英語の会話のため、完全には理解できないが、どうせ男が好きそうな話だろう
という察しはついた。
首都プノンペンから
バイクタクシーの後ろに乗って
砂埃をもろに受けながら、どんどんどんどん
遠ざかっていく。
観光客どころか、
人っこひとりいないような道も走り、
小さな町が現れたと思ったら、
あっという間に街を通り過ぎ・・・・
というのを何度か繰り返して到着した小さな小さな村。
小屋の中に案内されると、
10名以上いただろうか、女性が恵之助の周りを取り囲んだ。。。。
「助、選んでいいぞ。」と太川店長が言う。
「はい?」と聞き返す恵之助。
「どの子が好みだ?」
なんとなく察しはついていたとはいえ、
急な展開に訳がわからない恵之助であったが、
「どの子が好みだ?」
という問いかけにはスッと好みの女性を指差していた。。。。
「じゃ、言ってこい、助。後でな。」と別室へ追いやられるがまま
女性と2人きりに。。。。
日本語も英語も通じないが、
なんとか身振り手振りで20分間くらい
会話にならない会話で間を持たせ、
お金だけ置いて部屋を出る恵之助だった。
この村は女性が身体を売って生計を立てている村なのだと知った。
きっとたくさんの日本人がここへやってきているのだろう。
太川店長が
世の中を知らなすぎる恵之助を鍛えるために
色々な経験をさせてあげようという思いのために
連れてきた村なのだろうが、これは酷い。
しばらく黙ったまま
ドシンと重い空気を纏ったまま
バイクタクシーでプノンペンへと戻っていった。
プノンペン市内の信号待ちで
足をバイクに轢かれたが、
あの村の女性たちの苦痛に比べたら
なんてことはない、とやせ我慢をする恵之助だった。
無言のまま
日は暮れて、太川店長とは別れ、
シャワーもちょろちょろ水しか出ない、
壁にヤモリが張り付いている部屋の、
湿気ったシーツのベッドで眠りにつく
恵之助だった。
つづく。