2021年7月22日 17時38分 東京新聞
東京五輪開幕を控え、首都圏を中心に新型コロナウイルスの感染が急拡大を続けている。コロナ患者を受け入れている埼玉県三芳町のふじみの救急病院では、来院する患者が増えており、スタッフらは炎天下、治療や検査に追われている。
強い日差しが照りつける中、病院に隣接するプレハブで、60人がPCR検査のために待っていた。20日の最高気温は34度。感染防止のため、屋外に一度出て、患者から検体を採取する看護師が汗をぬぐっていた。「訪れる人が、最近増えてきた。第5波の影響です」と鹿野晃院長は警戒を強める。
◆ドライブスルー形式のPCRセンター整備
病院では、隣接する土地を借り上げ大規模なPCRセンターを整備。昨年11月にはドライブスルー形式も導入。検査会社も敷地内に誘致し、迅速に結果が出るよう整えた。これまでに約10万件のPCR検査を実施。1日最大650人が訪れたが、最近は350人前後で推移している。
病院では、新型コロナ患者の入院も受け付けている。最大20人超が入院していたが、20日は9人。「今は落ち着いている」と鹿野院長は話す。
入院患者はここ最近は増加傾向にある。約半数が急速に重症化しやすいとされるデルタ株に置き換わった。入院する患者は高齢者より40、50代が増えて来たという。
1カ月前から入院している50代の男性。当初は軽症だったが、持病があったこともあり肺炎が進行し集中治療室(ICU)へ。現在は鼻から酸素を投与する呼吸療法が行われていた。
◆ガラス越しに患者「本当に死ぬと思っていました」
「本当に死ぬと思っていました」「非常に良くなっている。峠は越しましたよ」。鹿野院長と男性とのやりとりが部屋のガラス越しに聞こえてきた。
鹿野院長は「軽症・中等症の患者をいかに重症化させないようにできるか。それに全力を尽くしている」と力を込めた。
◆「選手村が感染村にならないことを祈っている」
東京五輪開催で、海外からの渡航客が増え、変異株の流行を警戒する。「秋冬はウイルスにとって有利。厳しい闘いになる」。五輪関係者の陽性者が相次いでいることに「入国時の水際対策がずさんだった。せっかくここまで来たので、無事に終わっほしい。選手村が感染村にならないことを願っている」と話した。(井上真典)