あ/た/ま

聴く読む観る買うの備忘録

Once: ONCE ダブリンの街角で

2015-08-13 | 映画
ONCE ダブリンの街角で [DVD]
クリエーター情報なし
NBCユニバーサル・エンターテイメントジャパン


 ダブリンの街角でギターの弾き語りをしながらミュージシャンをめざす男(Glen Hansard)は、彼の音楽に立ち止まったチェコ移民で花売りの女(Markéta Irglová)に出会う。ふとしたきっかけで、男の作った曲を二人で演奏し、思いがけず素晴らしい出来映えに気を良くした二人は、デモテープを一緒に作ることにする。
 全編の半分くらいが演奏シーンで、ミュージックビデオを繋ぎあわせたような作品だが、彼等の曲がいいし、歌詞や表情から伝わるもので物語が成立しているのが凄い。恐らくはかなり低予算と思われる素朴な映像も、物語の雰囲気にぴったり。

Things We Lost in the Fire: 悲しみが乾くまで

2015-08-12 | 映画
悲しみが乾くまで スペシャル・エディション [DVD]
クリエーター情報なし
角川エンタテインメント


 家族と共に幸せな生活を送っていたオードリー(Halle Berry)だが、優しかった夫ブライアン(David Duchovny)は事件に巻き込まれて突然亡くなってしまう。葬儀に訪れた夫の親友ジェリー(Benicio Del Toro)が、「薬物に溺れて以来、自分を見放さなかったのはブライアンだけだ」と語るのを見て、オードリーは彼に親近感を覚え、やがて共同生活を送るようになる。
 夫や父親、無二の親友を失い、遺された者達が、喪失感に苛まれながら一歩を踏み出そうとする物語。主人公の二人はもちろん、二人の子どもや彼らを取り囲む人達を含めて、感情表現が繊細で見応えがある。特に、薬物中毒者にして親友を失った男を演じるBenicio Del Toroが圧巻。大人の挟持を感じさせる顛末もいい塩梅。
 

さよなら歌舞伎町

2015-08-12 | 映画
さよなら歌舞伎町 スペシャル・エディション [Blu-ray]
クリエーター情報なし
Happinet(SB)(D)


 ミュージシャンをめざす恋人(前田敦子)には一流ホテル勤務と偽りつつ、歌舞伎町のラブホテルで店長を務めている徹(染谷将太)。彼の務めるホテルでは、時効を待つ夫(松重豊)を匿いながら働く清掃婦(南果歩)、家出少女とスカウトマン、韓国デリヘル嬢と恋人、不倫中の刑事夫婦など、様々な人生を抱えた人々が行き交っている。
 歌舞伎町の今を切り取る群像劇。唐突にヘイトスピーチの映像が挿入されたり、主人公が東日本大震災の被災者だったり、「今」を演出するための技巧がやや煩い気もしたが、個性豊かな俳優陣のおかげもあって、登場人物が多い割に散らからずにまとまっている印象。

Song One: ブルックリンの恋人たち

2015-08-11 | 映画
ブルックリンの恋人たち [Blu-ray]
クリエーター情報なし
Happinet(SB)(D)


 博士号の取得を目指してモロッコで取材をしていたフラニー(Anne Hathaway)の元に、ミュージシャンを志す弟が交通事故に遭ったという報せが届く。意識は戻らならい弟と喧嘩別れしたままだったことを悔やんだフラニーは、彼の部屋で見つけた日記を頼りにバイト先やお気に入りのダイナー、行くはずだったコンサートを訪れ、弟が敬愛していたミュージシャンのジェイムズ(Johnny Flynn)に出会う。
 音楽も雰囲気も良くて、気持よく観ていられるけど、なんだか薄味で、あっけない。もう少し饒舌でも良かったかな。

秋天的童話: An Autumn's Tale; 誰かがあなたを愛してる

2015-08-10 | 映画
誰かがあなたを愛してる [Blu-ray]
クリエーター情報なし
パラマウント ホーム エンタテインメント ジャパン


 演劇を学ぶために香港からニューヨークにやってきたジェニファー(チェリー・チェン)は、遠い親戚のサミュエル(チョウ・ユンファ)のボロアパートの1部屋で暮らし始める。賭け事に明け暮れるサミュエルに呆れていたジェニファーだが、先にニューヨークに来ていた恋人に新し恋人がいることを知った失意の中で、大らかなサミュエルの人柄に救われる。
 パッケージの写真が気に入って、四半世紀前の古い映画を気紛れに鑑賞。任侠映画の印象が強いチョウ・ユンファが、珍しくラブストーリーを演じている。なんの捻りもない素朴なラブストーリーだが、ヒロインのチェリー・チェンの魅力も相まって好印象。

The Fault in Our Stars: きっと、星のせいじゃない。

2015-08-09 | 映画
きっと、星のせいじゃない。 [Blu-ray]
クリエーター情報なし
20世紀フォックス・ホーム・エンターテイメント・ジャパン


 末期がん患者のヘイゼル(Shailene Woodley)は、投薬の効果で症状が抑えられているものの酸素ボンベが手離せず、学校にも通えず、友達もできずに過ごしていた。母親の勧めでがん患者の集会に参加した彼女は、骨肉腫で片足を失った青年オーガスタス(Ansel Elgort)に出会う。ヘイゼルに惹かれ、彼女の愛読書の作者(Willem Dafoe)とメールでコンタクトを取ったオーガスタスは、作家の住むアムステルダムにヘイゼルを連れて行こうとする。
 がん患者のカップルを主人公としたラブストーリーということで、お涙頂戴的な展開かと思いきや、ユーモアも交えながらのさらっとした描写が好感が持てる。自分の境遇や周囲への影響を考えて繊細な葛藤を見せるヘイゼル、明るく快活でどこまでも前向きなオーガスタス、そんな二人の戦いにシニカルな態度を見せる作家と、病に対して三者三様の反応を見せる登場人物を配しているのも、物語が単調にならずに効果的。

Boyhood: 6才のボクが、大人になるまで。

2015-08-09 | 映画
6才のボクが、大人になるまで。 ブルーレイ+DVDセット [Blu-ray]
クリエーター情報なし
NBCユニバーサル・エンターテイメントジャパン


 メイソン(Ellar Coltrane)は、姉(Lorelei Linklater)と母(Patricia Arquette)と共にテキサス州の田舎町に暮らしていたが、心機一転して再び大学戻ることにした母の決意により、一家はヒューストンに引っ越す。母と別れてアラスカに旅立って以来音信不通だった父(Ethan Hawke)が、ひょっこり転居先に現れるが、母との関係は変わらないようだ。
 6才の少年が18才の青年に成長するまでを、実際に12年かけて撮影した画期的な作品。殊更劇的な出来事が起こる分けではないが、映画の中を流れる12年の年月、とりわけ子どもたちの成長によるリアリティの説得力は偉大で、他の映画にはない体験が味わえる。少年を育てる親としては、Patricia Arquetteがラスト付近で見せる嘆きや、次第に父親らしくなって行くEthan Hawkeに共感を禁じ得ない。12年間に何が起こるかも全く分からない中、この企画に挑み、見事に仕上げた製作者に脱帽。

The Theory of Everything: 博士と彼女のセオリー

2015-08-08 | 映画
博士と彼女のセオリー ブルーレイ+DVDセット [Blu-ray]
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NBCユニバーサル・エンターテイメントジャパン


 ケンブリッジ大学で、天才物理学者として将来を嘱望されていたスティーブン・ホーキング(Eddie Redmayne)は、文学部のジェーン・ワイルド(Felicity Jones)と恋に落ちるが、間もなくALSを発症し、余命2年を告げられてしまう。失意のスティーブンを支え、共に生きることを選んだジェーンは、彼の妻となり共に困難を乗り越えようとする。
 ホーキング博士の前妻による自伝の映画化。病と闘う夫婦の美談かと思いきや然にあらず、彼らの葛藤と別れまでが描かれている。長年自分を支えた妻に深い感謝と愛情を感じながらも、あるいはそれ故に別れを切り出す博士の葛藤を、口元の僅かな動きと目の表情だけで表現したEddie Redmayneの演技は圧巻で、オスカー受賞も納得の演技。Felicity Jonesの気丈で可愛らしい姿も好印象。

Big Eyes: ビッグ・アイズ

2015-08-07 | 映画
ビッグ・アイズ [DVD]
クリエーター情報なし
ギャガ


 1950〜60年代に、哀愁を湛えた大きな瞳の子供を描いた絵”BIG EYES”が世界中で流行する。作者のウォルター・キーン(Christoph Waltz)は一躍有名人となり、メディアを賑わせていただが、彼には秘密があった。実際に筆を執っていたのは妻のマーガレット(Amy Adams)だったのだ。
 実在のゴーストペインター事件の映画化。狡猾で滑稽なのにどこか人を引きつけるChristoph Waltzの役作り、沸き起こる様々感情や葛藤をちょっとした表情で余すことなく伝えるAmy Adams、芸達者な主演2人の演技が存分に楽しめる。あらゆる場面の、ポップで色鮮やかな配色も印象的で、Tim Burton監督の拘りが感じられる。

Buffalo ’66: バッファロー’66

2015-08-02 | 映画
バッファロー'66 [DVD]
クリエーター情報なし
ギャガ・コミュニケーションズ


 5年の刑期を終えて出所したビリー(Vincent Gallo)は、両親の住む実家に帰ろうとするが、服役していたことを隠し、仕事で遠方に行っていたと偽った上、勢いでフィアンセを連れて行くと言ってしまう。恋人もいないビリーは、立ち寄ったダンス教室で見かけた少女レイラ(Christina Ricci)を拉致し、妻のふりをするよう強要する。
 包容力と慈愛に満ちたレイラ(Christina Ricci)の魅力に尽きる。理不尽に連れ去られながら、虚勢を張って神経質に怒鳴り散らすビリーの何がレイラを惹きつけたのかさっぱり分からないが、彼を優しく包み、心を解く彼女は非常に魅力的。ボーリング場でタップダンスを踊るシーンと、温かなラストが印象的。