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秋篠宮家の評判に関係なく「愛子天皇」を真剣に議論すべきである 『河西秀哉』 2019/05/01 IRONNA

2019年06月24日 08時32分24秒 | 時事問題(日本)

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愛子さまが天皇になる日

「令和」が幕を開けた。列島は祝福ムード一色だが、新時代の皇室が抱える不安も少なからずある。平成の終わりに週刊誌上をにぎわせた「愛子天皇」待望論はその最たるものであろう。秋篠宮家を取り巻く最近の風評が多分に影響しているとはいえ、令和の次の時代に愛子天皇が誕生する日は本当に訪れるのか

 

秋篠宮家の評判に関係なく「愛子天皇」を真剣に議論すべきである

『河西秀哉』    2019/05/01   IRONNA

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河西秀哉(名古屋大准教授)
 
① 愛子内親王が今後、天皇になるような方向性へ皇室典範を改正すべきではないか。
 
 そもそも、日本には女性天皇が8人10代いた。現在のように、男性しか天皇になれないという規定は、明治時代に決められたものである。
 
 明治の日本は、江戸期の「鎖国」によって、自らは欧州よりも遅れていると認識していた。欧州の植民地にならないため、そしてそれらに追いついて国際関係で肩を並べるため、国民を統一し、より強く国家をまとめ上げる必要があった。
 
 そのための方策として、明治政府は国民に家制度を定着させようとする。それは家長である戸主を中心にした集合体で、戸主の統率によって家のまとまりを強固にし、それを国家のまとまりにつなげようとした。
 
 そうした制度は、江戸時代の武士の家父長制的な伝統を引き継いでおり、基本的に戸主は男性とされる。こうして、明治期に制定された民法の中で、絶対的な権限を持つ戸主が規定され、家制度が出来上がった。
 
 国民には、男性が家長であると言っているわけだから、国のトップが女性だと示しがつかなくなる。そこで、1889年に制定された旧皇室典範において、天皇を男性に限定した。
2017年4月、「オール学習院の集い」の大合同演奏会に出演した愛子さま2017年4月、「オール学習院の集い」の 大合同演奏会に出演した愛子さま
 その他にも、男性優位は日本の固有の慣習、女性が天皇になれば夫に政治関与される、歴史上の女性天皇は「中継ぎ」であったので例外、などの理由を説明している。
 
 この男系男子に天皇を限定する仕組みは、家制度が崩壊した敗戦後に変化させるべきであった。日本国憲法では第14条で「すべて国民は、法の下に平等であつて、人種、信条、性別、社会的身分又は門地により、政治的、経済的又は社会的関係において、差別されない」とあり、女性が天皇になれないことはそれに反する可能性があるからである。
 
 明治期の「男性優位は日本の固有の慣習である」という説明が正しいかどうかは別として、そうした陋習(ろうしゅう)はここで断ち切られたはずであった。ただし当時は、民法が改正され家制度がなくなったとはいえ、その慣習が社会にまだ残っていた。

そして、男性皇族もまだ多く、切迫した状況ではなかったかもしれない。そのため、女性天皇は考慮されず、旧皇室典範が廃止され、法律として新たに制定されたものの、明治期に形成された制度がそのまま継続した。

 
 現在の日本社会は、国連の女子差別撤廃条約の批准、いわゆる男女雇用機会均等法の制定と改正などが行われ、敗戦直後以上に性別による差をなくす方向性に進んでいる。社会が、男女が平等になるようにさまざまな努力がなされている中で、なぜ天皇だけが男性に限定されるのだろうか。女性が天皇になれば夫に政治関与されるという明治期になされた説明も、天皇が政治に関わることがなくなった象徴天皇制においては意味をなさない。
 
 そもそも、なぜ男性天皇は妻に政治関与されないという前提があるのだろうか。それこそ、女性ならば人の意見に左右されやすいという、女性への差別的な考え方が根本にあるのであり、現在では相いれない思考だろう。
 
 歴史上の女性天皇は「中継ぎ」であったという説明も、現在の日本古代史の研究によって、それは否定されている。その時期の皇族の中で政治的に優れた年長の女性が天皇に即位しており、ならば現在でも人物的に優れた人物であれば男性でも女性でも関係なく天皇に即位することが、「伝統」的な考え方に合致しているのではないか。
 
 むしろ、現在の象徴天皇制は、その人物がいかなる考えを持ち、行動をするかがマスメディアを通じて伝えられ、それによって人々から支持されている。「平成流」への評価はその最たるものだろう。性別に関係なく「人物本位」というのは、現在の流れとも合致する。
 
 ここ最近、週刊誌やインターネット上で、「愛子天皇」待望論が出ている。しかしこれは、これまで述べてきた理由で提起されたものではない。従来、秋篠宮家の世間の評判は高かった。病気を抱える雅子皇后が皇太子妃時代、公務をこなす量が少ないことから、批判が出て、相対的に秋篠宮家への評価は高くなっていた。
 
 しかし、この状況が変化するのが、眞子内親王と小室圭さんの問題である。小室さんの実家の金銭問題が浮上、それへの適切な説明がないと見られ、批判が噴出している。
 
 妹の佳子内親王が国際基督教大(ICU)卒業に際して発表した文書の中で、自らの意思を強く示し、「姉の一個人としての希望がかなう形になってほしいと思っています」と姉を擁護したことも、批判が高まる要因となった。これらから、秋篠宮家に対する評価が下がり、今度は逆に相対的に皇太子一家への評価が上がり、「愛子天皇」待望論へと向かっているのである。
2019年3月、「千葉県少年少女オーケストラ」の東京公演を鑑賞するため、会場に到着された秋篠宮家の長女眞子さまと次女佳子さま(代表撮影)2019年3月、「千葉県少年少女オーケストラ」の東京公演を鑑賞するため、会場に到着された秋篠宮家の長女眞子さまと次女佳子さま(代表撮影)
 これは、いい意味での女性天皇誕生ではない。秋篠宮家の評判が落ちているから、またその評判をより落とすために、たまたま女性である愛子内親王を天皇にしようとする動きが出ているに過ぎない。
 
 求められているのはそうした動きではなく、現在の社会に合致した象徴天皇制のあり方である。国民の生活と遊離したもの、世間の風に影響されすぎるものではない。愛子内親王が天皇になることは、皇室典範を改正し、今後も女性天皇・女系天皇を安定的に認めていく制度にすることである。
 
 
 

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