きちんと読んでくれない
「国会では前日までに野党から質問内容が伝えられるので、官邸のスタッフがそれを総理に説明し、『御意向』を汲んで答弁書を作ります。でも、その答弁書がまともに読まれた例がないんです」
こう嘆くのは、官邸関係者の一人だ。
このところ国会では、菅義偉総理の「迷」答弁が話題になっている。
「コロナ禍で五輪開催の場合、選手と一般国民のどちらの命が優先されるのか」という趣旨の質問をされた際には、「海外の選手の動線分離を徹底して……」などとズレた答弁を何度も繰り返し、「壊れたレコード」と揶揄された。
この総理の答弁に、身内の官僚たちもほとほと手を焼いているという。
「いくら答弁を練っても読むのは最初の一部だけで、きちんと読んでくれない。『老眼で読めないのか』と思い、気を使って字を大きくしたり、読みやすいよう縦書きを横書きにしたりして工夫したのですが、すべて無駄でした」(官邸スタッフ)
総理を支える者たちの間には徒労感が漂い、ドッチラケという雰囲気が広がっているという。しかも答弁が炎上すると、周囲に当たり散らすというから厄介だ。
「各大臣がコロナ対策やワクチン接種の進捗状況を報告に来ても、1時間後には電話をかけて『あれはどうなってる!』としつこく問い詰める。
総理は『読めない』だけじゃなく、他人の話を『聞けない』状態にも陥っていて、みんな辟易しています」(前出・官邸関係者)
国民の試練の時は、まだまだ続きそうだ。
『週刊現代』2021年6月5日号より