ポケットの中で映画を温めて

今までに観た昔の映画を振り返ったり、最近の映画の感想も。欲張って本や音楽、その他も。

『男はつらいよ』の思い出

2016年11月17日 | 日本映画
若い頃から映画に夢中だった。
映画そのものもなるべく良質な映画を観たい、と思って劇場に通った。
だから、見落としたと思った作品はキネマ旬報をチェックしてカバーしていた。

二十歳の頃のキネマ旬報(1969年度)邦画ベスト・テンに、『男はつらいよ』(山田洋次監督、1969年)と『続・男はつらいよ』(1969年)が入った。
渥美清の喜劇が2本。
渥美清は好きだし、テレビの『泣いてたまるか』(1966年〜1968年)は大好きだったので、これは見逃すことができないと、この二本立てを二番館で観た。

当時、ペンフレンドがいた。
十代から雑誌“スクリーン”で知り合った女の人。じゃなくって、女の子。

それより以前のこと、知多半島に行きたいから名古屋に来たと急に連絡があり、その時は用事があったので、少しだけの時間会った人。
『男はつらいよ』を観てそんなに経っていない頃、今度はこちらから横浜に遊びに行った。
港の見える丘、外人墓地、マリンタワー、そして氷川丸。
その辺りを二人してブラリのんびりと散策した。

翌日、どこに行こうかとなって、私の提案で柴又。

ああ、ここが寅やの路地。やっぱり“草だんご”が当然のようにあって。
その先は、帝釈天。案外、映画からのイメージより小さくって。
そして、それを通り過ぎると江戸川。
タイトルが出、主題歌が流れて寅さんが歩く、その場所。
そこの河原に座って、作ってくれたサンドウイッチを二人で食べる。
目の前は、矢切の渡しの立て札。
これを渡って対岸に行けば、あの「野菊の墓」の舞台なんだな、とロマンチックに夢想する。

寅さんと言えば、そんなことがフラッシュ・バックして。
でも、それは遠い昔のひと時のこと。
そして思い出すのは、帰りの東京駅で、そっと渡してくれた花束。

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