サンチョパンサの憂鬱

アメックスゴールドの男

その男……昼のランチの忙繁時に電話でエラク悠長に予約したいと電話を入れて来たらしい。
時間は?と聞けば今から直ぐ行くと……。

今から直ぐならば大丈夫です。そのままお越し下さい。まだ三テーブル空いておりますからお席を確保しておきます……と言えばどうしても予約したいと言い張る。
超忙しい最中、仕方なくスタッフは名前と連絡先を聞く羽目になったと……。

モテそうもないおデブなアメックス男は、カッコよくレストランを押さえて女をエスコートするスタイルに拘泥していたのでえらくプライドが傷付いたらしい。

料理を出す度に、皮肉な笑いで料理をつつき回す。そして何やら嘲笑しているらしいのは分かった。
連れてきた女は女で、その一言一言に大袈裟に反応して、男にじゃなく男のおカネに媚びてるのが明らかに分かった。

お会計になると『これでいい?』と人差し指と中指にアメックスを挟み、どうだ!!思い知ったか?のドヤ顔……スタッフ君はそれに全く無反応で事務的にカードを預かる仕打ち……。

見事なまでに、ヤクザのベンツのように、カードに踊らされていて笑えるのである。
だからこの男には、食い物目当てのそんなオブスでおバカの貧乳女が関の山なのだ……。

どっかのおバカ二代目か?……アメックスにはやたらとこんなのが多い。発行する時少しは考えれば良いのに……。

ベンツに乗られてアメックスカードに踊らされるおバカ男に、食い物に釣られる卑しい性根のおブスちゃん……ま、これはこれでバランスしてるからしょうがない……。

カネって奴は、厳正、正確無比に男の地力をこうやって暴くのである。
昔の児童文学には必ず、カネ持ちの家の下品息子ってのが敵役で登場したっけなぁ……。
純粋健気な、主人公の少年との対比には必要なキャラではある。

ランチごときを食らうのに……サッと飛び込みでいらっしゃいな。たまたま混んでたら、お行儀よく待つ。お昼は直ぐ席は空くんだから。
案内されたら嬉しそうな演技でも一つ。
そうやって好感をスタッフにもたらす男なんてカッコ良いよね……。

真珠で豚は美人にならず、小判で猫は名士にはなれないからねぇ……。

金持ちはヒタスラ金持ちってのを隠し……僕みたいな貧乏人はヒタスラ自分の貧乏を大っぴらにひけらかす!……コレが男のモテる最高の手口なのよ……。覚えといて!アメックスゴールド君……。
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