菅原一秀さんは菅官房長官に近い人物と言われている。どちらも秋田出身者。
菅原氏の後任には梶山弘志・元地方創生相(64)が就く。
菅原氏は25日の閣議後、国会内で記者団に対し、辞表を提出した理由について「私の問題に関して国会が停滞するということは私の本意ではない」と説明。「任期途中で経済産業大臣の職を辞することは慚愧(ざんき)に堪えないが、この点、おわびを申し上げたい」と語った。
週刊文春が選挙区内の有権者に秘書が香典を渡したと報じたことについては、「秘書が香典を出した」と認めた。その上で、翌日の葬儀には菅原氏自らが参列し、香典を出したとし、「遺族からすると二つ届いていたということで、一つ戻ってきた」などと釈明した。
首相は25日午前、官邸で記者団に対し、菅原氏からの辞表を受理したことを明らかにした。「任命責任は私にあり、こうした事態になってしまったことに対し、国民の皆さまに深くおわびを申し上げます」と謝罪した。
菅原氏は衆院東京9区選出で当選6回。自民党国会対策委員会の筆頭副委員長、財務副大臣などを経て、9月11日の内閣改造で初入閣した。無派閥だが、菅義偉官房長官に近いことでも知られる。
第2次安倍政権での閣僚の辞任は19年4月に桜田義孝五輪相以来で、9人目となる。野党側は菅原氏が出席予定だった25日の衆院経済産業委員会で疑惑を追及する構えを見せていた。
菅原氏の疑惑をめぐっては、2006~07年に菅原氏側がカニやメロン、ミカンなどを選挙区内の有権者らに贈っていたとされるリストをもとに野党側が追及していた。菅原氏の指示でリストを作成したとする元秘書の証言を音声でも公開。菅原氏は18日、閣議後の記者会見で「元秘書がどなたかわからず、その証言も見ていない。現状ではコメントできない」と述べていた。
週刊文春は23日、ウェブサイトで、10月17日に菅原氏の選挙区内の斎場で秘書が香典を受付に手渡した様子を写真とともに24日発売号で掲載すると予告した。公職選挙法は、政治家本人が葬式などに自ら出席して渡す場合を除き、香典を出すことを禁じている。自民党や官邸からは「厳しい」との声が出ていた。
朝日新聞は23日、菅原氏の事務所に、週刊文春の報道について事実関係を問い合わせる質問状を送付したが、25日午前8時現在で回答はない。
■菅原一秀氏をめぐる主な疑惑と反論
●衆院予算委員会(10日)
野党議員「有権者に金品を渡したことはないか」
菅原氏「そのようなことはございません」
●衆院予算委(11日)
野党議員「秘書の給与を寄付しろとお願いをしたら秘書給与法違反になる。そのようなことをされたことはないか」
菅原氏「秘書に対して寄付の勧誘、要求といったことはございません」
●参院予算委(15日)
野党議員「(菅原氏の指示で元秘書がつくったとされる贈答品と贈り先のリストについて)確認はできたか」
菅原氏「資料そのものはない。従ってリスト作成を命じたこともない」
野党議員「有権者にメロンやカニを配ったのか」
菅原氏「いま確認している。金品と言えば、通常は現金とかそういったものかなと思って、それはありませんと答えた」
●閣議後会見(18日)
(菅原氏の指示で贈答品と贈り先のリストをつくったとする元秘書の証言音声を野党議員が公開したことを受け)「元秘書がどなたかわからず、その証言も見ていない。現状ではコメントできない。(リストは)事務所を探したが、全く見当たらない。データもない」
【報ステ】菅原経済産業大臣に“香典疑惑”浮上(19/10/24)
菅原経済産業大臣の公設秘書が先週、東京都練馬区で行われた地元有権者の通夜で、2万円が入った香典袋を渡したほか、喪主の自宅に花を送ったなどと、24日発売の『週刊文春』が報じた。公職選挙法では、地元有権者に香典を渡すことは、政治家本人が渡す場合を除いて、原則、寄付行為にあたるとして禁じられている。
菅原大臣には、2006年と2007年に、地元有権者にメロンなどの贈答品を配ったという別の疑惑もあり、国会での追及が続いていた。菅原大臣は調査中だとしていて、疑惑は解消されていない。今回の週刊誌報道について、記者から説明を求められた菅原大臣は「あす国会で、きちっと説明する」と述べた。25日は、菅原大臣出席のもと、衆議院経済産業委員会が行われる予定となっている。
菅原大臣「法案を審議できないのは本意ではない」(19/10/25)
安倍総理「任命責任は私に」 菅原大臣が辞表提出(19/10/25)
菅原一秀経産相が辞表を首相に提出「おわびを申し上げたい」(19/10/25)
一部週刊誌に、秘書が選挙区内の有権者の葬儀に香典を渡したと報じられ、25日午前に安倍首相に辞表を提出した菅原一秀経産相が取材に応じた