goo blog サービス終了のお知らせ 

パペット・モーテル。

こちらパラダイス★架空都市遊楽町1丁目!

□ 重松清 つながりで。

2006-05-05 | book×book
重松清著「幼な子われらに生まれ」×「流星ワゴン」





幸せの定義  それは…
「 一番近くにいる人を一番好きでいられること 」

もしあなたが手っ取り早く幸せになりたいなら、いつも
一番近くにいる人を一番好きになってみればいい…☆

というわけで、「幼な子われらに生まれ」ですわ。
一億総中流家庭の一般的家族観など当の昔に崩壊した今だからこそ、
「家族」というもののありかたを問う本書が、すごく新鮮に感じられた

今や、どこを探しても、模範となるべき家族像など見当たらないのだ。
もしあったとしても、それがそのまま自分に当てはまるとは限らないわけで…

右へならへの模倣体質が骨の髄までしみこんだ日本人は戸惑うばかりだ。
模倣してみせる手本のない世の中で、自分はどう生きればいいのか?
なんでもありの現代だからこそ、いったい自分はどう生きたいのか?

前妻は、自分の生きがいを求め、さらなる活躍の場を求めて、家庭を去った。
取り残された夫(主人公)は“普通の人”であるがゆえ“普通の幸せ”を求めて
再婚し、ありふれた“普通の家庭”を築こうと努力しているつもりなのだが…

まったく自分に馴染もうとしない再婚した妻の連れ子である長女・薫の頑なさ。
そんな薫を、前妻との間の実娘・沙織の愛嬌のある賢しさと引き比べてしまい、

さらには、新しい家庭を重荷に感じ始めると同時に新しい妻の欠点に目が向きはじめ、
挙句の果てに、風俗嬢アンジーとの赤チャンプレイに安らぎを見出してしまう体たらく

しかし、どう否定しようにも、今の妻のお腹には新たなる命が芽生えているのだ。
一度は堕胎することを望んではみたものの、彼の内心のモヤモヤは晴れない()。

「ほんとうのパパに会いたい」と言い出した薫の願いをかなえるため会った妻の前夫。
父性の欠片もない男の態度を反面教師に、苦悩の末に見出した幸せの定義を胸に、
彼は今ある自らの境遇のすべてを受け入れる覚悟を決め、出産に立ち向かうのだった。

てなわけで、これ、立場や読む時期によって、心の揺さぶられ方に振幅がありそう。
また、時を経て再読したら、きっと違った感動を覚えるかもしれない


というわけで、「流星ワゴン」ですわ。
最低の現実を突きつけられ、死を夢想する男の前に現れたワインレッドのオデッセイ。
事故死したハズの父子の乗る不思議なワゴンは、時空を超えて、何故彼のもとへきた?

お決まりのタイムスリップものの感動を、これでもかと味わえますYOん。
ひとすじの落涙とともに、今ある幸せをかみしめちゃったりとかして…☆



◇「幼な子われらに生まれ」 重松清著   ★★★☆
◇「流星ワゴン」        重松清著   ★★★★