大阪市保健所 コロナ対応職員の3分の1が残業「過労死ライン」
毎日新聞 2021/5/19 03:00(最終更新 5/19 03:00) 854文字
大阪市保健所で新型コロナウイルス対策の中心的な役割を担う職員のうち、3分の1にあたる43人の4月の時間外労働(残業)が、「過労死ライン」とされる月80時間を超えたことが18日、市への取材で分かった。うち2人は200時間を超え、最長は210時間だった。3月以降の「第4波」での感染者急増に伴い、コロナ対応の第一線の保健所業務が過大になっている実態が明らかとなった。
保健所では感染者や感染を疑う住民からの健康相談を受け付け、医療機関から届く感染者の情報を1件ずつ入力する。他にも医療機関や療養先の宿泊施設への入院・入所の調整や、クラスター(感染者集団)が発生した施設への指導など業務は多岐にわたる。
100時間超は31人
市によると、保健所でコロナ対応に専従する感染症対策課の専門グループの職員127人中43人が月80時間を超えた。このうち31人は100時間超に達していた。平均は約60時間で、専従職員が5分の1しかいなかった昨年4月と同水準となり、業務量の激増がうかがえる。
一方、感染が増え始めた3月は職員92人中14人が80時間を超え、このうち6人は100時間超。最長は131時間だった。調査対象に課長級以上や臨時の応援職員らは含まれていない。
新型コロナの感染が広がり始めた昨春は、幹部含めて約50人で対応していた。その後、徐々に態勢を強化し、今年4月下旬には約170人にまで増やした。
大阪府内では4月中旬以降、1日の新規感染者が1000人を超える日が続き、このうち約4割は大阪市民が占めた。業務逼迫(ひっぱく)を受け、市保健所は感染経路を特定する「疫学調査」の一部を簡略化するなど業務の軽減を図った。それでも追い付かず、感染が疑われる人の電話対応などは民間の派遣社員に任せている。