とおいひのうた いまというひのうた

自分が感じてきたことを、順不同で、ああでもない、こうでもないと、かきつらねていきたいと思っている。

イワシの塩漬けと金子みすずの詩「大漁」

2018年04月22日 10時41分11秒 | ことば・こころ・文学・演劇

 今日も快晴。気持ちのいい日です。

あまりイワシの佃煮がおいしいので再調理のため今日もせっせと塩漬けのイワシを塩出ししています。

私は最近なんでも食べてしまう自分の口がおそろしい。

ふと金子みすずの「大漁」の詩を思い浮かべる。

たったこれだけの短い詩だ。↓

 

朝焼小焼だ
  大漁(たいりょう)だ。
  大羽鰮(おおばいわし)の
  大漁だ。

  浜(はま)はまつりの
  ようだけど
  海のなかでは
  何万(なんまん)の
  鰮(いわし)のとむらい
  するだろう。

そして次にメロデイをつけて歌った曲を思い浮かべる

。CD『啄木とみすずを歌う』から

   http://hiroandakiko.lolipop.jp/hiroandakiko/

(大漁も2曲目に入っていますよ↓)

中田喜直:童謡歌曲集『ほしとたんぽぽ』(金子みすゞ)全曲

【参考】

金子 みすゞ(wiki)より

金子 みすゞ(かねこ みすず、1903年明治36年)4月11日 - 1930年昭和5年)3月10日)は、大正時代末期から昭和時代初期にかけて活躍した日本童謡詩人。本名、金子 テル(かねこ テル)。

大正末期から昭和初期にかけて、26歳で死去するまでに500余編もの詩を綴ったとされる。1923年大正12年)9月に『童話』『婦人倶楽部』『婦人画報』『金の星』の4誌に一斉に詩が掲載され、西條八十からは「若き童謡詩人の中の巨星」と賞賛された。

 

金子みすゞの詩の分析

~ 表現方法から読み取る ~   大阪教育大

                         4、2 金子みすゞの詩のまとめ

 金子みずゞの詩として、大きく分けると次の3つに分類される。

  1. 新しい見方、蓄え方が書いてある(読みとれる)もの。<20%>
  2. 対象への感覚的、感情的なとらえ方が書いてある(読みとれる)もの。<50%>
  3. 景色や時間のみで趣意が明確でないもの。<30%>

 Aの詩では、主題のあり方に特徴がある。みずゞは、「小さなもの、力の弱いもの、気づかれないもの、忘れがちなもの」を話題として取り上げ、焦点を当てている。弱いもの、小さなものは、一般に見過ごされているが、みずゞは「それに気づく大切さ」を提示し、主題として結論づけている。

  • 視点は、語り手となっているものが多い。
  • 叙述上の特徴は、擬人法の多用である。
  • 構成は、当たり前だと思われる事例をあげてから、みすゞ独自の見方に進むという形になっている。
  • 見過ごしがちなものを話題とするところにみすゞの眼差しの優しさが読みとれる。読者は見通ごされているものを改めて発見し、そこに新鮮さを感じるのである。
  • 見過ごされがちなものを、擬人法によって叙述するので、読者はそれらを身近に感じる。
  • 語り手の視点から主題を主張している。

  (注:大漁は、A' ・・・新しい見方、考え方が読み取れる。(書いていない) だそうです)

 Bの詩は、大きく分けて感情を明示した詩と暗示した詩があり、共に、対象への視点人物の感情が主題となっている。

  • 叙述上の特徴は、オノマトペ・風景・動作によって、視点人物の心情を際だたせていることである。
  • 視点は、登場人物に置いていることが多い。
  • 以上の特徴から対象物を細かく観察しているみすゞの目が感じられる。また、感惰を暗示することでその感情を読者に強く印象づけている。
  • 視点人物に読者を感情移入させる叙述をしている。

 

 Cの詩は、主題を明示も暗示もせず、景色や時間の流れに沿った状況だけを表している。

  • 視点は、客観視点を用いている。
  • 叙述上の特徴は、たくさんの色を使い風景を描写している。また、オノマトペを多用している。
  • 状況だけを描写しているので、多様な解釈が生まれる。
  • 多様な色使いが場面を映像化しリアリティを出している。

 

5 おわりに

金子みすゞの写真 みすゞの詩は、主題が特徴的であるAの詩が一般によく知られているが、B・Cなどの感惰をとらえた詩、状況だけの詩もある。
 オノマトペや色使いが特徴的であり、構成にもいくつかの決まったパターンがある。Aの詩における一般的なものの見方からみすゞ独自の見方に進んでいくパターンや、Cの詩の状況の中に謎を提示しておくというパターンがそうである。また全編を通し、詩に七五調のリズム感があり、読みやすくなっている。
 描写は細かく、みずゞの繊細さが感じられる。みすゞは、普段目を向けないようなものに目を向け、人間は本来どうあるべきか、どう生きるべきかということを、論理や理屈を越え、簡潔に表現している。読者はそこから、人間のことだけを考えてしまっている自分に気づく。その傲慢さに気づく。
 一つ一つの言葉が生きたものであり、また、易しい言葉で書かれているので、深く読みとることが出来る。
 読者はみすゞの詩を読むことで、全てを尊重することの出来るみすゞの優しさを感じ、みすゞの大きな心に触れる。みすゞの詩に惹かれる所以である。


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1 コメント

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自然数 (絵本のまち有田川)
2020-01-20 06:28:12
「大漁」は、自然数の風景だ。

自然数は、[絵本][もろはのつるぎ]で・・・
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