サンチョパンサの憂鬱

意地でもヤラない戦法

R191から外れて(戸河内町明治橋を渡る) 右折すればスキー場だけど、それを真っ直ぐ進む。

こんな所にも家はある。
もう住んでないのもまだ人の気配があるのも混在している。
可能な限り人は山を開き、田んぼを作り住み着いたんだなぁ……。

発電所が唐突に現れる。恐らくは明治時代のものかも?と思わせる古色蒼然とした風情……。

人家が途切れて山あいを川沿いに進むとダムが現れる。熊注意の看板と共に十方山登山口の道標をやり過ごして進む。

深い森の木立の合間から、明るい風景が垣間見える様に……。
旧吉和村の集落に抜け出して西へ五分も走れば右手に、島根県匹見町に抜ける林道との交差点である。

冬場は通行不能となる。吹雪の中を一度チャレンジしたけれど……クルマの下に雪が潜り込み、直ぐに走行不能となった。

その日は晩秋の深夜。
林道に走り込むと直ぐにイノシン、キツネ、タヌキに出会した。
まるでお伽草子の世界に舞い降りたかの様な錯覚に陥りそうな深い闇の中。ヘッドライトの光に照らされ彼等は次々と眼前に飛び出して来ては木立の闇の中へ溶ける様に消えていった。

こんな時間には想像つかない別世界があるんですね?……整った綺麗な造りの顔をした女はそう言った。

綺麗な端正な造りの顔以外は……全てが常識的で悪く言えば平板な女……。
彼女は僕の言うこと演る事の悉くに驚いた。

肉欲的な振る舞い全てを禁じ手とする……その女と交流?が始まって……彼女がアリキタリなアプローチを始めた時……僕は自分憲法として第一条にそれを制定した。

顔が綺麗なだけで様々の男達が寄ってくる事に彼女は慣れ親しんでおり、そんな日常の繰り返しを詰まらないと感じてる事が観て取れたからだった。

自分に『一切手を触れない男』がいるのだと彼女に経験させる必要があると思った……。
彼女に取っての『非日常』は男から興味の対象にされない事だと……。それが一番インパクトある非日常となるだろうと僕は思った……。

肉欲的な興味はあった。単純に彼女は綺麗だったから。
しかしひと年とった自分は『その後』がとても苦痛になる事を予感できる様になっていた。その後の時空で『間が持たない億劫さと苦痛』は避けたかった。

何時まで経っても彼女の狙う進展はない。焦れた彼女は唐突に自ら『その場面』を作ろうと躍起になった。
『普通の常識のバンドを無事これ名馬』的に生きてきた女は服を脱がされる事はあっても、男に服を脱がせる方法なんて思いも付かない。

『貴方が好きなんです!』……何回かのチャレンジに失敗した彼女はそう言った。
山を抜け田舎町のコンビニの駐車場だった。

自分を狙ってくる男より自分が狙う男をモノにするのは比べ物にならないぐらい難しいでしょ?……。
僕をよく観て欲しい。このビジュアルの上に鼻持ちならない無礼……冷静なら君は見向きもしない筈……。

それなのに何故?……若い君がオッサンに迫ってるのは何故か?
単に君に手を出さない男という理由以外にはない。それだけで『非日常的な驚き』になる自分の思考や経験の稚拙さに気付かなきゃね?……。

安っぽい駆け引きなんかじゃなく……夜中に起き出して襲いに行きたいくらいになる男に惚れる経験をしたら良い。

アホみたいに待って……男に言わせる女から男に迫る女に今日なれたんだから……今後は期待大だと思うよ……と僕はいった。

圧倒的に知識も経験も努力も足りないから、こんなオッサンに告白させられる目にあうのよ……。

彼女はとても良い表情になった。
『ワルい奴……ですよね』……と彼女は言った。
コレが努力の賜物って奴なのよ!……と言うと彼女は一杯やりたい事が頭の中に溢れてきたと言った。

コンビニコーヒーが何時になく旨く感じた。
一時間近くアレコレ話したけれどその間に車は1台もやって来なかった……。
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