ポケットの中で映画を温めて

今までに観た昔の映画を振り返ったり、最近の映画の感想も。欲張って本や音楽、その他も。

『ローズマリーの赤ちゃん』を再度観て

2016年03月18日 | 1960年代映画(外国)
ブックオフに行ったら、『ローズマリーの赤ちゃん』(ロマン・ポランスキー監督、1968年)があった。
封切り当時、超話題作だったこの作品を観て、身の毛もよだつというか、心底ゾォーとした印象が焼き付いている。
しかし時を経て、内容がうろ覚えになってしまったので、再度観てみようと購入した。

俳優のガイと妻のローズマリーは、マンハッタンの古いアパートが気に入り、そこに住むことにした。
友人のハッチがこのアパートは以前から不吉な噂がたえないと話すが、二人は全然気に留めない。
ある日、隣人のローマンとミニーのカスタベット老夫妻が、ガイとローズマリーを夕食に招待した。
ローズマリーは、この夫婦をあまり好まなかったが、何故かガイは好意を抱き、
親切だが、少々お節介なこの老夫妻との付き合いが始まっていく。
ある夕食時、ミニーがデザートを持ってきてくれた。
ローズマリーは、まずくて嫌だったが、ガイがあまり勧めるので半分ぐらい食べたところで、急に目まいがし意識を失ってしまう。
そして、そのままローズマリーは悪魔と契りを交わす夢を見て・・・・

ローズマリーの妊娠による情緒不安定、ヒステリー性被害妄想。
そこまで悪く考えなくってもいいのにと思う程、何気なく物語は進んでいく。
しかし、グイグイと不安が募ってくる。
母親となる者として、母性本能が百パーセント発揮され、ローズマリーは胎児を庇ろうとする。
ミア・ファローの演技が真に迫ってくる。
そして、とうとう出産。

その結末は?
やはり、再度観てもゾォーとする余韻がいつまでも続く。
この映画の凄いのは、ローズマリーの赤ちゃんを見せないこと。
だから、ローズマリーが結果的に赤ちゃんを受け入れることが、痛々しく感動的である。

ミア・ファローの強烈な印象と共に、やはり第一級のサスペンス・ホラーとしての地位は揺らぎない作品だと確信する。

それにしても、この映画は呪われた作品となってしまったと思う。
ミア・ファローの当時の夫がフランク・シナトラ。
シナトラは、ミア・ファローがこの映画に出演するのに反対で、そのためだと思うが二人は離婚。
ポランスキーに至っては、あの有名な翌年の事件、シャロン・テート事件が起きる。
妊娠8ヶ月だった妻のシャロン・テートが狂信的カルト信奉者たちによって、腹部等を何度も刺され惨殺された事件である。

この映画のエピソードはまだあって、舞台のアパートはジョン・レノン、オノ・ヨーコ夫婦が住んでいたことがある、ダコタ・ハウスで撮影でしたとか。
夫・ガイ役のジョン・カサヴェテスは、私が大好きな『グロリア』(1980年)などの大監督とか。

素晴らしさは他にもあって、クシシュトフ・コメダの音楽がまた凄くいい。
オープニングクレジットで流れるあの愁いを帯びた美しい旋律が、クロージングクレジットで聞くとなんと不気味に聞こえることか。
この曲の良さは、観た者しかわからないではないか。

YouTubeより、この曲を貼り付けてみた。

コメント (6)    この記事についてブログを書く
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする
« 『光の山』を読んで | トップ | 『リリーのすべて』を観て »
最新の画像もっと見る

6 コメント

コメント日が  古い順  |   新しい順
懐かしい (雨あがりのペイブメント)
2016-03-18 22:17:31
「ローズマリーの赤ちゃん」懐かしいですね。
遠い記憶をたどれば、会社の大掃除が終わった後観た映画だったような気がします。
「鳥」「北北西に進路をとれ」なども怖さが残る映画ですね。
 「光の山」好きな小説の一つです。
意地を通す、やりたいことをやり通す。
どこかに「孤独」が感じられる物語でした。
返信する
>雨あがりのペイブメントさんへ (初老ytおじ)
2016-03-19 00:41:42
コメントありがとうございます。

「ローズマリーの赤ちゃん」、当時観た感情がよみがえってしまいました。色あせていないところが、やはり凄いです。
ヒッチコックも、怖いのがいっぱいありますね。「鳥」なんか、若かったせいか本当にビックリしました。

玄侑氏の本、これからもっと読んでいこうかなと思います。
返信する
Unknown (山仙人)
2016-03-19 23:57:45
始めて出演したこの映画で演技力が高く評価されたミア・ファローは、若いのに頬がこけた独特な個性でした(母であるモーリン・オサリヴァンゆずりでしょうか)ね。その後、あの「第3の男」の名監督キャロル・リードによる「フォロー・ミー」に出演し、その主題歌(「007シリーズ」のジョン・バリーによる)は今も耳に残ります。それにしてもロマン・ポランスキーという監督は「水の中のナイフ」から「戦場のピアニスト」に至る作品もさることながら、実に数奇な実人生を歩みました。
返信する
>人生いろいろ (初老ytおじ)
2016-03-20 01:18:37
山仙人さん、コメントありがとうございます。

ミア・ファローの母親、モーリン・オサリヴァンはきれいな人で、あの「類人猿ターザン」でとっても気に入ってました。
ミア・ファローも80年代になると、ウディ・アレンの作品によく出ていて、「ハンナとその姉妹」ではモーリン・オサリヴァンも出ていたはずです。
ロマン・ポランスキー監督は確かに数奇な人生を歩んでいて、ユダヤ人ゲットーから逃れたことや、例の少女への淫行容疑のこともあるし。
先程のミア・ファローとウディ・アレンの関係でも、二人の間に子がありながら、ウディ・アレンがミア・ファローの養女と結婚してしまうし。
人生、それぞれ色んなことがあるようです。


返信する
はじめまして (こんぺいとう)
2016-04-03 18:43:33
この映画が作られた年に生またものですがこの映画は大好きで10回はみてます。
音楽、ファッション、ストーリー
何もかもお気に入り。
モードな雰囲気も漂い、
ミアファローのベリーショートが可愛い!ある意味ローマの休日でのヘップバーン以来の変身ぶりでしょう。( ^ ^ )/
返信する
>こんぺいとうさんへ (初老ytおじ)
2016-04-03 20:46:24
10回とは凄いですね。
この映画の監督のポランスキーは、それ以前に「反撥」などで評判になっていて、これが封切られた時とても話題になりました。
それにしても、やっぱりこの作品いいですね。
ご存じのようにポランスキーは、その後も良い作品をたくさん発表していますし。
コメント頂いて、本当に嬉しく思っています。
ありがとうございました。

返信する

コメントを投稿

1960年代映画(外国)」カテゴリの最新記事