プロジェクトが、動き出した。涙が、出た。

平成二十三年、松本市、ピカデリーホール。
ここで、ある一つのプロジェクトが動き出そうとしていた。

「まつもと演劇祭」
十年以上続くこのイベントは、今年で十六年目を迎える。

そんな中、一人の女が立ちあがった。
God Sound+Studio End、アヤノである。

「今年の演劇祭では、このままではいけない」
「これは、我々の演劇、そしてこの国の文化に関わる、重大な問題だ」

それからしばらく経った、六月二十六日の日曜日の午後のこと。
ピカデリーホールの楽屋に、四人の演劇人が集められた。

雑談もそこそこに、アヤノは、自分の考えた新しい提案について語り始めた。
アヤノの口から次々と語られる提案に、誰もが心を奪われた。

提案を終えたアヤノに、次々と感嘆の声が上がった。

ちんてんめいが言った。
「素晴らしい。私も協力したい」

Ｅ藤も言った。
「これが実現すれば、今年の演劇祭は確実に変わる」

演劇祭を盛り上げたいという、同じ目的を持つ彼らの心に、
アヤノの言葉は、強く響いた。

その時だった。

「すみません！寝坊しました！」

おもケンだった。
誰もが、言葉を失った。

しかしその後、おもケンの賛同も得て、全員は一致団結してプロジェクトについて話し合った。
まつもと演劇祭の新たな可能性に、誰もが心を躍らせた。


Ｅ藤が言った。


「これで行こう！」


プロジェクトが、動き出した。

涙が、出た。