サンチョパンサの憂鬱

負け方について……

同じ……当て擦りでも……演ってる人間が大人と子供では随分様相が違ってくる。

子供の場合、それはとても微笑ましく、可愛さが伝わり来る。痩せ我慢を知らない一生懸命、直球の欲求不満が可愛く表現されている。
ウンウン、そうして欲しかったんだね?的に頭の一つでも撫でて上げたくもなる。

これを大人がやると何とも不気味になるから不思議である。少なくとも可愛さなどとは無縁である。

スタッフにご執心の男が居る。
何かにつけて誘うのだが、思うに任せないのである。
客の一人として、何かを勧める場合がある。

彼は殊更に構え、尊大ぶって中々結論を出さない。そんなに迷うことなのか?と見ていると散々引っ張って凄く粘着質なNOを言うのである。

お前が俺に靡かないからだよ~だ、的なアホ臭い空気一杯。
歪な笑いを浮かべながら何日も引っ張ってからそれを演るのである。

実は、彼が何でそんなに考えるのか?分からなかった。
まさかそんな意趣返しなど?と考えもしなかったからだ。

帰る!と演ってさっさと出ていく。
俺は不満だぞ!って事らしいが相手が食事の誘いに乗らないからと言って大人の取る態度じゃない……。
私が断ったからです……とスタッフは吐き捨てる様に言った。

手の施し様がないから放置される。
10日もしない内にメールが入るらしい。
行っても良いか?……と。一人で怒って一人芝居で絶縁だと演っては舞い戻る。

頑なにそうやって自分を続けて来たのだろう……。しかし彼に意外だったのは自分の気持ちだったのだろう。そんなに惨めな想いをしてまでまた舞い戻る羽目になるとは?……と。

そんなのは誰にだってよくある心理だけど、
『こりゃ参ったね!』とばかりスッカリ負けを受け入れたら……大人の可愛さが溢れるのにねぇ……とスタッフ。
そんなチンケな取引を材料にした格好悪さだって気付けるだろうに……と。

誰にだってそんな心理はある。
だからこそ誤魔化せないしミエミエなのである。それが悪いんじゃない。誰にだってあるのだから……その心理を笑える者など居ないのである。

そんな時……男はfbに今ここで呑んでます!と居酒屋の写真を載せたりする。
カッコ悪さここに極まれり!……負け惜しみの後の負け犬の遠吠えまで自分にさせてしまうのである……。

大人の分別と潔さ……を絞り出さなければならないのだと思う。
『負け方の美学』だろう。
謝り謝られるシーンは日常に溢れている。
だからこそ……その処理の仕方は際立つのである。

1日三度のありふれた食事のシーンにその人の品格が出る様に……ありふれた負けのシーンはその人の品格を露にするのである。

こと、女に関する男事情は結果が全て(ヤルか否か?)ってな下世話に流れ易いモノだけど……。

実は『その後』に多大な影響を与えるのは『如何にして?』というプロセスが一番大事~🎵なのである。

乾坤一擲の思いの一太刀を悔いなく降り下ろせたか?なのである。その……結果は上手く運べばOK、駄目なら次行くぞ~で済むのだから。

人は負ける人を何とも思わない……。
人は負けられない人の大人気ないカッコ悪さが大嫌いなのである……。
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