山里ひぐらしの小径

木曽路の入り口、岐阜県中津川市から
人と自然とのかかわりをテーマに、山里、植物、離島など。

遭難とガイド その2

2010-11-05 | なんとなく報告
山岳ツアーは、海外旅行ツアーのような感じで、山に登りたい人が、道案内やさまざまな指導をしてもらって山を楽しむサービスのついたツアーとして
20年ぐらい前からできたらしい。

当然この時代、そういうものはできるだろう。
私も森林インストラクターとして、森林をガイドする仕事をしていた。
そのノリはよく分かる。

参加者は、お金を払ってサービスを受けるのだから
命を守る部分までそのサービスに含まれていると
思ってしまうことになるだろう。
おそらくそのあたりに、かなり無理があるのだと思う。
命を守る仕事に、値段なんかつけることは難しいだろう。
つけるとしたら、ものすごく高いものになるのでは。
そうすればツアー自体が成り立たない。
だから本来登山は、「ツアーを買う」のではなく
信頼しあった人と、お金で結ばれない関係で行くべきだろう。

また、ツアーに申し込むということは、チケットの手配、宿の手配、道順を調べ、工程を考える手間が省ける。これには本来相当の時間がかかるはずである。旅の計画ほどしんどいものはない。
大きなメリットがあるのだから、参加者はそれ相応の支払いをするのは当然である。

ガイドは登山を快適にする案内人であって、
最終的に自分の命は自分で守る、責任を持つという気概がなければ
山岳ツアーには参加しない方がいいだろう。
ガイドも人間であって、体調を悪くすれば判断力もなくなる。
さっきまで健康だった人が脳梗塞で倒れるということだってあるのだから。

トムラウシ山事故の参加者の中には
ガイド並みかそれ以上に良い役割を果たした人がいた。
いざというときには、誰が守る人、誰が守られる人、とか
サービスをする人、受ける人という壁をなくして
みんなで対等に協力しあう気持ちがなければ
みんながだめになってしまうということが
本からは読み取れた。

どこかの公園を歩くぐらいならいいが
登山という危険な場においては
参加者も自分の命を人にお任せで出かけてはいけない
ということを、多くの人が知る必要がある。
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