虚構の世界~昭和42年生まれの男の思い~

昭和42年生まれの男から見た人生の様々な交差点を綴っていきます

黄昏のモノローグ~愚痴~

2017-11-01 10:57:10 | 小説
*このお話はフィクションです。

 部下の一人がうつ病を発症して休職し三ヶ月が経つ。

 彼の仕事を誰が担当するか、部長である私が分担した。



 今でもみんなギリギリのところで仕事をしているのに、更に業務を増やすのは忍びなかった。

 しかし、現実的に誰かにやってもらわないといけない。



「何で俺がアイツの仕事をカバーしなくちゃいけないんだ。アイツは俺たちのことを助けてくれたか。それどころか、足を引っ張ることばかりやりやがって」

「俺は部長が休んだ人の人員を補充すべきことが大切だと思うがね」


 いろいろな声が聞こえてくる。

 その中で部下の一人が黙々と業務を遂行していた。

「すまないね。畑違いの仕事をやらせてしまって」

「いえ、それより、僕会社に10年居たのに何にも知らなかったんだって気づかされましたよ」

「えっ、どういうこと?」

「会社にはこんな仕事もあるかと気づかされました」

と笑顔で言った。



 自分の畑違いの仕事から何かを学ぼうとする姿勢に感心させられた。

 愚痴を言いながら仕事をするか
 あるいはそこになにか新しい創造性をもって仕事をするか

 この意識の差は10年、20年後に表れる。

 おそらく彼はこれから出世していくことだろう。


 11月1日、晩秋の釧路の街の空が奇麗に感じられた。


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