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チェルノブイリ原発の建造物の1つで、分裂反応の継続を示す中性子の増加が続いており、このことが新たな大惨事を引き起こすおそれがある。雑誌『サイエンス』が発表した。
英国シェフィールド大学の化学者ニーラ・ハヤタ氏の情報によれば、原発の状況は「火鉢でくすぶり続ける石炭」に似ている。
1986年4月26日に大惨事が発生した時、救助隊員らは砂利を使って火災を消しとめようとした。砂利は火災の規模の大きかった4号炉区域に撒かれ、その結果、熱せられた黒鉛とウラン燃料棒がジルコニウムの殻と一緒に溶岩化し、地下建造物を埋め尽くした。専門家らの調査では、当地には170トンの放射能ウランが存在する。
大惨事から1年後、原発4号炉の上には「シェルター」として鋼鉄とコンクリートによる石棺が建てられた。しかし、石棺を通じ内部に水が浸入し、それが中性子を鈍化させ、ウランが核分裂を起こす機会を増加させている。強い雨が中性子の数の急激な増加を招いた。この欠陥を補うため、2016年に「シェルター」の上に新安全閉じ込め構造物が建設された。この構造により、「シェルター」の多くの地点で中性子数は安定または減少に転じた。しかし、現在、いくつかの地点で中性子が確認され、蓄積が始まっている。
研究者らは、この区間での分裂反応は進行が加速し、そのことが核エネルギーの制御不能な放出を引き起こすおそれがあるとの結論に至った。状況管理に責任を負う者らには、この脅威を取り除く方法を見つけ出すために数年の猶予がある。