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音楽大好き男の徒然なる日記

終戦の日に考える もっと、耳を澄ませて(東京新聞社説)&小西ひろゆきさんの宣誓

2023-08-16 | 日記
東京新聞 2023年8月15日付社説
「終戦の日に考える もっと、耳を澄ませて」
 https://www.tokyo-np.co.jp/article/270219?rct=editorial

 

道端であおむけになっているセミをみつけ、
何かでつついたら、急にジジジなどと音を発して飛び立ち、
ちょっと肝をつぶした――。
そんな経験、ありませんか。
 
いまわの際に力を振り絞ってとる本能的行動のようですが、
最近は、こう呼ばれているそうです。
「セミファイナル」。
いささか不謹慎ながら、ファイナルかと思えば、
その一歩前ということで「瀕死(ひんし)のセミ」と「準決勝」の地口になっているようです。
 閑話休題――。

蟬声(せんせい)の発生源は、オスだけが持つ発音器官だとか。
故に、外国の人に多いらしい「騒音」扱いも分からぬではありませんが、
わが国では、そも「音」よりは「声」と聞き、
夏の風物詩として古くから詩歌の題材にもなっています。

確かに、ただ聞けば音の洪水。
でも、じっと耳を澄ませていると、何種ものセミが時に鳴き方を、
テンポを変え、強弱もつけて…。
何か懸命に言おうとしている「声」に聞こえてきます。


◆「日本必敗」という予測
1945(昭和20)年の8月15日、
列島の大半は晴れで、やはり、セミの声がうるさいほどだったといいます。

<玉音のあの日も今日も蟬(せみ)しぐれ> 高村寿山。
国民は、78年前の今日、
初めて長かった戦争が敗北で終わったことを知らされたのでした。
 
もっとも、1941(昭和16)年夏には
既に敗戦は事実上、定まっていた、という見方もあります。

 
その年の4月、政府は「内閣総力戦研究所」を本格始動します。
猪瀬直樹著『昭和16年夏の敗戦』によれば、
招集されたのは、いずれも30代の官僚や軍人、民間人ら30余人。
よりすぐりのエリート集団が取り組んだのは
「もし日米戦わば」の研究。
出身組織のデータなどを用いて分析したのです。
 
メンバーで「模擬内閣」をつくり、シミュレーションを行って出した結論は……
実に「日本必敗」でした。
緒戦は勝てるとしても、物量において米英に劣る日本に勝機なし。
最終的にはソ連も参戦し、日本は敗れる。
ゆえに、何としても日米開戦は避けるべき――。


しかし、時の権力機構は耳を貸さなかった。
東条英機陸相は
「戦は計画通りにいかない。君たちの考えは、意外裡(り)の要素が考慮されていない」
と評したといいます。
開戦反対の声は本物の内閣の中にもありましたが、主戦論優勢は動かず、
「必敗」予測の3カ月余り後の12月8日、日米開戦。
以後の展開が、おおむね、そのシミュレーション通りに進んだことは
歴史が教える通りです。



◆「聞く力」があったなら
連想したのは、岸田文雄首相のキャッチフレーズとも言うべき、
「聞く力」という言葉です。
 
自説と異なる主張や、「空気」に阿(おもね)らぬ意見にもしっかりと耳を傾け、
少数者の切実な声にも耳を澄まして、判断に生かす。
それが「聞く力」でしょう。


権力者には必須の大事な力でしょうが、
「敵基地攻撃能力」の保有や、国内総生産(GDP)比2%という
「異次元」の防衛費増額へとひた走る首相のそれは、どうも怪しい。
 
バイデン米大統領が「(日本の防衛力増強方針は)自分が日本の首相を説得したからだ」
と発言した時には、啞然(あぜん)としました。
まさか米国相手に「聞く力」を発揮したのか、と。
日本政府の申し入れを受け、大統領は「説得するまでもなく方針は決まっていた」と後で修正しましたが、
首相の「聞く力」への不信は拭えません。
 
ロシアの蛮行の影響も大きいのでしょう。
各種世論調査を瞥見(べっけん)すれば、
単に「防衛力増強」への考えを聞いた場合の賛否は割れているようです。

でも、ことは国是たる平和主義を揺るがす大事。
仮に過半が支持でも「否」の声を聞かなくてよいわけはない。
むしろ、異論に耳を傾けてこその「聞く力」です。
しかし、そもそも首相方針である「増税による防衛力増強」についてとなれば、
大半(5月の共同通信調査では80%)が不支持なのです。



◆「間違った道」を行くな
前掲句の作者高村寿山さん(88)は9歳の時、故郷の名古屋市を離れ、
翌年、疎開先の富山県で終戦を迎えました。
名古屋の家は空襲で焼けたそうです。

「戦争には本当に苦労させられた。
平和憲法ができた時、どれだけうれしかったか。
今の政治、空気は、間違った道に入っているとしか思えない」
――戦争体験者が感じている、こうした不安にも耳を貸すべきです。

 
お盆は、墓参などを通じ、
生者が既に身罷(みまか)った人たちの声に耳を傾ける機会でもあります。

あの戦争の犠牲者は日本人だけで310万人。
泉下からの声はこう言ってはいないでしょうか。
「戦争には近づくな」。

もっと、もっと耳を澄ませて、
首相にはぜひ、その声を聞きとってほしいのです。


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「78年目の終戦の日。

 国会議員になってから
 「なぜ、米国相手の無謀な開戦を行い、
 敗戦が決定的になってからも玉砕や特攻などの悲惨な戦闘と自決や空襲などの惨禍を国民に強い続け、
 原爆投下とソ連参戦という究極の事態まで戦争を止められなかったのか」について、
 史実などに当たり考え続けてきました。

 私なりの答えは、
 いつの時代も政治家や軍人といった権力者の圧倒的多数は
 国民の生死や尊厳の保持について他人ごと、
 すなわち、残念ながらその本心において無関心か、
 関心があってもその生死を背負って行動するだけの信念や決意はなく、
 また、そうした政治家らの軍事的政策方針は
 極めて無責任、かつ不合理で
 国民にとって残酷であるというものです。

 だからこそ、どんなに愚かな内閣総理大臣や国会多数派が現れようと
 二度と彼らに戦争を起こさせず
 国民を徹底して守り抜くために日本国憲法が制定されたのです。


 すなわち、憲法前文に
 「日本国民は、われらとわれらの子孫のために、
 政府の行為によって再び戦争の惨禍が起ることのないようにすることを決意し、
 ここに主権が国民に存することを宣言し、この憲法を確定する。」と宣言し、
 これら前文の平和主義の法的結晶として、
 武力の威嚇と限定された個別的自衛権行為以外の一切の武力行使を放棄する
 憲法9条が制定されているのです。

 ところが、第二次安倍政権は、
 この前文の平和主義と9条を法解釈ですらない不正行為によって破壊(破棄)し、
 以後、日本は戦前と同様に一部の権力者の手によって戦争が可能な国に変えられています。

 現に、2017年から2018年の米朝危機の際には
 日本は米国のために北朝鮮と戦争を行う検討をしていたことが
 河野統合幕僚長の証言や私の質問に対する岸防衛大臣の答弁によって明らかになっています。


 当時、
 北朝鮮に核ミサイル開発の放棄を武力の威嚇で迫るために
 トランプ大統領が派遣した攻撃型空母や戦略爆撃機に対して、
 航空自衛隊と海上自衛隊が30回以上にわたる共同訓練を繰り広げ、
 結果、戦後初めて北朝鮮から日本は武力攻撃(核攻撃を含む)の対象と宣言され、
 しかもその状況で米軍が北朝鮮に軍事行動を取った場合には
 安保法制の集団的自衛権を発動することを
 官邸・防衛省自衛隊で極秘で検討していたのです。

 しかし、当時、こうした日米の共同訓練が
 却って日本に戦争の危険を生じさせるリスクを問う私の質問に対して
 河野防衛大臣は「この共同訓練はどこかの国を想定しているものではない」
 との空前の虚偽答弁を外交防衛委員会で行いました。


 同じ国会内の予算委員会や本会議では、
 安倍総理が「日米の共同訓練の実施などあらゆる手段で北朝鮮に最大限の圧力を掛ける」と
 繰り返し答弁していたにも関わらずです。

 こうした政府の国民や国会を愚弄し欺く姿勢は、
 反撃能力の保持と防衛費倍増を決めた安保三文書の改定でも同様でした。

 私の外交防衛委員会の追及まで政府は
 「反撃能力や防衛費倍増はどこかの国や地域を想定したものではない」
 という答弁を繰り返していたのです。
 こうした政府の姿勢が先日の麻生副大臣の
 「中国との戦争の覚悟」発言と全く矛盾することは明きらかです。

 なお、政府は、私の質問で初めて
 反撃能力の対象として中国などの名前を出しましたが、
 それも文理上は正面から認めるものではありませんでした。
 そして、反撃能力の憲法適合性も
 政策的な必要性・合理性たる立法事実も
 国会では徹底した答弁拒否を繰り広げているのです。

 憲法規範が法解釈ですらない不正行為で破壊され、
 国防政策の立法事実の説明が徹底拒否される政治の行き着く先は
 必ずかつての過ちである戦争に至ることになります。


 現に、安倍、菅、岸田政権と進むにつれて、
 維新や国民民主(玉木代表ら)という、
 戦前の反省も民主制や法の支配・立憲主義のかけがないのない価値も
 全く理解しない自公政権の補完勢力が跋扈し、
 安倍政権以降の軍事路線を支持し、
 平和憲法(前文平和主義と9条)の破壊を前提とした
 自衛隊明記などの改憲を唱えるに至っています。

 78年目の終戦日に、
 全ての戦争犠牲者の方々のために、
 また、戦後に平和国家を守るために尽くしてきた方々のために、
 そして今と将来を生きる国民の皆さんのために、
 安倍政権以降の誤った政治勢力を打破し、
 また、それを擁護しあるいは忖度する
 誤ったマスメディアや有識者などに戦前の反省を基に正しい使命感と良心を持って頂くことなどによって、
 日本に民主主義・法の支配と平和主義を回復し、
 実務の力で国民の幸せと国家の安全を保障する政治を実現するために
 全力を尽くすことをお誓いいたします。」

  小西ひろゆき さん(参議院議員)のツイートより。

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