A DAY IN THE LIFE

好きなゴルフと古いLPやCDの棚卸しをしながらのJAZZの話題を中心に。

3人寄れば文殊の知恵とは言うが、3人の名手が集まれば聴き慣れたスタンダードも・・・・

2014-07-21 | CONCORD



Great Guitars At Charlie’s Georgetown

コンコルドレーベルの歴史はギターアルバムで始まったと言っても過言ではない。記念すべき最初のアルバムJazz Concordは、ハーブエリスとジョーパスの共演アルバムであった。その後も、バーニーケッセル、ローリンドアルメイダ、タルファーロー、ジムホールといったベテランプレーヤーが入れ替わり立ち代わり登場した。その後カルコリンズや、エディーデュランの様にローカルで活動していたプレーヤー達も続々後に続いて表舞台に登場した。
そして、ベテランだけでなく新人達も。今ではゴードングッドウィンのビッグバンドにも参加して有名なグラントガイスマンも、グッドウィンと一緒にコンコルドに初のリーダーアルバムを残している。

これも、オーナーであるカールジェファーソンのギター好きから始まった。フュージョン全盛期にこれだけ、オールドスタイルのジャズギターが復活したのはカールジェファーソンのお蔭だともいえる。そして、最初のアルバムがそうであったように、ギター一本ではどうしても陰に隠れてしまうのか、2本のギターでのバトル物も多く残されている。演奏に個性の出やすいギター、そしてソロ楽器としてだけなくリズム楽器としても重宝されるギター故、2人のソロや掛け合いが楽しめる。

そのような中、ギター3本のグレートギターズというグループも比較的早く72年頃に結成された。どうやら名付け親はオーストラリアをツアー途中で出会った地元のファンの一人だったようだが、コンコルドには74年のコンコルドジャズフェスティバルが初舞台だった。それぞれのグループで活動していたが、時にはこの3人が集まって“Great Guitars”としての活動も継続してきた。

このグループの演奏は観客のいる会場でそれぞれの演奏と曲のショーケースのような雰囲気が似合う。何故かジャズのライブ物の定番の紫煙の煙る騒々しいクラブというのは似合わない。コンコルドでのアルバムも、コンコルドジャズフェスティバルや、ワイナリーの屋外会場のライブというアルバムがあったが、どちらも雰囲気はぴったりだ。

このアルバムもライブアルバム。ワシントンのジョージタウンにあるCharlie’sというクラブでのライブ。メンバーのチャーリーバードはジャズプレーヤーにしては珍しく、何故かこのジョージタウンを本拠地としていた。まさに、チャーリーバードのホームグラウンドでの演奏だ。寡聞にして知らなかったが、このワシントンDCというのはGuitar Townといわれ、ギターの演奏には耳の肥えたファンが多いそうだ。となれば、このチャーリーズでの演奏はGreat Guitarsの演奏場所としては最適な環境という事になる。
確かに、本場アメリカのライブ物というと観客席の騒々しさもまた雰囲気を盛り上げてくれるが、このアルバムでは演奏後の拍手以外は妙に静まり返っている。ある種日本でのライブのような感じだ。

曲はスタンダード中心だが、相変わらず三人三様のプレーを生かした絶妙なコンビネーションプレーを楽しめる。ブルースプレー一つをとってみても、ケッセルはオクラホマ、エリスはテキサス、そしてバードはバージニア出身と、それぞれが慣れ親しんだ地元のブルース訛りがあるようで、それが個性を一段と引き立てている。
このようなグループは、小難しいオリジナル曲をやるよりは、このように聴き慣れたスタンダード曲をどう料理してくれるかを楽しむグループのような気がする。ディキシーで定番の「聖者の行進」も新鮮に聞こえる。

1. Where or When        Lorenz Hart / Richard Rodgers 4:15
2. New Orleans               Hoagy Carmichael 6:33
3. When the Saints Go Marching In         Traditional 2:58
4. Change Partners                Irving Berlin 3:49
5. Opus One                     Sy Oliver 4:15
6. Old Folks         Dedette Lee Hill / Willard Robison 4:16
7. Get Happy             Harold Arlen / Ted Koehler 5:33
8. Trouble in Mind   Richard M. Jones / Janis Joplin / Traditional 5:44

Charlie Byrd (g)
Herb Ellis (g)
Barney Kessel (g)
Joe Byrd (b)
Chuck Redd (ds)

Produced by Carl Jefferson
Recorded live at Charlie’s Georgetown Washington D.C. August 1982
Recording Engineer Phil Edwars

Originally released on Concord CJ-209

Great Guitars at Charlie's..
Great Guitars
Concord Records
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バイオリンとギターの相性はジャンルを問わず格別かも・・・・

2011-12-27 | CONCORD
Stephane Grappelli at The Winery

先日紹介したテレサブリューワーとの共演したアルバムが録音された一年前、御大ステファングラッペリ翁がConcordに登場した。すでにジャズの世界に復帰してからは数年が経っていた。場所は、以前Great Guitarsのライブも行われたMasson Winery。ジャズのライブは、演奏する方も聴く方も、緊張が増すこともあればよりリラックスする時もある。このグラッペリの演奏は後者であろう。

ギターとバイオリンの組み合わせというのは相性がいいのかもしれない。ジャズの世界ではバイオリン自体が珍しいが、ヨーロッパやアメリカでもカントリーの世界では良くある組み合わせた。このグラッペリもヨーロッパ出身、このアルバムの2人のギターもイギリス出身、ベースはオランダ出身だ。という意味ではヨーロッパの伝統に根ざした演奏なのかもしれない。ギターのマーチンテイラーもこのアルバムがデビューだと思う。後にConcordでお李ダーアルバムを出している。

グラッペリというとジャンゴラインハルトとの共演が有名だが、ギターとのコンビネーションはここが出発点だろう。そして、この演奏もそうであるがドラムレスの編成が多い。昔の生ギターのプレーヤーはドラムの音に対抗するために自然に力強いリズムを刻むようになったそうだ。そのプレーができるギターを加えてドラムレスにすると、強烈なリズム感を生む。キングコール、ピーターソンのトリオもそうであった。そのリズムに合わせて変幻自在なプレーをするのがグラッペリスタイルかもしれない。

このアルバムもリラックスした感じで、始まるが最初の曲はスティービーワンダーの曲、新しい曲が続くかと思ったら後はスタンダード曲が続く。2曲目のLove1for saleのイントロは何故かセントラルパークノースの特徴あるイントロに似ていて嬉しくなる。Taking a change on loveではビオラの演奏も。低音の魅力が新鮮だ。そして、昔から演奏している十八番のMinor Swingはグラッペリスタイルの集大成だ。



久しぶりに聴き終えて、グラッペリの演奏はそのにこやかな笑顔のせいもありリラックスして聴けるが、その中身は結構濃いし計算しつくされている。メンバー間のコンビネーションだけでなく、聴衆と向き合う中にも実はある種の緊張感が漂っているような気がする。
グラッペリは色々なプレーヤーや歌手と共演しているが、単なる顔合わせではなく、相手によって、そして曲によって2人のコラボレーションによって何かを生む出す細やかな配慮が感じられる。きっと演奏だけでなくきっと人柄も影響しているのだろう。




1. You Are the Sunshine of My Life     Wonder 5:08
2. Love for Sale               Porter 5:21
3. Angel's Camp               Taylor 4:02
4. Willow Weep for Me            Ronell 4:32
5. Chicago                 Fisher 5:00
6. Taking a Chance on Love         Duke, Fetter, Latouche 5:41
7. Minor Swing               Grappelli, Reinhardt 4:04
8. Let's Fall in Love             Arlen, Koehler 4:53
9. Just You, Just Me             Greer, Klages 9:15

Stéphane Grappelli    Viola (Electric), Violin
Martin Taylor      Guitar
John Etherridge     Gutar
Jack Sewing       Bass

Carl Jefferson Producer
Phil Edwards Engineer, Remixing
Jim Hilson Technical Engineer

Recorded live at The Paul Masson Mountain Winery, Saratoga, California
on September 1980

Originally released on Concord CJ-139(所有盤はCD)

At the Winery
Stephane Grappelli
Concord Records
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ジャズは紫煙が煙る深夜のクラブで聴くというのは通り相場だが・・・

2011-10-20 | CONCORD
Great Guitars at The Winery

最近はオフィスや公共のスペースでは禁煙が徹底してきた。飲食店でも昼間は禁煙というところが多い。スモーカーにとっては、ますます肩身が狭くなっている。
ジャズとタバコは何となく切り離せないイメージだ。ジャズ喫茶の全盛期もタバコの煙の中で何時間も過ごしていたものだ。丁度その頃良くかかっていたレコードジャケットのエルビンのHeavy Soundsも、2人の顔がタバコの煙に霞んでいる。
ところがConcordのジャズはどうもタバコが似合わない。西海岸のカラッとした空気の中の、清清しいサウンドがイメージされる。

このConcordに集ったプレーヤーもレコーディングやコンサートで何度が一緒にプレーしている内にレギュラーグループとして活動するようになっていった。このグレートギターズもその内のひとつだ。この3人が一緒にプレーしたのは、74年のコンコルドのフェシティバルのステージ。それから6年が経ったので、すっかりお馴染みのグループになった。
このグループが6月の燦々と降り注ぐ太陽の元、カリフォルニアのワイナリーのステージに登場した。カリフォルニアワインのPaul Massonのワイナリーがコンコルドから南に下ったサンノゼの郊外にある。そこの古い建物を生かしたステージで、毎年夏になるとコンサートが開かれる。グレードギターズの3人の面々はその舞台に登場した。一人ひとりが人気のある大スターだが、彼らが3人集ってプレーするとなると当然観客は超満員だったそうだ。
御大のジェファーソンは丁度その時、コペンハーゲンにいたが、そのような機会を逃すはずもなく、いつものフィルエドワーズをヘッドとするレコーディングスタッフはモバイルの機器を携えてそのステージを残さず収めた。その時の録音がこのアルバム。

エリスもコンコルドに登場するまでは紫煙の中でのプレーが似合っていたのだが、何故か3人が集るとこのような屋外の舞台が似合う。ブロードウェイで始まるステージは、次々とジャズのスタンダードが続きそしてボサノバも。ジョーバードのベースがエレキベースのせいもあるが、全体に軽めのサウンドだが、一人ひとりのギターのプレーはいつものようにbopの伝統を引き継ぎ骨太だ。



1. Broadway
2. Air Mail Special
3. Body and Soul
4. You Took Advantage of Me
5. So Danço Samba           
6. The Sheik of Araby   
7. Straighten up and Fly  
8. Just in Time       
9. Talk of the Town

Barney Kessel (g)
Herb Ellis (g)
Charlie Byrd (g)
Joe Byrd (eb)
Jimmie Smith (ds)

Carl Jefferson Producer
Phil Edwards Engineer

Recorde live at the Paul Masson Mountain Winery, Saratoga,California on July 1980

Originaly Released on Concord CJ-131

Great Guitars: At the Winery
Great Guitars
Concord Records
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2人がよければ、4人もよいかと思うのだが・・・・・?

2008-03-04 | MY FAVORITE ALBUM
Four Altos / Phil Woods , Gene Quill , Sahib Shihab , Hal Stein

フィルウッズとジーンクイルの“Two”アルトはソロといいコンビネーションといい絶妙のコンビ。そのプレーにはスリルも感じる。
同じ楽器の双頭バンドにはそのような魅力があるものが多い。有名どころではトロンボーンのJ&K、テナーのアル&ズート、Concordではソプラノサミットと称したボブウイルバーとケニーダバーンのコンビや、ケッセルとエリスのギターの組み合わせもあった。
それでは、3人、4人と数を増やすと、よりスリルが増してダイナミックになるかと思うと・・・?

丁度、先日紹介したウッズとクイルのコンビのアルバムが録音されたのが1957年3月であったが、その一ヶ月前に同じプレスティッジに4人組みのアルバムがある。
メンバーは同じフィルウッズとジーンクイルに、楽器も同じアルトでさらに2人、サヒブシハブとハルステインが加わっている。
サヒブシハブは、その後ウッズと一緒にクインシーのオーケストラに加わってバリトンを吹いている。以降はアルトよりもバリトンの方が有名になった。
リズムセクションは、メンバーはがらりと換わりマルウォルドロンのピアノ、トミーポッターのベース、それにルイスヘイズのドラムだ。

パーカーが亡くなったのが、1955年3月。2年の月日が経って若手のパーカー派が競って台頭してきた頃だ。ウッズもまだ25歳。若手のアルトのホープが集まっての演奏は、それだけでも何かが起こりそうな期待が持てる。
ジャケットの電線につかまって、まさに飛び立とうとしている4羽の小鳥。この録音に集まった4人の若手を象徴しているのだろう。
プレスティッジのこの頃のアルバムには、このようなバトル物の企画が多いがまさにハードバップが爆発する臨界点に達していた時。プレスティッジに限らずこの時期のレーベルには熱気があった。ホットなジャズの全盛期だ。

演奏はもちろん4人のアルトがフューチャーされてが、複雑なアレンジが施されたアンサンブルがあるわけではない。簡単なヘッドアレン的なユニゾンこそあれ、すぐにそれぞれのソロに引き渡される。どの曲でも4人の若手がソロを競い合う。伸び伸びと自分こそがパーカーの後継者と言わんばかりの熱っぽいプレーが続く。JATPのベテラン勢の和気藹々としたセッションとは一味違って、ある種の緊張感も感じられる。それも若手中心の登竜門のようなセッションだからだろう。その後の活動を見れば、結果としてアルト奏者としてはウッズが競争に勝ち残っていくことになる。飛び立った4羽の小鳥も生存競争を生き延び、成鳥になれたのは一羽しかいなかったということか。

Concordレーベルでおなじみ、ギター3人の"Great Guitars”というグループがあった。
3人のアンサンブルあり、ソロあり、そして2人のDuoがありと変化に富んだグループワークを聴かせてくれる。
どうしても人数が増えてくるとアンサンブルワークの楽しみにも興味が沸いてきてしまう。せっかく4人も集めたのだからという気になってしまうのは大編成好きだからであろう。
ウッズとクイル、そして他の2人のプレーも悪いわけではないのであるが。これは好みの問題だと思う。

1. Pedal Eyes             Waldron 7:34
2. Kokochee              Charles 6:25
3. No More Nights           Charles 4:58
4. Kinda Kanonic           Stein 5:59
5. Don't Blame Me           Fields, McHugh 4:57
6. Staggers              Waldron 8:23

Phil Woods (as)
Gene Quill (as)
Sahib Shihab (as)
Hal Stein (as)
Mal Waldron (p)
Tommy Potter (b)
Louis Hayes (ds)

Teddy Charles Supervisor
Rudy Van Gelder Engineer

Recoreded on February 9, 1957

Four Altos
Phil Woods,Gene Quill,Sahib Shihab,Hal Stein
Original Jazz Classics

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気の合う2人が話始めると・・・・どんな話題でも会話が尽きません

2007-08-11 | CONCORD
POOR BUTTERFLY / Barney Kessel・Herb Ellis

落語と漫才。
落語が一人で多様な芸を披露するのに対して、漫才は2人での掛け合いのコンビネーションが大事になる。大体はボケと突っ込みに分かれるが、2人の呼吸の合わせ方が芸の技だ。
ジャズでもソロの楽しみだけでなく、2人の掛け合いが楽しみのひとつだ。それも同じ楽器の掛け合いだと、同じ楽器といえどもそれぞれのプレーヤーの違いも浮き彫りになる。

サックスなどの管楽器だと大体は対決モードになり、アップテンポのバトルが売りになることが多いのだが。
ところがギターのDUOだと、あたかも2人で会話を楽しんでいるような雰囲気になる。もちろん丁々発止とやりあうこともあるが、それは大体Rockの場合。ジャズの場合は、派手に立ち回ることはない。
大体はソロにうまく合いの手を入れたりリズムを刻んだり。相手にソロを代わっても、自分でできることを周りで甲斐甲斐しく面倒を見ているといった感じだ。
これが2人の絶妙なコラボレーション効果を生む。内に秘めた緊張感、2人で作り出すスイング感がなんとも言えず心地良いものになる。

Concordは最初から、ギターが売り物のひとつ。色々なプレーヤーが入れ替わり立ち代り登場してDUOやTRIOのプレーを披露してくれている。KESSELもELLSもレーベル立ち上げ時からの常連だが、実は2人のDUOというのはこれが初めてのアルバムだ。GREAT GUITARSというCHARLIE BYRDを加えたTRIOの中で、2人のプレーはやっていたが。
日常のライブ活動では、この頃2人でプレーをすることも多かったらしいので、呼吸はぴったりだ。

ほぼ同じ時代を活躍してきて、よくスイングして、白人でありながらブルースも得意として、2人ともオスカーピーターソンと一緒にプレーをした経歴を持った、似たもの同士であるが、2人の音は微妙に違う。多少固めの音のケッセルに対して、エリスは角のとれたメローなサウンドが特徴。これが、縦横無尽に絡み合う。バックはHANNAのドラムとBUDWIGのベースだけ。管やピアノもないので、あくまでもギターの2人が主役。
Concordらしい企画のアルバムだ。

アップテンポでもバラードでもこなれたプレーが聴けるが、ウディーハーマンで有名なアーリーオータムは、どうしてもサックスセクションの分厚いメロディーを思い浮かべてしまうが、2人のギターサウンドで、それなりの厚みを感じさせるメロディーラインを作っている。そして、ブルーベリーヒルでは、カントリーウェスタン風に。ギターという楽器は味付けひとつで、色々な料理の仕方があるものだ。

DEARLY BELOVED
MONSIEUR ARMAND
POOR BUTTERFLY
MAKE SOMEONE HAPPY
EARLY AUTUMN
HELLO
BLUEBERRY HILL
I’M A LOVER
BRIGITTE

Herb Ellis (g)
Barney Kessel (g)
Monty Budwig (b)
Jake Hanna (ds)

Recorded 1977
Concord CJ-34
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ギターの魅力を思う存分・・・・

2007-06-30 | CONCORD
GREAT GUITARS / Charlie Byrd , Barney Kessel , Herb Ellis

同じ楽器でも、人によって同じ音がするとは限らない。
本来同じ音がするピアノでさえ、タッチの違いだけでまったく別の音がする。
管楽器になると、音色やトーン、息遣い、そしてJAZZの演奏でフレーズの作り方に至ると、人によってまったく違う「音」になる。
では、一番個性が出る楽器はというとギターではないかと思う。

元来JAZZではギターはリズムを刻んだ楽器。それがソロをとるようになり、楽器もアコースティックからエレキに。さらに、ROCKの世界ではギターは一躍主役に躍り出た。
それに合わせるように、その奏法も、音色も、使われ方も多様化していった。

JAZZでは、管楽器を2本、3本使うのは当たり前だ。
それぞれの楽器の音色の特色を生かしながら、ソロにアンサンブルにとその「音使い」はアレンジャーとプレーヤーの腕の見せ所である。
ところが、JAZZでギターとなるとそれを複数使うことはほとんど無い。
Rockでは、リード、リズム、ベースと役割を変えて複数使うことが当たり前なのだが。
本来、色々な音色や奏法ができるギターだからこそ、JAZZでもギターアンサンブルは面白いと思うのだが・・・・・。

そんなことを実現してくれたのが、“GREAT GUITARS”。
74年の“Concord Jazz Festival”でお披露目のグループだ。
この世界では有名な、Barney Kessel , Herb,Ellis , Charlie Byrd の3人で結成したグループだ。
今回のバックは、チャーリーバードのレギュラーグループのメンバーが努める。

それぞれのプレーヤーでタイプは違う。
KesselとEllisは白人プレーヤー。都会的な洗練されたプレーだけでなく、ブルージーな演奏も得意とする、チャーリークリスチャンの直系で、モダンジャズの創世記から大活躍した二人だ。
一方のByrdは元はクラッシクギター、そして60年代はボサノバの世界で大活躍。ジャンゴラインハルトの流れだ。
この3人が一緒にやるだけでも楽しくなる。

この3人が一緒にやる演奏のコンビネーションが実にいい。
元々が個性溢れる3人だ。ひとつの傘に収まる訳は無い。
ソロありDuoあり、そしてトリオあり。バラードありアップテンポあり4ビートあり、そしてボサノバあり。個性が絡み合った、なんとも言えない一体感だ。
そして、このアルバムは、スタジオ録音あり、そしてライブあり。
ありあり尽くしで、このグループの良さがアルバム全体に散りばめられている。
聴くほうも楽しいが、きっと演奏する方の3人も楽しかったのだろう。
それぞれのグループの活動の合間に、3人一緒の演奏の機会はけっこうあったようだ。
このアルバムの録音以降も、かなり長続きしたグループだ。

Lover
Makin’ Whoopee
Body and Soul
Cow Cow Boogie
Amparo
Outer Drive
On Greendolphin Street
Medley
(Nauges)
(Goin’ Out of My Head)
(Flying Home)

Charlie Byrd (g)
Barney Kessel (g)
Herb Ellis (g)
Wayne Phillips (ds)
Joe Byrd (b)

Recorded in 1976
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本当にやりたいことを、自分の曲で、やりたいメンバーと一緒に・・・・

2007-05-15 | CONCORD
BARNEY plays KESSEL

何事であっても、本当にやりたいことを自分の好きなようにできることというのは、そうそう人生で数多く機会があるものではない。たとえ、それを実現するにしても、一人ではできないし。大抵の場合は仲間の協力、そして何らかの場の設定が必要だ。

プロのミュージシャンが「自分のやりたいこと」を演ってアルバムにしたいと思っても、プロデューサーの意見を無視できないし、メジャーレーベルだと、そもそもそれが売れるものかどうかが問題になる。
結局はやりたいことより、売れるものが優先されてしてしまうのが世の常である。

そこに、インディーズレーベルやマイナーレーベルの存在意義がでてくる。
Concordレーベルも、このアルバムでまだ9枚目。
その当時は、まだまだマイナーレーベルだった。
そこで、ある決断をする。
ミュージシャンの意向をより色濃く出したアルバム作りにチャレンジをした。

その主役は、Barney Kessel。
「何とか、自己表現をしてみたい。」
アルバムタイトルやジャケットの写真も、ケッセルのそんな気持ちがよく現れている。

すでに、Kesselは、Concord Jazz Festivalに“GREAT GUITARS”で登場していた。企画としては面白いグループだし、フェスティバルでも大喝采を浴びてはいたのだが。

チャーリーパーカーとの共演など、JAZZの歴史とともにプレーをしていたバーニーケッセルも、50年代の後半までは第一線で活躍をしていた。コンテンポラリーレーベルにPoll Winnersなど、有名なアルバムを何枚も残している。
60年代に入ると、スタジオミュージシャンとしての生活が中心になり、ジャズプレーヤーとしての活動は表には出なくなった。この頃は、誰でもそうであったのかもしれないが。

そのケッセルが、再びJAZZをやり始めたのは60年代の後半。ヨーロッパに滞在し、ツアーを始めたのもこの頃だ。
そして、彼はConcordの活動に大きく影響される。フェスティバルにも常連として参加し、
Ellis と一緒に”GREAT GUITARS”を結成し、本格化にプレーを行っていた。

しかし、「本当に自分の好きなものを好きなようにやってみる」という意味では、まだ実現はしていなかった。

今回のアルバム作りでは、曲はすべてケッセルのオリジナル。
共演するプレーヤーも、すべてケッセルが選んだ。
それぞれに、プレーをした仲ではあったらしいが、このメンバーが一同に介して演奏するのは今回が始めてであったそうだ。

特に、サックスとフルートのハービースチュワード。Woody Hermanのメンバーで有名だったが、その後はもっぱらスタジオの仕事が中心。
Jazzアルバムの録音への参加は久々のことであったらしい。

さて肝心な演奏だが、一曲目をかけると全体の雰囲気が伝わってくる。
これまでの、Concordのアルバムとは少し趣が異なる。どらかというと、モダンスイングというか、中間派という感じの演奏が多かったが、これは完全に“今”風の音作り。
エレキベースやエレキピアノを多用し、8ビートやボサノバ風のラテンリズムも。
ケッセルも、スタジオワークをやっていた時は、POPのアルバム(ビーチボーイズやモンキーズのアルバムにも参加していたとか)や、テレビや映画の主題歌やサントラにも参加していたので、4ビートではなくても何の違和感もないが。

やはり、このアルバムで一番特徴的なのは、ハービースチュワードのソプラノとフルート。
「ナベサダ」が、ボサノバの後取り組んだサウンドの延長だ。昔の演奏とは大分違う。
フュージョンが進化していた時期ではあるが、あまりヘビーにはならず、軽く、明るく、美しいJAZZ。今風に言うと”SMOOTH JAZZ”の奔りのような演奏だ。

「ケッセルは、この頃こんなことをやってみたかったのか」ということを改めて認識した次第。

1. Sea Miner
2. For My Love
3. I’m On My Way
4. Here's That Sunny Day
5. Holiday Ii RIO
6. Down In The Swanp
7. Love Of My Life
8. Goi'g Through She Changes
9. Brazilian Beat

 Berney Kessel (g)
 Herbie Steward (reeds,fl)
 Vic Feldman (vib)
 Jimmy Rowles (p)
 Chck Domanico (b)
 Milt Holland (per)
 Jake Hanna (ds)

Produced by Carl Jefferson
Recorded early 1975

Originally Released on Concord CJ-9
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