『あっちへ行け!お前達に俺の苦しみが分かるわけがない!』、『この苦しみは俺だけのものだ!』…という台詞である。
長い間背負い続けた難儀と窮状は何時の間にか僕の日常となり、平和な淡々とした風情が漂う時期さえあった。
人が盗んだり、横領したり、隠したりした負債を誰か?が受け持たなきゃ……女子高生の言い争いレベルで迷惑が世の中に巻き散らかされる……自分が演れるだけ演ろう!
正々堂々前を向くんだ!とその旅は始まった。
僕の上っ面の若い考えは現実の苦しみによって直ぐ様弱音を上げたくもなった。
気分は悲劇のヒーロー?
誰も誉める奴なんて居る訳もない……。
『分かって欲しかった』……。
経緯(いきさつ)とか自分の考えとか?一連の出来事の正しい事、間違えてる人間の事、……僕の気持ち、心の悲鳴……等々を……僕は人に分かって欲しかった。
その日その日を巧みに立ち回りオイシイ所を小器用にかっさらう?そんな人間達が見透かしたかの様に……頼みもしないのにシャーデンフロイデの言葉を投げにもやって来た……。
やがて、分かって欲しい!の思いはかき消えて……『お前らに分かって堪るか!』……そんな怒気を孕んだ思いが胸の中を駆け巡る?様になった。
些細なトゲを含んだ言葉や態度にすら怒りに火が点き過剰に反応するのだった。
その度に頭を抱え込んでの自己嫌悪の日々。スキップしていようと悶え苦しもうと……僕の人生で果たさなきゃならないノルマは変わらない。
正直に言えば……演れるだけ演る!なんて嘘になった。横着に流れ大切な問題を軽く流して処理を怠ったりもした。
限界まで何度も堕落しそうになった僕を立ち直らせたのはソコまでに刻んだ本気で苦しみ進んだ本物の時間だった。
努力?というには恥ずかしいけれど……少しは自分を誉められる事どもがあり、僕に『ソレ、無駄にすんの?』と聞いて来た……。
渋々また……再生の努力の道筋に軌道修正し日々を刻んだ……。
そういう繰り返しを長く続けた結果……僕は……自分からじゃなく状況にソコまで!と止められた。想定してたストーリーとは程遠い、道半ばの敗北である。
若い時……スタートした自分との約束、『止める時は他者に負けた時……』、『絶対に自分から自分に負けに行く』事はしない!……ソレだけが守り通せたのだった。
ソレさえあれば……十分だと今『自分に納得出来た自分』がいる。
長く生きて来て……『自分に納得』出来た事なんて何一つ無かったから……。
相変わらずの世間がソコに在り……相変わらずの平和な様々の人達が様々の事を僕に言ってくれる……。
若き日々の『分かって欲しい!』は今……、キレイ綺麗に清く正しく?無事これ名馬の様に生きてきた平和な人達に僕の心がそうそう『簡単に分かられちゃ哀しいぜぇ』……に変化してる事に気付いたのである……。
『自分に納得した成果?』……コレが自己肯定感って奴なのか?と怯え半分で自分の心を観察している……。
若い頃の僕は……『やる!』のと『やり遂げる』とは違うのだ!……な~んて事を知ったかしながら言ってたっけな?
とても恥ずかしい様だけど……今となってはソレさえも『健気だったな?』なんて思いも導くのである。
きっと……ソレもコレもひっくるめて自分に納得出来たからなんだろうなぁ……と思う。