界遺産・アンコールワットを目指した。

プノンペンから船に乗り、トンレサップ河からトンレサップ湖へ。
トレンサップ湖を渡り、シェムリアップ港へ到着。

プノンペンの空港へ到着した時と同じように、
バイクタクシーの運転手たちが群がってくる。

人の良さそうな運転手を選び、値段交渉。
一日バイクタクシーをチャーターして、

アンコールワット
アンコールトム

と遺跡群を一人で巡った恵之助だった。

最初は太川店長とはぐれて心細かった恵之助も、
次第に自由気ままに遺跡群を巡るのが楽しくて仕方なくなってきた。

アンコールトムでは、象に乗ったり、屋台で食事をしたり、
自由な時間を楽しんで、また船に乗りプノンペンの宿へ戻った。

細川店長とははぐれたまま、
恵之助は異国の地で年を越すこととなった。
カントダウンで花火が上がるときき、
花火を見に街へ出た。

「おー!助!」

と後ろから金髪の美人と手を繋ぎ歩いてくる太川店長だった。

美人さんの名は、ビクトリア。
ロシア人女性とのことだった。
この日から、一人旅が3人旅に。

太川店長とビクトリア、そして恵之助の3人で残りのカンボジア滞在時間、街をぶらぶらして過ごした。
恵之助は気まずさを感じながらも、やはり一人きりの時よりも安心しながら旅を続けた。
カンボジア滞在の最終日、ビクトリアにお別れを告げ、プノンペンの空港へ太川店長と恵之助は向かった。

帰国途についた恵之助は、機内で太川店長オススメ
落合信彦の本を読んでいた。

この人のように
強くなりたいなぁ

この旅で、少しは強くなれたかなぁ

弱い自分
情けない自分
を鍛えて強くなりたい

太川店長はすごいなぁ
異国の地で知らぬ間に
ビクトリアと一緒になっていて、
かわいい部下をほったらかして・・・楽しんじゃう

すごいなぁ
それに比べ
俺はダメだなぁ

もっと強くならなければ
ダメな自分を変えなければ

と、悶々としたまま年末年始の休みは明けてしまった。

つづく。



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