( この写真は、東京JR線高田馬場駅近くの商店街である。 この通りの先を右に曲がって
しばらく歩くと下落合に出る・・・。 この写真は、本編とは直接関係ありません。
《 2008年、1月撮影 》 )
【 はじめての方は、どうぞ 「第1章 改訂版」 よりご覧ください。 】
その23
南さんの絶叫は夜の街に響きました・・・。
表通りから裏道へ入り、さらにビルとビルのすき間に連れ込まれた南さん
( 仮名:南浩志、1968年当時19歳、東北出身 )の叫び声は、通行人の注
意をひくのに充分でした。
南さんを袋叩きにしていた二人の男は、その背後に人の気配を察知すると
まるで、紙クズでも捨てる様に南さんを投げ出して走り去ったのです。
南さんは、この二人が私服警官か刑事だと信じています・・・。勿論、警
察手帳を見たわけでもありませんから確認は出来ません・・・。 しかし
・・・・・
体格の良さとその生真面目なしゃべり方、ケガ人でも平気で暴行できる冷
徹さ・・・南さんが『 私服だ! 』と直感しても不思議ではありません。
偶然、体格の良いサラリーマンが二人で暇つぶしにデモ隊の落ち武者狩り
をやっていた可能性よりも、私服警官が南さんを新宿から付けていたと考
える方が自然だと思われます・・・・・。
路地裏で真っ赤なボロ雑巾の様に横たわる南さんを誰も助けてはくれませ
んでした。 血み泥になりながらも・・・南さんは、決して長兄から譲れれ
たカメラを離しませんでした・・・・・・
しかし、そのカメラも半壊し、赤黒い血がこびりついています・・・・ま
るで南さんを守るためにカメラも重症を負っているかの様に・・・・・・
南さんは全身の激痛に耐えながら、自力で下落合のアパートに帰ります・
・・・・すぐに病院に駆け込む事も考えましたが、警察(?)から命を狙
われている自分をいったい誰が救えるのか・・・・? 病院へ行って、そ
こから警察に連絡されたら・・・・・その先の事を考えると南さんは病院
へ行く事すら恐ろしくなったのです。
『 警官がオレを殺そうとしているのに、いったい誰を信じられるだろ
う・・・・? 医者だって信じられない! どいつも、こいつも信じ
られない! 人間なんて誰も信じられない! 』
南さんはアパートの自室で1週間以上寝たきりで過ごしたそうです。全身
の激痛と悪寒に震えながら起き上がる事が出来ませんでした。
友人の一人に食事の世話を頼み、一歩も外へ出ることなく一人布団にくる
まって震えていたのです・・・・・
かろうじて助かった「 命 」を胸に抱きしめる様にして・・・・・
南さんとは2,30年お会していません。お互いに白髪の混じる年になりま
した。今現在、私は30年の漫画家アシスタント人生を送り、南さんはデザ
イン会社の代表に・・・。そして、デザイン会社の仕事以外にも漫画関係
の仕事もこなしているそうです・・・・・。
先日、新年のあいさつメールの中に・・・私の書いた「 新宿騒乱 」につ
いて・・・・・・
「 正確には『 10.21 国際反戦デー 』で、この日初めて「騒乱罪」が
適用されました・・・ 」
そう、メールでご示唆をいただきました。 メールの差出人は南さんでした。
学生運動は大学の自治や自由( 国家及び国家権力の介入の阻止 )から、さ
らには反戦運動( 安保粉砕、ベトナム戦争反対、米空母寄港阻止・・・等 )
へと広がりを見せていました。
今現在、問題になっている多くの社会矛盾に対してクールになっている学生
や若い労働者を・・・
「 今の沈静化したムードは逆に怖い・・・ 」
と、メールには記されてありました。 南さんのデリケートな感性から、
「 警告 」を突きつけられた思いでした・・・。
「 漫画家アシスタント 第5章 その24 」 へつづく・・・
★前の記事へ→ 「漫画家アシスタント第5章 その22」へ戻る 】
~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~ お知らせ ~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~
★ 拙ブログ「漫画家アシスタント物語」(第1~4章収録)が書籍化!
全326ページ。第1章の一部漫画化! 秘蔵未公開写真19点、描き下ろ
しイラスト18点を含む画像総数148点! デビュー漫画「雨のドモ五郎」
を完全収録! 《ネット通販を見る》
★ 拙作、文庫本『 劇画 蟹工船 覇王の船 』
( 劇画「覇王の船」 + 小説「蟹工船」の二本立て! )が発売中!
○ 送料がかかってしまいますが・・・ 《アマゾンのネット通販》
~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~
【 各章案内 】 「第1章 改訂版」 「第2章 改訂版」 「第3章 改訂版」
「第4章 その1」 「第5章 その1」 「第6章 その1」
「第7章 その1」 「第8章 その1」 「第9章 その1」
「諦めま章 その1」 「古い話で章 その1」
「もう終わりで章 その1」 「移住物語 こりゃタイ編 その1」
しばらく歩くと下落合に出る・・・。 この写真は、本編とは直接関係ありません。
《 2008年、1月撮影 》 )
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その23
南さんの絶叫は夜の街に響きました・・・。
表通りから裏道へ入り、さらにビルとビルのすき間に連れ込まれた南さん
( 仮名:南浩志、1968年当時19歳、東北出身 )の叫び声は、通行人の注
意をひくのに充分でした。
南さんを袋叩きにしていた二人の男は、その背後に人の気配を察知すると
まるで、紙クズでも捨てる様に南さんを投げ出して走り去ったのです。
南さんは、この二人が私服警官か刑事だと信じています・・・。勿論、警
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・・・・・
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徹さ・・・南さんが『 私服だ! 』と直感しても不思議ではありません。
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しかし、そのカメラも半壊し、赤黒い血がこびりついています・・・・ま
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の激痛と悪寒に震えながら起き上がる事が出来ませんでした。
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まって震えていたのです・・・・・
かろうじて助かった「 命 」を胸に抱きしめる様にして・・・・・
南さんとは2,30年お会していません。お互いに白髪の混じる年になりま
した。今現在、私は30年の漫画家アシスタント人生を送り、南さんはデザ
イン会社の代表に・・・。そして、デザイン会社の仕事以外にも漫画関係
の仕事もこなしているそうです・・・・・。
先日、新年のあいさつメールの中に・・・私の書いた「 新宿騒乱 」につ
いて・・・・・・
「 正確には『 10.21 国際反戦デー 』で、この日初めて「騒乱罪」が
適用されました・・・ 」
そう、メールでご示唆をいただきました。 メールの差出人は南さんでした。
学生運動は大学の自治や自由( 国家及び国家権力の介入の阻止 )から、さ
らには反戦運動( 安保粉砕、ベトナム戦争反対、米空母寄港阻止・・・等 )
へと広がりを見せていました。
今現在、問題になっている多くの社会矛盾に対してクールになっている学生
や若い労働者を・・・
「 今の沈静化したムードは逆に怖い・・・ 」
と、メールには記されてありました。 南さんのデリケートな感性から、
「 警告 」を突きつけられた思いでした・・・。
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「諦めま章 その1」 「古い話で章 その1」
「もう終わりで章 その1」 「移住物語 こりゃタイ編 その1」
本年もブログの更新を楽しみにしております。
書籍の発売も直前に迫りましたが、
最近はブログ本編も時代性を反映した濃い内容ですね。
わたしは76年生まれで学生運動とは無縁ですが、
自分が関われなかった故に妙にあの熱かった時代に
憧れというか、興味を抱いています。
それにしても流石漫画家アシスタント!引きが強い!
一時のジャンプのマンガの様です。
次回が楽しみですね~。
いましたので、返信が遅れてしまいました。
申し訳ありませんでした!
こちらこそ、本年もどうかよろしく!
さて、銀次郎さんには「次回が楽しみですね~。」などと、書いても
らっているのに・・・
ここから先の事を・・・本当に・・・「絶対に書かないでくれ」と、言われ
ているので・・・絶対に書けないのです・・・・・困っています・・・・・。
絶対に書けない事なのに・・・どうしたら良いのやら・・・・・・・。
今、現在・・・私の頭には・・・何もありません・・・・・・
次回、その辺のところを楽しみにしていて下さい・・・・・って、まるで
人事の様ですが・・・・・!
番外編として希望者のみにメール配信するとかはどうなんでしょうか?
たぶん・・・・・キビシイ・・・・・・かも・・・・・・・・。
本人にとっては一番感じやすい時期(10代後半)に受けた心の傷
が今でもカサブタの様になっていて・・・・その部分に触れると血
が吹き出してしまう・・・・・・
そんな感じなのです・・・・・。 ですから、他人にその「事件」につい
て語られる事自体も少なからず愉快な事ではなさそうで・・・・・・・。
最も具体的な内容について語られていなければ・・・・たいして気
にはしないと思いますが・・・・・・・。(個人的にふじもんさんと私が
二人だけで話す事には問題ないと思います。)
ただ、重要な事は・・・・・・警察にしろ自衛隊にしろ、相手が女であ
るか、学生や子供であるかは全然関係なく、何が問題なのかさ
え認識しないままに・・・「敵」と認識されたら、徹底的に潰しにか
かるわけです(中江君、南さんの様に・・・)。
しかし・・・・・その仕事(?)に、いったいどれほどの正当性、有効性
があるのか?
高い税金を使ってやる程の値打ちがある事なのか? そうした
事が議論すらされずに闇に隠れてコソコソと動めいている事が
深刻な問題なのではないか・・・・・と思うのです。
さて・・・・・次回・・・・・何をどう書いたら良いやら・・・・・・・・・
まだ・・・・思案中・・・・・なのです・・・・・・・・。
国民を守るための組織・・・国家の治安を守る組織を信じられなくなったとしたら、国民の私たちは何を信頼し誰を頼ればいいのでしょうか・・・
いざという時の大きな後ろ盾が実は味方してくれないなんて想像を絶する恐ろしさです。
法律が作られているので、かりに「悪(ワル)」が混じっていると、
まったく目もあてられません!
もし、自分がその「悪」に出くわしてしまったら・・・・・・
まさにオオカミに襲われた子羊に等しい悲劇です。 良心的な弁
護士や医師の知り合いがいれば心強いのですが・・・・・そうもい
かないのが現実です・・・・・。
>いざという時の大きな後ろ盾が実は味方してくれない
>なんて・・・・
相手がオオカミですので、こちらも遠慮せずに仲間や情報、人権
団体や当番弁護士制度など組織力を利用する事が必要になると
思いますが・・・。
もう一つ・・・
かかる火の粉を手で無理矢理に振り払うのではなく、少し火傷を
しても、「スイマセンでした~ッ!」って謝ってしまうのも手です!
どんな対応をとろうと、人それぞれだと思います。だいたい、相
手に問題があるんですから・・・!