くもり空の下で……

アルコールとギャンブル。依存症からの回復と成長を目指しながらの日々の雑感を発信。趣味の渓流釣りなども公開しています。

ARP復習⑤

2017-05-26 14:42:34 | 日記
第5章 アルコール依存症から回復するために (1)

前章では、アルコール依存症の経過と転帰をみてきました。アルコール依存症はコントロール障害であり、脳の学習作用の結果として節酒をしていくことは困難であり、飲酒を続けると生命への危険が高くなってしまいます。
アルコールの無い生活が普通になるためには、1~2年の断酒期間が必要であり、その1~2年をどのように過ごしていけばよいのでしょうか? この章では、断酒の効果があると知られている3本柱という方法をみていきたいと思います。

(第5章は一部と二部に分けて掲載いたします)


1】断酒の3本柱
1本目の柱: 自助グループへの参加

自助グループとは、医療機関におけるプログラムとは違い、当事者であるアルコール依存症者同士が、お互いにアルコール依存症という病気について語り合い、問題を解決していく場です。アルコール依存症の自助グループには断酒会AAという2つの組織があります。

①AA(アルコホーリクス・アノニマス)とは?
・直訳すると「無名のアルコール依存症者たち」。その名のとおり、お互いにプライバシーを守り、メンバー全員が平等であるために、本名、住居、職業などを明らかにしなくても、アルコール依存症者であれば誰でも参加できる。自分がアルコールを止め、他の依存症者の断酒を手助けすることを目的としている。
・アルコール依存症の回復のために、「ミーティング」や「12ステップ」を活用する。自分のプライバシーをどこまで明かすのかは本人の自由。メンバーになるために必要なことは、飲酒を止めたいという願望だけ。AAは会員制ではなく、入会手続きや会費もない。サービスを行うための機関はあるが、AAそのものは決して組織化されることはない。そのための名簿などはなく、追跡調査も行われないため、正確なメンバー数を知ることはできない。(現在、世界160弱の国と地域で220万人、日本では5000人のメンバーが飲まないでいると推定される)
・ミーティングは約1時間~1時間半。司会者の進行に従って、ひとりひとり自分が「過去いつもどんなふうだったか、そして何が起こり、いまどうなっているのか」について話をする。それに対してコメントされることはなく、話の内容が外部に漏れることがないように配慮されている。ミーティングの少ない地域はまだあるものの、すべての都道府県で活動している。家族や友人、医療関係者なども参加できるオープンミーティングと、飲酒を止めたい本人しか参加できないクローズドミーティングがある。

②断酒会とは?
・戦後、AAの活動を学び、日本人向けに工夫された回復方法を持つ自助グループ。
アルコール依存症者同士が集まり、共通の酒害問題を語り合う。依存症者本人だけではなく、配偶者をはじめ家族の出席が奨励される。家族の出席により、協力して断酒していくことを特徴にしているが、単独参加でもかまわない。独身者のためのシングルの集い、女性だけの集い(アメシストの会)、家族だけの家族会もある。会費制をとり、会員は氏名を明かし、会長ほか運営責任者を置き、運営資金は小額だが会費でまかなう、寄付、助成金も受ける。直ぐに会員にならなければならないわけではない。飲酒に関する悩みの相談や、医療・援助機関の案内もする。
・例会と呼ばれる会合があり、会は約2時間。進行は場所によって違うが、「断酒の誓い」「心の誓い」などを唱和したあと、司会者に従って、依存症者と家族が、それぞれ飲酒に関する話をしていく。日本全国に5万人以上の会員がいる。

○ 自助グループ参加の効果
・1935年以前は、アメリカでも日本でもアルコール依存症は長い間「治らない病気・回復しない病気」と言われてきた。しかし、1935年、アメリカで回復不能と言われていた二人の依存症者が出会い、お互いに飲酒問題を語り合ううちに、断酒継続に成功したことからAAが始まった。日本でも、AAに加えて全日本断酒連盟の誕生以来、全国的に断酒成功者が増えていき、それとともにアルコール依存症から回復する人の数も増加し始めた。




2本目の柱: 抗酒剤
・ 抗酒剤は、肝臓内のアルコール分解課程で作られるアセトアルデヒドという毒性の強い物質を、無害な酢酸に分解する課程を阻害する作用がある。そのため抗酒剤を服用していると飲酒しても気分よく酔えず、アセトアルデヒドが体内に残るため悪酔い状態が長期間続く

・ 2種類の抗酒剤
①シアナマイド: 水薬、即効性があり、一日一回、24時間以上持続する。副作用は、かゆみのある発疹や薬疹、肝障害ですが、発生頻度は高くない。
②ノックビン: 粉薬、効き始めるまでに数時間かかるが、薬の効き目が長く、約1週間続く。副作用はほとんどないが、神経炎や睡眠障害、精神症状がみられることもある。
※抗酒剤は断酒継続の強力な援軍。副作用が出ても自己判断で服用を中止せず、主治医と必ず相談する。

・ 「本当に飲めなくなるのだろうか?」と抗酒剤服用中に飲酒して、自身の体で人体実験をすることは絶対にやめて下さい。かなり危険であり、場合によっては救急車で運ばれることもある。
(因みに私は抗酒剤は飲んではおりません。主治医の先生からも処方されてはおりません。)




3本目の柱: 治療の継続
・抗酒剤の処方を続けられる

・断酒を開始した後に起こりやすい、不眠、うつ症状にも対応できる

・自分自身の状態のチェック(様々な身体疾患など)、飲酒防止




4本目の柱: 断酒宣言
最近は3本柱に加え、4本目の柱として断酒宣言の効果が言われています。せっかく自分がアルコール問題を考え、専門治療を受け、アルコールの無い生活を始めたとしても、社会復帰をしたり、これまでの人間関係のなかに戻ったりすると、再飲酒の危険性は高まります。
・ 職場での付き合い、仲間からのお誘い、友達や親戚との付き合いなど、病気になったことは告げてあっても、今後はたとえ一杯でも飲んでは危険な病気であることを伝えておかないと 「一杯ぐらいならいいだろう」 「すっかり元気そうだし、そろそろ少しずつ飲み始めてもいいのでは?」 と周囲から飲まされてしまいがち。 自分はたとえ一杯でも飲んでは危険なのだと周囲にしっかりと「断酒宣言」することが効果的。



○ 断酒の3本柱+断酒宣言のひとつひとつは、シンプルでそれほど難しいものではない。これらを継続していく、柱を1本でも多く立てることで回復の可能性は高くなる。
○ 問題解決のために : 何事にもコツがある。情報を集めて、正しい攻略法を得て、実行し、継続していく。





【追記】

「そんなこと言われるまでもなく知っとるわー!」

…………と思われているそこのアナタ。

もう十分に知識のあるアルコール依存症の人たちには、釈迦に説法かもしれませんが、それをいかに継続していくかが、私も含めてカギになるかと思っております。

そして今現在、アルコール依存症、またはその他の依存症に悩んでいて、あまり知識や情報のない方々には、このブログが少しでもお役にたてれば幸いです。