くもり空の下で……

アルコールとギャンブル。依存症からの回復と成長を目指しながらの日々の雑感を発信。趣味の渓流釣りなども公開しています。

アル中

2021-06-07 18:28:53 | 日記
『あなたは、アルコール依存症です。』


そう医師に告げられてから今年で5年と数ヵ月。

医師にそう告げられてから、彼は断酒の日々を3年と8ヶ月、淡々と続けてきた。
当時(5年前)、生活保護を受けていた彼は一念発起し、就職活動をして社会復帰を成し遂げた。
生活保護では車を廃車する以外なかった。。。
だが就職し、給料を少しずつ貯めて、車も再び購入する事ができた。
彼の生活も軌道に乗ってきた。



しかしある日、浜辺でふとした妄想が脳裏に浮かび上がってくる。





『もう、オレ、人並みに飲めるんじゃね?』


妄想はどんどんと膨れ上がり、暴発。
一度の、
たった一度の冒険が、翌日にはとてつもない後悔を生んだ。



再び彼は断酒を決意し、AAへと通い始めた。

だが、その一度きりの過ちは、彼の今ままでの自信、断酒への自身のプライド。仲間、友人、そして家族に対しての信用を一気に打ち砕いた。




彼は再び、1年あまり酒に浸る生活へと戻ってしまう。
日常の生活は、ほぼ普通の人たちと同じように振る舞えるものの、毎晩の飲酒は彼の身体を徐々に、確実に蝕んでいった。






ある日、
彼は再び断酒を決意する。

遠ざかっていたAA。そこへ足を踏み入れるには彼なりの勇気が必要だった。
再びAAを訪ねてきてくれた彼を、仲間たちは温かく迎え入れてくれた。
彼は安堵し、仲間たちに再び断酒を誓いたい!という意思を話した。
仲間たちは喜んでくれた。


◆◆◆◆◆




それから4日が経過した土曜日。
休日だった彼は、趣味である釣りに出掛けた。
しかし、自分が想い描いていたような釣果には恵まれず、悶々とした午後を過ごしていた。


『くっそー。
帰ってビールでも飲むか!!』



もちろん、
彼はこの前、ほんの数日前に仲間たちと交わした約束を忘れた訳ではなかった。


しかし、
その1時間後…………
帰宅した彼は、グラスに並々とビールを注いでいた。





『なぜだ!!??』




「再び、仲間たちに断酒の誓いを立てたはずの彼が。
今まで、3年以上もの間、断ち切ってこれたはずの酒を。何故そこまでして彼には酒が必要だったのだ!?」








「アルチュウだからさ。」



…………。