今日のことあれこれと・・・

記念日や行事・歴史・人物など気の向くままに書いているだけですので、内容についての批難、中傷だけはご容赦ください。

徒歩の日

2009-10-04 | 記念日
日本記念日協会で10月4日の記念日を見ると「徒歩の日 」があった。
”日常生活で歩く習慣を取り戻し、健康になろうと宮崎市の「徒歩を楽しむ会」代表の貞原信義氏が制定した日”で、”日付は10と4でト・フォと読む語呂合わせから”だそうだ。
「徒歩」のことを、古くは「くがち【陸地】」が転じて「かち【徒】」と言った。乗り物に乗らず歩くこと。「歩行」(ほこう)をいう。
「歩行」と言う場合足を使っての移動のうち、急がない速度で移動する事をいう。急いで移動する事は走るという。歩くことは、ヒト(人)のみならず足(脚)を持つ動物にとって極めて普通に行なわれる行動の一つである。陸地の生物の中から、二本足で立ち上がり、直立歩行した動物ヒトになった。言い換えれば、ヒトは直立二足歩行出来る動物である。直立二足歩行はヒトの進化と密接に関連している。二足歩行を行なう事で、後ろの大きな歩幅が確保でき、人の移動能力は大きく進歩した。近縁の動物の中では、長時間長距離の移動能力において、ヒトは他の動物より優れていて体毛の減少も、全身から発する事を可能にし、熱放出の効率を高め、持久力を高めるための適応ともいわれている。
かって。歩く距離などには「1」という単位を使っていた。日本の場合、明治時代に、メートル条約加入後の1891(明治2)年に制定した度量衡法で換算すると、1里(36町1町=60間×6(尺/間)=360尺。1尺=10/33m)≒3.927km。普通の大人が1時間に歩ける距離が「4里」と言われているので、人間の歩行速度は、約時速4キロメートル程度ということになる。
ただし、昔の人は、移動手段としては歩く以外にはなかったので、江戸時代の測量家として有名な伊能忠敬とその仲間が、初めての実測による日本地図(大日本沿海輿地全図)を作るために、日本の津々浦々まで歩いて測量した距離は、地球一周分(約4万キロ)に相当するという。
又、江戸時代に江戸から京方面へ旅した場合、最初の宿泊地となるのは戸塚宿か、その手前の保土ヶ谷宿であり、保土ヶ谷宿へは、日本橋から八里九町(約33km)、戸塚宿までは十里半(約42km)ある。十返舎一九滑稽本東海道中膝栗毛』に出てくる神田八丁堀の住人弥次郎兵衛と喜多八が厄落としにお伊勢参りに向かい最初に泊まったのが戸塚宿であり、2日目は戸塚から小田原まで約40km、3日目は小田原から箱根まで約30km強を歩いている。これを歩行速度時速4kmで計算すると、1日約8時間から10時間も歩いていることになる。毎日これだけの距離を歩いて旅するなどということは、現代人には考えられないが、当時の人は、今の人より相当健脚だったろうし、又、歩く速度も速かっただろう。
古代、私達の先祖が狩猟をしていた時代から、稲作の時代に入り、人々は村に集まって住むようになり、それが、近代になり、工業や商業の発達と共に、多くの人がサラリーマンとして都市に住むようになった。そして、日常の生活等においても、鉄道や車などの発達により移動手段が多彩になり、また、コンビニエンスストアや通信販売どの発達による利便性向上など、社会環境や労働形態の変化、生活様式の変化などもあって、人は次第に歩かなくなった。
私たちの先祖が狩猟をしているよう時代には病気の中心は恐らく、栄養不足や食中毒、怪我であったようだが、それが、村や都市に住むようになると、結核やコレラなどの伝染病に悩まされはしたもののこれらの時代には、まだ、歩かないことにいる病気の発生などは無かったと考えられる。しかし、今のように飽食の時代、になり、日常の生活の中で、歩くことが少なくなり、身体は、肥満気味となると、これが、生活習慣病をはじめとして、数多くの疾患のリスクファクター(危険因子)となる。又、医学の進歩により、長寿化も進む中、歩かなくなったことによる足の筋力の衰えはますます「歩くこと」そのものに支障をきたし、高齢期の生活の活動範囲を狭くするだけではなく、寝たきりの大きな原因となっており、今、改めて「歩く」ことの重要性、必要性が再認識されるようになってきた。
歩き方にもいろいろあるが、気分転換や健康のため、特に目的地を設けずに歩く行為を「散歩」また、散策(さんさく)ともいうが、因みに、この言葉の語源は、古代中国(後漢から唐の時代にかけて)に流通していた麻薬五石散のことを言っていたらしい。鍾乳石、硫黄、白石英、紫石英、赤石脂という五種類の鉱物を磨り潰して作られたもので、不老不死の効果や虚弱体質の改善に効果があるとして中国で広く流通していたらしいが、服用すると皮膚が敏感になり、体が温まってくる。これを「散発」と呼んでいたそうだが、もし、散発が起こらず薬が内にこもったままだと中毒を起こして死ぬとされたのだそうだ。そのため、散発を維持する為に絶えず歩き回らなければならず、これを「行散」と呼んだことから、五石散を服用した状態で歩きまわる様を呼んで「散歩」の語源となったとされているそうだ(以下参考の※:「Kusida’s Web site-コラム:57 万能薬」参照)。
ま、いずれにしても、健康のためには散歩が大事と言うことか・・・。
歩く行為そのものや、また移動する事で見聞きすること、あるいは出歩く事で他人とコミュニケーションの場がもてるなど、人が散歩に行く動機や理由は、人によって、あるいは状態・状況によっていろいろだろうが、歩きながら話をしたりものを考えたりすることは特に有効との考えがある。
そこここをぶらぶらと歩く散歩のことを「逍遥」とも言うが、「逍遙」という語は、アリストテレスが創設した古代ギリシアの哲学者グループを「逍遙学派」(ペリパトスPeripatetikoi【英語:peripatetic】学派)」と呼んだことからきているそうだ。「peripatetic」という語はアリストテレスの弟子たちを指すが、形容詞としては「逍遙する」つまり「散歩する」「散策する」という意味があるようだ。
アリストテレスは晩年になって、アテナイ(ギリシャ共和国の首都アテネの古名)のアポロン・リュケイオス神殿のかたわらに哲学の学校(学園)を建て、学校の名は神殿にちなんで「リュケイオン」とつけた。彼とその弟子達は、リュケイオンの散歩道を歩きながら哲学や学問の論議を交わし思索にふけったとされており、そのことから逍遙学派との呼び名が生まれたそうだ。しかし、彼らが何故歩きながら、哲学にふけったのか?・・・このことについて、以下参考に記載の※:「アリストテレスの逍遙学派」では詳しく考察しているが、余りに専門的過ぎて、私にはよく理解できないが、筋肉や関節の中には、筋肉や関節がどうなっているか、延ばされているか、曲がっているかなどを知覚する感覚器が存在するそうで、これらを総称して筋感覚というそうだが、歩いている時の筋感覚の働きによって能への情報伝達量を高め我々の意識レベルをおおいに高める効果があるということらしい。人にとって時として第二の心臓とも呼ばれ足を使って歩くという行為は、身体面だけでなく精神面など他にもいろいろな好作用がみられるようだ。
同じ歩いても、明確な目的意識を持って歩く行為には、ハイキングといった行楽的なものや、さらには登山などもあるが、今、ストレスの発散や肥満防止の目的で歩く者も多い。これらの目的でのウォーキングは足早に積極的に歩く事で、運動量や消費カロリーの増大を目指した物だが、日本ではジョギングよりも、身体へのダメージが少なく、一定の運動効果があると評価されている。特に心肺機能の衰えが出始めた高齢者や病み上がりの人、あるいは循環器系障害のある人の健康維持に歩くことがが推奨されている。適度なウオーキングは睡眠にも良い効果があるとして、不眠症の人にも勧めるケースが見られるようだ。
厚生労働省の「21世紀における国民健康づくり運動」(健康日本21)では、1日に歩く歩数の目標値を、男性9200歩以上、女性8300歩以上としているようだが、実際には、男女ともに70%以上の人がこの目標値に達していないとの厚労省の調査結果が出ているようだ。
今、高年齢者の人で寝たきりになっている人の原因の中で、骨折によるものの増加率が非常に高くなっている(約1、5倍)というが、大腿の付け根の骨折は80%の人達が転倒により生じ、生じた人の19%が寝たきりになっているのだとか(以下参考に記載の※:「しっかり歩いて寝たきり予防:東京都多摩老人医療センター」参照)。
私の家の近所の人には、歩いて数分の店にわざわざ車に乗って買物に行く人が居るが、便利な車に馴れきった人には、結構このようなことをしている人が多いようだ。ウオーキングも良いが、先ずは、その前に日常生活の中で出来るだけ足を使うようにしなければいけないだろう。
♪来(きた)れや友よ 打(うち)つれて
 愉快に今日は 散歩せん
 日は暖かく 雲はれて
 けしき勝(すぐ)れて よき野辺(のべ)に
これは「散歩唱歌」(1901【明治34】年)の「春」の1番。
鉄道唱歌」の作詞者大和田建樹と、作曲者多梅稚が大好評だった同唱歌にあやかって作られたものだそうで、春夏秋冬の春15番、夏10番、秋15番、冬10番からなる長い歌だ。歌は以下参照。
「散歩唱歌」MIDI  http://www.mahoroba.ne.jp/~gonbe007/hog/shouka/sanposhouka.html
「うちつれる」とは、みんな一緒に連れ立っての意味。兎に角、積極的に歩くことが、寝たきりにならず、健康で元気な老後を過ごすための秘訣・・・。「散歩唱歌」のメロディーは至極単調であり、ウオーキングに口ずさみながら歩くのには良いかも・・・。
(画像は、Robotpeintre.gif‎。Wikipediaより)
参考:
歩く - Wikipedia
http://ja.wikipedia.org/wiki/%E6%AD%A9%E3%81%8F
伊能忠敬 - Wikipedia
http://ja.wikipedia.org/wiki/%E4%BC%8A%E8%83%BD%E5%BF%A0%E6%95%AC
東海道中膝栗毛 - Wikipedia
http://ja.wikipedia.org/wiki/%E6%9D%B1%E6%B5%B7%E9%81%93%E4%B8%AD%E8%86%9D%E6%A0%97%E6%AF%9B
肥満 - Wikipedia
http://ja.wikipedia.org/wiki/%E8%82%A5%E6%BA%80
※:アリストテレスの逍遙学派(PDF)
http://www.takamatsu-u.ac.jp/library/06_gakunaisyupan/kiyo/no37/no37takano.pdf#search='アリストテレス 逍遙学派'
※:Kusida’s Web site-コラム:57 万能薬
http://www1.odn.ne.jp/kushida/hk_kwb-j/hk_0703j.html#backnumber
串田 久治
http://www.andrew.ac.jp/GLetter/teacher/kushida.html?height=500&width=520
エジプト関連辞書:ら行
http://www.luxor-co.com/dictionary/dictionary_r.shtm
大和田建樹 – Wikipedia
http://ja.wikipedia.org/wiki/%E5%A4%A7%E5%92%8C%E7%94%B0%E5%BB%BA%E6%A8%B9
日本記念日協会
http://www.kinenbi.gr.jp/index2.html
徒歩を楽しむ会
http://homepage2.nifty.com/tohowotanoshimu/
よここくナビ(国土交通省関東地方整備局)
http://www.ktr.mlit.go.jp/yokohama/index.htm
※:しっかり歩いて寝たきり予防:東京都多摩老人医療センター
http://www.tmig.or.jp/J_TMIG/kouenkai/koza/61koza_3.html
社団法人 日本ウオーキング協会
http://www.walking.or.jp/
21世紀における国民健康づくり運動 - Wikipedia
http://ja.wikipedia.org/wiki/%E5%81%A5%E5%BA%B7%E6%97%A5%E6%9C%AC21
歩くことと健康
http://kenvi.jp/cyclopedia/know/Pknow4.html

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