07/6/15、シネマヴェーラにて鑑賞。6.0点。
藤田敏八による日活ロマンポルノ。本作を観て思うことは、映画と時代との切っても切れない関係だ。かつて巷間で囁かれた「ニューファミリー」という言葉がキーワードとして登場し、「家族」という虚構のあり方が描かれる。夫と子供を置いて失踪した女。奔放で何にも束縛されずに生きる若い女。それぞれ高沢順子と森下愛子が扮した二人の女と、映画初主演の奥田英二が演じた「どうにか家族を再生させようとする男」。三人が織り成す物語は一種の「重喜劇」としても観られる。ラストのあっけなさが象徴しているように、作り手側も本作をコメディとして観るよう客に要求しているように思える。
無残に崩壊した奥田と高沢の「家族」に対し、「しなやかに、したたかに」生きる森下という「個人」。あざといコントラストを作る描き方だが、しかし森下の素晴らしい存在感によって嫌味はない。特に、終り間際で[歳がバレた]ときに見せる舌を出した表情が最高だ。
時代の空気を伝えつつ、重喜劇としての普遍的な面白さも持つ秀作。「くたばれよ、ニューファミリー」
藤田敏八による日活ロマンポルノ。本作を観て思うことは、映画と時代との切っても切れない関係だ。かつて巷間で囁かれた「ニューファミリー」という言葉がキーワードとして登場し、「家族」という虚構のあり方が描かれる。夫と子供を置いて失踪した女。奔放で何にも束縛されずに生きる若い女。それぞれ高沢順子と森下愛子が扮した二人の女と、映画初主演の奥田英二が演じた「どうにか家族を再生させようとする男」。三人が織り成す物語は一種の「重喜劇」としても観られる。ラストのあっけなさが象徴しているように、作り手側も本作をコメディとして観るよう客に要求しているように思える。
無残に崩壊した奥田と高沢の「家族」に対し、「しなやかに、したたかに」生きる森下という「個人」。あざといコントラストを作る描き方だが、しかし森下の素晴らしい存在感によって嫌味はない。特に、終り間際で[歳がバレた]ときに見せる舌を出した表情が最高だ。
時代の空気を伝えつつ、重喜劇としての普遍的な面白さも持つ秀作。「くたばれよ、ニューファミリー」