昨年11月に家人と二泊三日で山陰を旅した。今頃になってのエントりーは思い出を記録として残しておきたい、と思ったから。
遠出は一昨年秋の湯布院以来。
新百合ヶ丘駅から羽田直通バスで、第三京浜、湾岸・羽田線で70分。
湯布院の時は、品川で前泊したが、今回は無し。経費の節約です。
第一ターミナルで朝食のおにぎり。伊勢丹ショップのカフェで珈琲。
出雲大社は晴天下。明るく伸びやか。
先ずは腹ごしらえ。門前の売店街で、空いてる蕎麦屋へ。
今回のホシの一つは大社隣接の県立古代出雲歴史博物館。
聞きしに勝る展示に圧倒される。広く、沢山、綺麗に、丁寧に、分り易く。
時間が足りない。
全てが全てご当地の採集ではなかろうが、それにしても見事。
心底、「日本て凄い」と思い始めた自分が居た。くまなく鑑賞すれば数日はかかるだろう。
ルーブルに匹敵する。ちょっと大袈裟か。
我が邦人は、一人でも多く観るべきだ。日本人としての矜持と生きることの意味を思う。
庭には、沢山の可愛いらしいウサギが点在。神話の世界を童話のアイテムで希釈。イメージが明るく温かくなる。
門前町の一角に一畑電車の発着駅。ここから宍道湖の北側を各駅停車で宍道湖駅までトコトコ。
数種類のカラフルな車輛。スイッチバックあり、自動車道路との並走あり、高校生グループ、外国人観光客ありで、楽しいトリップ。
しかしまあ揺れの激しいこと。以前に津山行の際にも触れたが、日本の電車が滑らかなのは東阪名福の大都市周辺だけ。
この日宿舎のホテル一畑。
半年前、湖の眺望できる部屋を予約。最後の一部屋だった。到着した部屋には、彼の地の友人から思いがけずに差し入れが届いていたのには驚いた。感謝感謝です。
流石の景観。生憎の雨模様で湖上遊覧はあきらめたが、刻々変わる夕暮れ時の変化は頭・身体を癒すに十分の余りある美しさ。
夜の食事はホテル内のレストラン。広い食事処でゆったり。
三酒の利き酒で知った”不昧公”は美味しかった。都会には殆ど出回らない。帰京してから通販でいまでも切らさない。客人に喜ばれている。
お目当ての二つ目は足立美術館。
名代の庭園に出ることは叶わないものの、言い古された日本の原点とも言うべき景色が心行くまで堪能できる。
とは行かなかった。順路は観光客で一杯だもの。
見物を終え、呼んだタクシーを待つ間に安来節の郷土館でランチ。戴いたのは勿論どじょう鍋。
タクシーで安来駅に向かう途次、車内で運転手より、この後の観光の予定を聞かれたのをきっかけに交渉事に発展。
松江城、お堀遊覧、小泉八雲記念館そして二日目の宿の玉造温泉へ、全部載せて行くと彼。果して8000円は安かったのか高かったのか。
バッグの上げ下ろしや乗り換え無し、しかも様々な観光案内風の話を聞けたのは大いなる収穫になった。
時間があれば、木船で堀を遊覧したかったなあ。 賑やかで静かな周りの風景に溶け込んでえも言われえぬ佇まい。
小泉八雲記念館。
異国の人が、日本を選び住み、日本人となり、日本文化を愛し、自らも発信し、歴史になり、愛される。
その生涯と功績に暫し思いを致す。
美しい松江城。近年国宝となってさらに威容は増す。
二日目の宿は玉造温泉。
島根県立美術館は、宍道湖の畔。ロケーションが抜群、明るく開放的。収蔵作品が豊か。企画展はユニーク。
ランチは同館内のレストランで。行列でひとしきり待つ。一番人気のパスタを戴く。なるほど美味。
帰宅途次、直バスが着いた新百合ヶ丘は《映画祭》のただ中だった。
10月初旬、宍道湖を中心に旅し、一夜湖畔のホテル一畑に宿をとった。
夕食はホテル内のレストラン「カメーリア」。
生ビールの次に選んだのはお酒三種。利き酒スタイルで、味のバラエティを楽しむというよくある趣向のメニュー。
”不昧”とは、松江藩七代藩主「松平治郷」の号。これは、藩主が「伊佐幸琢」に師事して茶道の奥義を極め、無門関の「不落不昧」の語から取って号したというもの。
松平家の土蔵を仕込み蔵として譲り受けた国暉酒造の出雲杜氏がじっくりと低温で醸し上げている、説明書にある。
三種のうちでは、もっともまったり感があった。帰京して早速買い求める。この日の食卓は、 おでん、豚の角煮、野菜煮っ転がし、秋刀魚。
原材料・成分
アルコール度 : 15.5度 日本酒度 : +4.0 原料米 : 山田錦
国暉 | |
容器の種類 | 720ml 瓶 |
原産国名 | 日本 |
原材料・成分 | アルコール度 : 15.5度 日本酒度 : +4.0 原料米 : 山田錦 |
内容量 | 1 |
メーカー名 | 國暉酒造有限会社 |
産地 | 中国 |
県名 | 島根県 |
味わい | 辛口 |
1年ぶりの松江。今回は出雲空港を利用する。
地方空港行きは、羽田の搭乗口がバスになることが多い。よって、機側からのタラップ乗機になる。これは嬉しい。急いでカメラを出すが、いつも他の乗機客に押されて間に合わない。チクショー‼
フライト日和の上天気。南アルプスが一望。
出雲空港からは、松江駅までバス。
夕食は、地元の同僚お薦めの「さんいんSAKABA」。最近人気の郷土料理。
ホテルは「一畑」。宍道湖沿いの一級の観光ホテル。周辺のビジネス・ホテルはどこも予約が取れず、地元の伝手を得て、逆に取りにくいホテルが取れてしまった。仕事で使って罰が当りはしないかと、一瞬気になった。
夕暮れ時も旭日の昇る景色も、実に素晴らしい。今時風に言えば、『癒される』となろうか。誰もが絵葉書の写真が撮れてしまうのだ。
今回、時間が取れて島根県立美術館と出雲大社に行くことが出来た。どちらも収穫大。
美術館は、開館時刻に訪れたのだが、地元の美術大学の学生たちが、研修なのか授業なのか賑やかにかつ静かに集まっていた。こうした公共施設で歴史的な作品に不断に接することができる環境は、都会では難しいのではないか。
ウィーク・デイのため出雲大社の人出は疎ら。お陰で境内をゆっくり見物できたのは良かった。一昨年秋、伊勢神宮の時とは大違い。此処の大鳥居をくぐった先のお蕎麦屋さんの娘さんが、私の友人の奥さんと以前に聞いたことがあったが、判らず仕舞いになってしまった。
なにはともあれ、腹が減っては戦にならぬ。取り敢えず、出雲そばをかっ込む。
帰りの搭乗予定機は、整備による機材の延着のため、1時間以上の遅れとなる、トホホ。
松江は、終の棲家の候補地の一つ。町の佇まいがいい。人情が細やか。魚が美味い。「寒いからやめろ」と反対の友人はいる。夫婦二人、晩年を何処で過ごすか。
まだ時間はある。生まれ育った湘南に戻るか。原発後遺症に悩む福島に活性の意思を持って住むか。日本一の高度医療の天地岡山か。信州の森と湖の中で晴耕雨読か。暫し気ままに考えよう。
松江に行くことになった。羽田空港で待つこと1時間。その間、着陸滑走路を眺める。
JR並みに約2分間隔で航空機が次々到着しているのには驚いた。
点灯した飛行機が、滑走路の上空に一直線上に並んで、順番を待ち次々に降下してくる。
管制官のストレスたるや大変なものだろう、と勝手に気遣ったりして。
到着は出雲縁結び空港、そこから路線バスで松江駅へ。所要時間約30分。
松江の駅前はなかなかにお洒落で清潔。ウィークデーの昼間は、日本全国どこでも、県庁所在地ですらスカスカ。
時計の下では、若者二人が、ラジカセを傍らに置きダンスの練習中。
ちょっと乗ってみたくなる路線バス。
ホテルはルートイン松江。快適というわけにはいかなかった。というより酷かったと言うべきか。ライティング・デスクの下、冷蔵庫の後ろの蛸足配線のソケットがはずれ、通電しないのには参った。勿論自力で挿入し何とか復旧したが。
ベッドもおかしい。普通は逆。窓の反対側に頭が来るはず。この経験は初めて。何かの都合で部屋のリフォームをしたことは想像に難く無い。
しかしながら、翌朝、食事前に歩いた周辺の景観と風情は実に素晴らしいものだった。
新大橋から中海を望む。
ホテルのすぐ裏。路地というには正々堂々過ぎるが、火灯し頃にはさぞや賑やかになることだろう。絶滅危惧種の日本の風景といえる。
時間を貰って、国宝の松江城に足を伸ばす。素晴らしい。1時間とは実に残念。周辺施設の小泉八雲記念館と武家屋敷は横目で前を通るありさま。
( ↑ 絵葉書ではありません)
復路の広島空港。出発便が整備中で再三遅れるアナウンス。で結局最後は欠航となる。
乗客のほとんどのビジネスマンたちは、ガイドに従って次便振替手続きに回る。そこでお詫びに戴いたのが空港内しか使えないANAの飲食券。
売店のおばさんに聞いたら、「何を買ってもいい」という。そこで朝刊の広告でみた『文春』七月号。
『戦後七十年を動かした「政治家の名言」』特集。880円。得をした感。
松江に住む友と、一夜懐旧談に弾んだ。
別れ際に頂戴したのが地元の銘菓『柚衣』。創業141年の彩雲堂謹製。
天然の小振りの柚子をくり抜き、蜜漬けした皮の中に「朝汐餡(皮むき小豆餡)」と「鹿の子」を入れた和菓子。
出雲地方では昔から、柚子の皮を小さく刻み砂糖などで煮詰めた「柚香(ゆこう)」を、お茶受けやお酒の口取りなど季節の珍味としてきた。
その伝統の風味をそのまま生かしているという。
で、スイーツというにはあまりに酸っぱい。柚子そのもの。
松江は、現在全仏オープンで快進撃中の錦織選手の出身地。彼の健闘を祈って発売しているのが無二と名付けた和菓子。
頬がほころんでくる。
彩雲堂。
先々週と先週、2週に2回、山口・米子・松江を訪れる。本年最後の出張。
往路も復路もANA機は、結構揺れた。この気味悪さには慣れるということはなかろう。
山口駅で「やまぐち号」に遭遇。昔のチョコレート色の客車とは嬉しかった。
米子行の際には境港に足を延ばし、水木しげる記念館に。
商店会とひとつになった町興しは、必ずしも成功しているとはいえないが、地域の人たちの誇りと温かさとユーモアセンスが伝わってくる。鬼太郎は愛されている。
米子から松江まではJRの各駅停車で40分の旅。手動で開閉する2両編成の列車の運転手は若い素敵な女性。懸命な仕事振りが好印象。
それにしても、午後7時の米子駅前の寂しさ暗さは、我が国の今の姿を象徴しているような気にさせられ、暫し萎えたのだった。
羽田から米子へ飛んで、仕事を一つ終えて、車で松江へ。
山陰道は、10年ほど前に皆生温泉に研修で行った以来かな。
モバイル撮影
国道431号線を宍道湖に沿って走る。
湖畔は、行けども行けども素朴で自然で殺風景で懐古的。
普段、慣れ親しんでいる芦ノ湖や山中湖などとは対極のランドスケープ。
今は広島という都会で生きる同乗の友人は、「人生の晩年は、ここで暮らしたい」という。「人々の心が皆温かい」という。思わず「それもいいな」と思わせる原風景なのかもしれない。
そうそう、境港も印象的な姿だった。演歌が自然に出てくるほどに。
それに松江城。姫路城のような華麗さはないが、指折りの美しい城だ。時間をゆっくりとって再訪したい。